1.薬物療法
子宮体がんでは、手術後に、再発のリスクを減らすことを目的として点滴や飲み薬による薬物療法を行うことがあります。また、がんが手術で切除できない場合や、切除しきれない場合、がんが再発した場合にも薬物療法を行います。
1)細胞障害性抗がん薬
細胞障害性抗がん薬は、細胞の増殖の仕組みに注目して、その仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃する薬です。がん以外の正常に増殖している細胞も影響を受けます。
子宮体がんでは、術後に再発のリスクが高いと判断された場合や、手術ができない場合、再発した場合に、細胞障害性抗がん薬を使います。一般的に、アントラサイクリン系もしくはタキサン系と呼ばれる薬と、白金製剤と呼ばれる薬とを組み合わせる併用療法が行われます。使用する薬は、がんの状態や副作用などを考えて決めていきます。
2)内分泌療法薬
1)の細胞障害性抗がん薬を複数用いる併用療法ができない場合や効果が不十分な場合に、黄体ホルモン薬を用いた内分泌療法を行うことがあります。
3)分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬
再発がんで、白金製剤を含む薬物療法を行ったことがある場合には、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた併用療法が行われます。また、同様の場合で、検査の結果から免疫チェックポイント阻害薬の効果が高いことが期待できるときには、免疫チェックポイント阻害薬のみを用いることもあります。
4)薬物療法の副作用
子宮体がんの治療に用いられる細胞障害性抗がん薬の主な副作用には、吐き気や嘔吐、脱毛、末梢神経障害(手足のしびれ、運動障害、味覚障害、聴力障害など)、骨髄抑制(白血球数の減少による感染への抵抗力の低下)などがあります。また、内分泌療法薬の主な副作用には、血栓症(血管の中に血のかたまりができて血管がつまる病気)などがあります。
副作用については、使用する薬剤の種類や薬ごとに異なり、その程度も個人差があります。最近では副作用を予防する薬なども開発され、特に吐き気や嘔吐については、症状をコントロールすることができるようになってきました。
しかし、副作用の種類や程度によっては、治療が継続できなくなることもあります。自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対処したらよいか、特に気をつけるべき症状は何かなど、治療が始まる前に担当医によく確認しておきましょう。また、副作用と思われる症状がみられたときには、迷わずに担当医に伝えましょう。
2.免疫療法
免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。2023年12月現在、子宮体がんの治療に効果があると証明されている方法は、再発がんに対する免疫チェックポイント阻害薬を使用する薬物療法のみです。その他の免疫療法で、子宮体がんに対して効果が証明されたものはありません。
なお、免疫療法の免疫チェックポイント阻害薬を使う治療法は、薬物療法の1つでもあります。