治療は、がんの進行の程度を示す病期やがんの性質、体の状態などに基づいて検討します。子宮頸がんの治療を選択する際には、次のことを調べます。
1)病期(ステージ)
がんの進行の程度は、「病期(ステージ)」として分類します。病期は、ローマ数字を使って表記することが一般的です。子宮頸がんでは、治療開始前に病期を決定する進行期分類を用いていて、Ⅰ期〜Ⅳ期に分けられ、早期から進行するにつれて数字が大きくなります(表1)。




2)がんの種類(組織型)
子宮頸がんは、顕微鏡下でのがん組織の見え方によって、いくつかの組織型に分類されます。主な組織型としては、扁平上皮がんと腺がんがあげられます。扁平上皮がんが全体の8割程度、腺がんが2割程度を占めます。
扁平上皮がんには、 CIN(子宮頸部上皮内腫瘍)と呼ばれるがんになる前の状態が存在します。CINには3つの段階があり、CIN1、CIN2、CIN3と進みます。CIN3は以前「上皮内がん(CIS)」とされていた病変を含み、扁平上皮がんの前がん病変とされています。腺がんの前がん病変はAIS(上皮内腺がん)といいます。前がん病変(CIN3またはAIS)があることが分かった場合には、治療を行います。また、CIN1、CIN2の場合には、引き続き定期的に検査を行って進行していないか確かめます。

3)治療の選択
治療は、がんの進行の程度や組織型に応じた標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていきます。
図3、図4は、子宮頸がんの標準治療を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。前がん病変(CIN3またはAIS)やⅠA期の子宮頸がんでは、まず子宮頸部円錐切除術などで組織診を行い、その結果に基づいて治療方針を決めていくことが一般的です(図3)。ⅠB期やⅡ期では手術や放射線治療と、放射線治療と薬物療法を同時に行う同時化学放射線療法、Ⅲ期やⅣA期では同時化学放射線療法、ⅣB期では薬物療法がそれぞれ治療の中心となります(図4)。


妊娠や出産について
子宮頸がんの治療は、妊娠や出産に影響を及ぼすことがあります。妊娠を希望する方で、子宮頸がんの治療を受ける場合には、将来の妊娠や出産に与える影響について、治療開始前に担当医に確認しましょう。
前がん病変からⅠB1期までの方で、将来子どもをもつことを希望している場合には、妊孕性を温存すること(妊娠するための力を保つこと)が選択肢となる場合があります。ただし、妊孕性温存治療では、将来の妊娠の可能性を残すため、通常であれば切除する部分を残すことになりますので、再発などのリスクを考慮しなければなりません。また、治療後に妊娠したときの流産・早産のリスクなどが高まるとされているほか、対応できる病院も限られています。妊孕性温存治療を検討するときには、自分のがんの状態や再発などのリスクについて十分理解した上で、自分の希望を伝えて、担当医とよく相談することが必要です。