放射線治療は手術、薬物療法などと並んで、がんに対する主な治療法の1つです。細胞内のDNAを直接傷つける高エネルギーのX線やガンマ線などの放射線を、がんに照射し治療するものです。
子宮頸がんの放射線治療には、骨盤の外から放射線を照射する外部照射と、子宮や腟に放射線を出す器具を入れて直接子宮頸部のがんに照射する腔内照射、また、放射線を出す物質をがん組織やその周辺組織内に直接挿入して行う組織内照射があります。
子宮頸がんでは、ほとんどの病期で放射線治療を行うことができますが、比較的進行したがんの場合には、治療の効果を高めるために、細胞障害性抗がん薬とともに放射線治療を行う化学放射線療法も検討されます。また術後再発リスクの高い人や、初回治療で放射線治療を行わなかった人の再発の際の治療手段にもなります。
放射線治療を行うと、卵巣の機能はほぼ失われてしまいますが、排尿機能や性生活への影響は手術より放射線治療のほうが軽いとされているため、年齢や全身状態の指標であるパフォーマンスステータス(PS)、他の持病の有無なども考慮しながら治療法を選択します。
また、重粒子線治療が一部の子宮頸がんに対して保険適用となりましたが、治療を行うことのできる施設は限られており、2023年1月現在、標準治療にはなっていません。
放射線治療の副作用
放射線治療の副作用には、照射開始後数週間以内に起こる急性反応と、治療後数カ月から数年たってから起こる晩期合併症があります。
急性反応には、だるさ、吐き気、下痢や、照射された部位の皮膚炎、粘膜炎、直腸炎や膀胱炎などがあります。しかしこれらは治療終了後には通常自然に治っていきます。
晩期合併症や、卵巣の機能が失われることにより起こる卵巣欠落症状(更年期障害と同様の症状)などについては、関連情報「子宮頸がん 療養 2.日常生活を送る上で 1)手術後や放射線治療後の日常生活」をご覧ください。