1.がんの3大治療法の1つ
がんの主な治療法として、手術(外科治療)、薬物療法、放射線治療があります。手術では、がんや、がんのある臓器を切り取ります(切除します)。手術の前後や手術中に、放射線治療や薬物療法などが行われることもあり、これを集学的治療といいます。
一部のがん(胃がんや食道がん、大腸がん、膀胱がんなど)では、がんが早期の場合に、内視鏡を使ってがんを取り除く場合があります。詳しくは、以下のページをご覧ください。
2.がんの手術で目指すこと
1)手術の目的
手術の目的は、臓器の悪いところを取り除くことです。また、手術で臓器を切除したことによって正常な機能が失われてしまう場合には、臓器同士をつなぎ合わせるなどの機能を回復させるための手術(再建手術)を行います。がんなどの腫瘍や、虫垂炎などの炎症の場合は、悪いところを取り除くための手術になりますが、心臓の血管の迂回路をつくる手術(バイパス手術)や移植手術は主に機能を回復させるために行います。
2)がんの手術
がんが最初にできた所(原発巣)にとどまっている場合には、手術でがんをすべて取り除くことによって、治る可能性が高くなります。
がん細胞は周囲の組織に広がったり(浸潤)、リンパ管や細かい血管に入りリンパ節やほかの臓器に広がったり(転移)することがあります。そのため手術では、がんだけではなく、がんができた臓器を大きめに切除します。また、多くの場合、周囲のリンパ節なども一緒に切除します(リンパ節郭清)。さらに周囲の臓器にがんが広がっている場合には、その臓器も切除することがあります。
手術は主に体の中の悪いところを取り除くために行われますが、逆に手術によって、手術中や手術後に好ましくない状態になることがあります(合併症といいます)。その場合は、それぞれの状況に応じて治療が行われます。
3.手術はどのように行われるのか
手術では、器具を使って切開や切除、止血、縫合などを行います。手術の痛みを取り除き、安全に受けられるように、麻酔をかけて行います。麻酔には意識のある状態を保つ場合と、意識をなくした状態にする場合があります。意識があると患者本人が痛みなどの異常を伝えることができますが、逆に不安や緊張が手術の進行の妨げになることもあります。
1)麻酔について
麻酔には以下のような方法があります。
①局所麻酔:意識のある状態を保ち、手術する所だけに麻酔薬(局所麻酔薬)を注射して痛みを取ります。
②区域麻酔:意識のある状態を保ち、体の一部だけ痛みを取ります。背骨のすきまから麻酔薬を入れ、胸やおなかの一部分や下半身だけ痛みを取る脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔という方法や、腕の付け根に麻酔をする伝達麻酔があります。
③全身麻酔:意識をなくし眠ったような状態にする方法です。人工呼吸器で呼吸を補助しながら手術を行います。
これらの方法を組み合わせて行うこともあります。
2)手術について
手術では、切開や切除、止血、再建などにメス、鋏や鉗子、その他のいろいろな手術器具を使います。まず、メスで皮膚を切開し、その下の皮下脂肪、筋膜、胸膜、腹膜などを切開し、がんを確認します。
病変の状態を確認したら、手術器具を使いがんの周囲の組織を止血しながら切除していきます。太めの血管は糸でしばったり、クリップで止血したりしていきます。細かな血管は電気メスや、切開と同時に止血も行う器具を使って切除していきます。がんのある臓器が切除できたら、胃や腸などの場合は再建手術を行ってから皮膚の表面の創を縫い合わせます(縫合)。再建が必要でなければ止血を確認して創を縫合します。
手術後には、手術に伴い体の中にたまる体液を外に流すためのチューブ(ドレーン)を一時的に取り付けることがあります。多くの場合、排出される体液が十分に減ったらチューブを抜きます。
4.手術の種類
1)手術の種類
手術には以下のような種類があり、がんの種類や病気の進み具合などにより選択されます。
(1)手術する部位を直接目で見てがんを取り除く方法
開腹手術や開胸手術などがこれにあたります。創は通常1カ所で、以下の方法よりも創が大きくなります。
(2)手術する部位を腹腔鏡や胸腔鏡で見てがんを取り除く方法
腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術、ロボット支援下手術などがこれにあたります。1cm程度の小さな穴をいくつか開け、開けた穴から腹腔鏡や胸腔鏡を入れ、モニター画面を見ながら手術器具を直接、操作します。創が小さく体の負担が少ないことから、一般的に術後の回復が早い手術です。
少し離れた所から機械を使って手術器具の操作を行う方法はロボット支援下手術といわれています。特殊な器具や技術が必要で、すべてのがんで治療効果が確認されているわけではありません。腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術、ロボット支援下手術を受ける際には、保険診療であるかどうかや、その病院での実績があるかどうかについて、担当の医師に確かめましょう。
2)拡大手術と縮小手術
これまでは、がんとその周囲を大きく切除して再発や転移を予防する「拡大手術」が主流となっていましたが、現在では、比較的早期のがんには切除の範囲をなるべく小さくして、手術後のクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を保つための「縮小手術」が広く行われています。この方法は、乳がんの乳房温存手術、胃がんの幽門保存手術などで行います。
5.治療法の決定/手術までの流れ
1)手術法の決定まで
手術法決定までの大まかな流れは以下のようになります(図1)。
(1)がんの診断・検査・病期の診断
がんの診断後、詳しく検査を行ってがんの進行の程度(病期・ステージ)を診断します。治療法は病期や体の状態などから検討することから、病期の診断は治療そのものと同様に大切なステップです。
病期はがんの原発巣の広がりや転移があるかどうかによって診断します。原発巣の検査として、消化管のがんであれば胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査などが行われます。乳がんであれば乳腺の超音波検査が行われます。転移の有無を調べる検査としては、がんの種類に応じて腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、PET検査などを行います。また、病期を決める検査ではありませんが、薬物療法を行う際には、どのような薬物が治療に適しているかを判断するため、がん細胞を採取してその性質を調べる病理検査をすることもあります。
(2)医師からの病状説明
検査によって、手術が選択できる治療法の1つである場合には、担当の医師から患者本人と家族へ、手術の方法の提案を含んだ詳しい病状説明が行われます。
わからないことがあるときには遠慮せずに質問してみることが大切です。
(3)セカンドオピニオン
治療の選択肢についてほかの医師による説明も聞きたいと思う場合には、セカンドオピニオンを聞くことができます。セカンドオピニオンを聞く場合には、セカンドオピニオン後にもう一度担当の医師と話し合い、治療法を決定しましょう。
(4)手術法の決定・手術の同意・手術日の決定
手術法を決める際には、医師から手術名(術式の名称)、その手術が適している状態であるか(適応)、目的、手術の概要、手術中や手術後に起こる可能性のある合併症・死亡の割合、手術以外の治療の選択肢などについての説明を受けます。患者本人と家族が医師からの説明内容を十分に理解し、本人が納得できた場合には、手術の同意書にサインします。このように、十分な説明を聞き、同意することは、インフォームドコンセント(ICと略されることがある)といいます。
手術日を決定し、手術前に必要な準備についても医師や看護師から説明を受けます。
2)手術の決定から当日まで
手術について、わからないことがある場合には、いつでも担当の医師に相談することができます。手術日が近づいてくると、麻酔科医から麻酔についての説明を受けます。また、看護師から手術室や集中治療室(ICU)についての説明を受けることもあります。
一般的には、手術日の1~2日前に入院し、手術前の最終の確認などを行います。多くの場合、食事は手術前日の朝食あるいは昼食までで、その後は絶食(食事をとらないこと)になります。
3)手術前の生活や術前リハビリテーションについて
自宅で手術のための入院を待っている期間はとても心配で、長く感じられますが、できるだけ普段どおりの生活を送ることを心がけましょう。
また、以下のことに気をつけておくとより良いです。
(1)禁煙・禁酒
喫煙によって痰の量が増加することにより、肺炎などの重大な合併症が起きやすくなってしまいます。また、喫煙を続けることは、治療の効果を下げる原因になると考えられています。手術までに禁煙できていないときには、医師の判断で手術が延期されることもあります。治療前から禁煙し、治療後も禁煙を続けることが重要です。禁煙はがんの予防にも効果的であるため、これを期に完全に禁煙しましょう。
たばこには依存性があり、自分の力だけで禁煙するよりも禁煙治療を受けることが効果的です。禁煙治療を希望する場合は、まずはがんの治療の担当医に相談しましょう 。
手術や麻酔により肝臓に負担がかかったり、術後にせん妄(合併症の項参照)を起こしたりすることがあるため、手術前には禁酒することも大切です。
(2)歯の検査と治療、口腔ケア
手術を行うことを歯科医師にも伝えて、歯の検査をしましょう。特に、全身麻酔の場合には、ぐらぐらする歯が無いかどうか調べて麻酔中に抜けることがないようにします。検査の後には必要に応じて歯の治療を行います。
口の中には非常に多くの細菌がいます。手術前から口腔ケア(歯磨き、うがい)を十分に行うことは、手術後の肺炎などの感染症の予防につながります。口腔ケアは食事がとれないときでも徹底して行ってください。
(3)食事・栄養管理
担当の医師から特別な注意点についての説明を受けるまでは、基本的には普段通りの食事をします。体調に合わせて、食べられるものを食べましょう。手術前の栄養状態が悪い場合は、栄養剤を使用する場合もあります。
(4)術前リハビリテーション(呼吸訓練)
一般的に、手術後には肺活量が低下します。また、手術後には痰をうまく出せなくなり、肺の中で酸素と二酸化炭素の交換(換気)ができなくなったり(換気不全)、肺がふくらまない状態(無気肺)になったりといった、合併症を起こす場合があります。これらを防ぐためには、手術前から呼吸訓練を行い、少しでも肺の機能を高めておくことが大切です。
呼吸訓練は呼吸に関わる肋間筋(肋骨の間の筋)や横隔膜などの筋力を鍛えるために行うもので、そのひとつに、インセンティブスパイロメトリー(図2)という器具を使った訓練があります。軽くコンパクトな器具で、これを使って入院前から自宅で呼吸訓練を行うことができます。手術後は手術前にできた基準を目標にして訓練を続けるとよいでしょう。器具を使用しない方法としては、深呼吸訓練があります。深呼吸訓練は、胸やお腹をゆっくり大きくふくらませて行う呼吸法(胸式呼吸・腹式呼吸)で、いつでも行うことができます。また、呼吸訓練を必要としない手術もあります。
(5)適度な運動
手術に備え、体力の維持・増進のために毎日運動するとよいでしょう。気分転換にもなります。特に、下肢の筋力を鍛えるためには、散歩をするなど歩くことが望ましいです。
(6)不安が強い場合
入院・手術に対して心配や不安が強い場合には、遠慮せずに担当の医師や看護師に相談してください。
6.手術のリスクや合併症
1)手術のリスク
医学の進歩に伴って、高齢者を含めてほとんどの人が安全に手術を受けることができるようになりました。しかしながら、手術は大きなストレスや侵襲(体の内部の状態を乱す刺激)を加えるため、手術中や手術後の経過が100%良好であるとは限りません。手術前には担当の医師から手術のリスクや合併症について説明があるので、十分に納得したうえで手術に同意することが大切です。
2)合併症
手術後の合併症とは、手術後の好ましくない症状や状態のことをいいます。主なものは、創感染、感染症(特に肺炎)、痛みなどです。合併症が起こった場合には、それぞれの状況に応じて治療が行われます。合併症は手術をする部位によってさまざまです。
(1)創感染
手術のときにできた創を縫っている部分(縫合部)に、細菌などによる感染が起こることを創感染といいます。赤く腫れて膿が出る、痛みや発熱といった症状が起こります。創感染が起きたときには、抜糸をする、皮膚を切開して膿を出す、抗生物質を使用することなどによって治療します。
(2)感染症(特に肺炎)
手術後は、寝ていることが多く、痛みもあり、肺の奥の痰が思うように出せなくなることがあります。痰を十分に出せずにいると、本来痰と一緒に体の外に出される菌が体の中にとどまり、肺炎を起こしてしまうことがあります。そのため、手術後は意識的に痰を出すことが大切です。歩くことで肺の奥の痰が出やすくなります。
(3)痛み
手術中は痛み止めの薬を使うため、痛みはありません。手術後に麻酔がきれたときには創が痛むこともありますが、痛み止めの薬を使うことで対処できます。痛みを我慢する必要はありませんので、担当の医師や看護師に伝えてください。
(4)深部静脈血栓症、肺塞栓症
手術中や手術後に、長時間体を動かさないでいたことで、足の静脈の中に血のかたまりができ、肺の血管に流れて詰まることがあります(深部静脈血栓症、肺塞栓症)。肺塞栓症は、突然の息切れや胸の痛みを起こし、命に危険を及ぼすことがあります。そのため、手術前から手術後歩けるようになるまで、足を圧迫する医療用の弾性ストッキングをはきます。
(5)せん妄
せん妄は、大きな手術の後に多くみられます。せん妄は、体の異常や薬によって引き起こされる急性の脳の機能不全であり、周囲の状況が理解できない、実際にはないものが見えたり聞こえたりする(幻覚)、物忘れがひどい、興奮する、眠れない、などの症状が出ます。せん妄は、高齢、痛み、不眠、認知症、感染、脱水、血糖値の異常、電解質の異常などによって発症しやすくなります。「ぼけたのではないか?」などと家族が心配することがあります。原因にもよりますが、多くは一時的な症状です。症状を軽くするために、精神安定剤を使うことがあります。
(6)お腹の手術で起こる合併症
1.縫合不全
縫合不全とは、腸管などのつなぎ目(吻合部)がうまく治癒せず、開いてしまうことです。腸管に縫合不全が起こった場合には、腸液が漏れて周囲に腹膜炎が起こり、発熱や腹痛などの症状が出ます。直腸がんのように肛門に近いところでつなぐ手術では、ほかの場所に比べて縫合不全が起こりやすいです。直腸がんの手術後に縫合不全があり、腹膜炎の症状がある場合には、再手術でおなかの中を洗浄し、人工肛門を作ることがあります。腹膜炎の症状がない場合は食事を止めて様子をみることもあります。
2.腸閉塞
手術の後に、腸閉塞が起こることがあります。腸閉塞は、腸の炎症による部分的な癒着(本来はくっついていないところがくっついてしまうこと)などによって、腸管の通りが悪くなる状態のことをいいます。便やガスが出なくなり、おなかの痛みや吐き気、嘔吐などの症状が出ます。多くの場合、食事や水分を取らずに点滴をしたり、胃や腸に鼻からチューブを入れて胃液や腸液を出したりすることなどで回復しますが、手術が必要になることもあります。
3.膵液漏(膵液瘻)
膵液漏とは、胃がん、膵臓がん、十二指腸がんなどの手術で膵臓の周りのリンパ節郭清を行った影響で、膵臓の表面から一時的に強力な消化液である膵液が漏れ出し、周囲の脂肪を溶かし、感染を起こすことによって生じる膿瘍(膿がたまってしまうこと)のことです。治療のためにおなかに入っているチューブ(ドレーン)から膿が出なくなるまで、1カ月から2カ月かかることもあります。
(7)頸部や食道の手術で起こる合併症
嗄声(声のかすれ)
頸部や食道の手術のときに、発声や嚥下の役割のある声帯を調節する神経(反回神経)の近くを手術した場合には、手術後に、声がかすれることがあります(反回神経麻痺による嗄声)。多くの場合、神経機能は3~6カ月程度で回復します。反回神経麻痺が起こると誤嚥(誤って気管に食べ物などが入ること)して肺炎を起こしやすくなるため、嗄声があるときには、食べ物や飲み物を飲み込むときにむせないように注意することが必要です。
7.手術直後について
1)手術結果の説明
手術のあと全身麻酔から目が覚めるまでにしばらく時間がかかります。そのため、手術直後は担当の医師からまず家族に、手術の様子や今後の経過についての説明が行われます。本人には全身麻酔から覚めて内容が理解できるようになってから同様の説明が行われます。
2)手術当日の注意点
通常、手術の当日は安静が必要です。点滴、酸素のチューブ、背中に痛み止めの薬を入れるためのチューブ(硬膜外麻酔カテーテル)、手術後の排出物を体の外に流すチューブ(ドレーン)、尿を体の外に流すチューブ(尿道カテーテル)など多くの管が体につけられています。担当の医師や看護師の許可があるまで触らず、また起きあがらないでください。出血などがないことが確認されたら、翌日からベッドのわきに立つ練習や歩く練習をはじめます。
3)手術後の経過
入院の際に、入院中の治療計画の概要が書かれた書類(入院診療計画書)やクリニカルパス(手術前から退院までの医療的な予定表)が書かれた書類を渡され、説明を受けることがあります。クリニカルパスには、飲水や食事の開始時期、点滴の期間、検査の内容、リハビリテーションの内容、退院の予定日が記載されているため、手術後の標準的な流れを理解するのに参考になります。クリニカルパスが渡されない場合には、医師の診察を受けて、リハビリテーションの開始時期や退院日の予定を立てます。
8.手術後のリハビリテーション
1)離床リハビリテーション
手術後早い時期から立って歩くなど、ベッドから離れて生活できるようになることを早期離床といいます。ベッド上で過ごす時間が長くなるとおこりやすくなる合併症(足の静脈に血栓ができる深部静脈血栓症や肺塞栓症、肺炎、筋力低下など)を予防するために、早期離床を目指すことはとても重要です。さらに、手術後早くにベッドから離れて動くことは、せん妄や認知症を予防するなど、精神面でも良い効果があります。ほとんどの場合、手術後1日目からベッドのわきに立つ練習や、歩く練習を行います。手術後にふらつかずに歩くことができるようになったら、入院中に歩く時間や長さを増やしてベッドから離れた時間を増やします。
2)呼吸リハビリテーション
開胸手術や開腹手術を受けると痛みや麻酔の影響で呼吸が浅くなりがちです。咳をする力も半分程度に低下するため、痰がうまく出せずに肺の奥にたまって、肺がふくらまない状態(無気肺)になったり、肺炎を起こしたりする危険が高くなります。これらを予防するためには、手術前から呼吸リハビリテーション(呼吸訓練)を行い、術後は肺の奥に痰がたまらないよう早期離床を進めます。しっかり痰を出すために看護師が援助することもあります。
手術後は多かれ少なかれ創の痛みがつきものです。呼吸リハビリテーションをしっかり行い、離床を進めるために、痛いときは我慢せず鎮痛薬を使うことが大切です。痛みを感じるときには医師や看護師になるべく早く相談してください。
9.経過観察
1)経過観察の意義
手術後の経過観察は治療の一環です。がんが完治しているのか、再発してくるのか、経過を注意深く観察していきます。がんの再発は術後3年以内に起こることが多く、5年以上たってから再発することは少ないことがわかっています。このため、多くのがんの経過観察期間は一般的に5年とされています。
2)定期検診
退院後は、外来で経過を観察し、体調の変化や再発・転移の有無を調べます(定期検診)。
がんの種類や進行度によって検診の間隔や検査内容は多少異なりますが、術後3年目までは3カ月~半年に1回、4~5年目は半年~年1回のペースで、腫瘍マーカー、胸部X線、超音波、CT、内視鏡などの検査を行います。
作成協力
この「手術(外科治療) もっと詳しく」は、全国がんセンター協議会および厚労科研(H29がん対策‐一般‐005)の全面的なご協力により作成されました。