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がん医療における遺伝子検査

#遺伝子検査#薬物療法
公開日2024.10.10

この記事は、がん情報サービスの記事です。

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1.個別化治療とがん遺伝子検査

がんの医療では遺伝子情報にもとづく個別化治療が始まっています。また、がん遺伝子検査は、一部のがんの治療では標準治療として行われています。

1)個別化治療とは

これまでのがん医療では、肺がん、大腸がん、乳がんといったがんの種類別に治療や薬が選ばれていました。しかし、2000年代に入り、がんの原因となっている分子(タンパク質)やそのもととなる遺伝子の解明が進み、このような分子や遺伝子などを標的にしてがんを攻撃する「分子標的薬」を使うことができるようになってきました。

このように、がんの種類だけではなく、遺伝子変異などのがんの特徴に合わせて、一人一人に適した治療を行うことを、「個別化治療」と呼びます。

がんの遺伝子情報にもとづく「個別化治療」は、主に、1つまたは少数の遺伝子を調べる「がん遺伝子検査」と、多数の遺伝子を同時に調べる「がん遺伝子パネル検査」にもとづいて行われます。

このページでは1つまたは少数の遺伝子を調べる「がん遺伝子検査」について説明します。
多数の遺伝子を同時に調べる「がん遺伝子パネル検査」については、関連情報をご覧ください。

関連情報
がんゲノム医療
遺伝子とがんの関わりやがん発症の仕組み、がん遺伝子パネル検査に関する解説が掲載されています。
「がんゲノム情報管理センター がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査」ウエブサイトバナー画像国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査

2)がん遺伝子検査とは

肺がん、大腸がん、乳がんなど一部のがんでは、医師が必要と判断した場合にがん遺伝子検査を行い、1つまたは少数の遺伝子を調べて診断することや、検査結果をもとに薬を選ぶ治療が行われています(図1)。

図1 標準治療として行われるがん遺伝子検査
図1 標準治療として行われるがん遺伝子検査

2.がん遺伝子検査の実際

がん遺伝子検査は、「がんの診断」や「薬が効きそうか」「副作用が出やすいか」の判断などに役立ちます。がん遺伝子検査のうち、保険診療となっているものは、全国の病院ですでに一般的に行われています。医師が必要と判断した場合には、生検せいけんや手術で取り出したがん組織などを用いて検査が行われます。

1)がんの診断

血液のがんなどでは、病気の診断の確定や、予後の予測、分子標的薬や造血幹細胞移植などの治療法の選択、治療効果の判定などのために、血液や骨髄液を用いて、がん遺伝子検査を行うことがあります。
例えば、一部の血液のがん(慢性骨髄性白血病)では、病気の原因となっている特定の遺伝子(BCR-ABL融合遺伝子)によって診断を確定し、薬物療法で用いる分子標的薬を選択します。

関連情報
造血幹細胞移植

2)「薬が効きそうか」の判断

肺がん、大腸がん、乳がん、胃がん、GIST、メラノーマ(悪性黒色腫)などでは、生検や手術などで取り出したがんの組織の遺伝子を検査することにより「薬が効きそうかの判断」を行います。調べる遺伝子の例として、HER2遺伝子、BRAF遺伝子、RAS遺伝子、EGFR遺伝子などがあります。

また、乳がんや卵巣がんでは、生まれもった遺伝子の個人差が、「薬が効きそうかの判断」に使われることがあり、血液検査でBRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子を調べます。

検査では、使用を検討している薬に合わせた遺伝子変異を調べる診断キット(コンパニオン診断薬)を用いて、1回の検査で1つまたは少数の遺伝子の変異の有無を調べます。

検査の結果、遺伝子変異がある場合には、それぞれのがんの治療ガイドラインにもとづいて、その遺伝子変異に合った薬を選んで治療が行われます。

例えば、一部の肺がんの患者さんでは、薬物療法が必要となった場合に、診断キットAを用いて、特定の遺伝子変異(a遺伝子変異)の有無を検査します。検査でa遺伝子変異がある場合には、変異した分子や遺伝子などに働く「分子標的薬」のA薬の使用を検討します。変異がない場合には、ほかの治療を検討します(図2)。

図2 がん遺伝子検査(薬が効きそうかの判断)から治療方針決定までの流れ
図2 がん遺伝子検査(薬が効きそうかの判断)から治療方針決定までの流れ

なお、保険診療で受けられるがん遺伝子検査に関する情報は、それぞれのがんのページに掲載しています。関連情報「病名から探す」から、お探しのがんに関するページをご確認ください。

関連情報
病名から探す

3)「副作用が出やすいか」の判断

細胞障害性抗がん薬の一つであるイリノテカンを使う前に血液検査を行い、体質によって重い副作用が出る可能性がないか遺伝子検査で調べます。検査の結果によって、副作用が出やすい人は、薬の量を調節して治療を行うことがあります。

なお、イリノテカンを使用するがんは、肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、胃がん、大腸がん、乳がん、有棘細胞がん、悪性リンパ腫、膵臓がんなどです。

3.がんに関連した遺伝子検査を受けるときに気をつけたいこと

がん遺伝子検査は、医師が必要と判断した場合は、保険診療で行われます。

保険診療で行われるがん遺伝子検査は、がんゲノム中核拠点病院やがんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院以外の病院でも受けることができます。

1)保険診療で行われる遺伝子検査について

保険診療で行われるがんに関連した遺伝子検査には、がんの中で生じた遺伝子の異常を解析する遺伝子検査(体細胞遺伝子検査)と、体質的にがんにかかりやすいかどうかや、薬の効果や副作用等を解析する遺伝子検査(遺伝学的検査)があります。体細胞遺伝子検査では、「がんの組織」や「血液/骨髄液」を用います。遺伝学的検査では、「血液(正常組織)」を用います。

いずれの検査も、医師が必要と判断した場合に、保険診療として行われます。なお、多数の遺伝子を同時に調べる「がん遺伝子パネル検査」については、関連情報をご覧ください。

関連情報
がんゲノム医療
遺伝子とがんの関わりやがん発症の仕組み、がん遺伝子パネル検査に関する解説が掲載されています。
「がんゲノム情報管理センター がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査」ウエブサイトバナー画像国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査

2)市販の遺伝子検査について

がんや生活習慣病のかかりやすさに関連した遺伝子検査が可能であるとして、簡易な遺伝子検査(いわゆるDTC[Direct-to-Consumer])が市販されています。市販の遺伝子検査の多くは、遺伝を専門とする医師の判断がなされず、検査結果やその解釈、推奨される対策などの信頼性に欠けるものもあります。

市販の遺伝子検査を受ける場合には、信頼できる医療機関か、対面で遺伝カウンセリングが行われるかなどについて慎重な確認が必要です。遺伝子検査の結果、遺伝性腫瘍の可能性が見つかる場合があり、その際には専門家のサポートが必要になります。

そのため、遺伝性のがんに関連した遺伝子検査を希望する場合、遺伝の専門家(臨床遺伝専門医、遺伝性腫瘍専門医、認定遺伝カウンセラー®、遺伝専門看護師等)に相談することが望ましいとされています。

3)インターネットの情報について

インターネット上には信頼できる情報もある一方で、効果が科学的に証明されていない自由診療で行われる治療や医療に関する情報もあります。インターネット上の遺伝子検査の情報には、信頼性に欠けるもの、心配や不安をあおるもの、自由診療を行っている施設の広告なども含まれるため、慎重な確認が必要です。

数ある情報に迷った時には、ひとりで悩まずがん診療連携拠点病院などに設置されているがん相談支援センターにご相談ください。

関連情報
「がん相談支援センター」とは

4.参考文献

  1. 日本臨床腫瘍学会編.新臨床腫瘍学(改訂第6版).2021年,南江堂.

作成協力

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編集委員・作成協力者・作成委員【2022年度のご協力者】
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん医療における遺伝子検査 もっと詳しく」外部サイトへのリンクを開く
更新日2022.11.24
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