1.薬物療法(化学療法)
食道がんの薬物療法には、根治を目指した集学的治療として行われる薬物療法と、切除不能進行・再発食道がんに対して行われる薬物療法があります。集学的治療とは、がんの種類や進行度に応じて、手術、放射線治療、薬物療法(化学療法)などのさまざまな治療法を組み合わせることです。近年、食道がんでは、手術と薬物療法(化学療法)、薬物療法(化学療法)と放射線治療を組み合わせた集学的治療が多く行われています。
根治を目指した集学的治療として行われる薬物療法は、Ⅱ〜Ⅲ期で行う「術前化学療法」と「術後化学療法」、0〜Ⅲ期とⅣ期の一部のがんで行う「化学放射線療法」があります。進行・再発食道がんに対して行われる薬物療法は、Ⅳ期で行う「化学療法」があります。
治療の効果は、原発巣は内視鏡検査やCT検査で、転移巣は主にCT検査で確認します。MRI検査、PET検査や超音波(エコー)検査が行われることもあります。
2.薬物療法(化学療法)で用いる薬
食道がんの薬物療法で使う薬には、細胞障害性抗がん薬と免疫チェックポイント阻害薬があります。細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を邪魔することで、がん細胞を攻撃する薬です。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ(がん細胞が免疫にブレーキをかけるのを防ぐ)薬です。
がんや全身の状態により、1つの種類の薬を使うか、複数の種類の薬を組み合わせて用います。放射線や手術と組み合わせる場合には、状況に合わせて同時に行ったり、順番に行ったりします。
どの種類の薬を使うかは、治療の目的、がんの状態や臓器の機能、薬物療法に伴って起こることが想定される副作用などについて、本人と担当医が話し合って決めていきます。薬に関する詳しい情報は、治療の担当医や薬剤師などの医療者に尋ねてみましょう。
3.薬物療法の副作用
細胞障害性抗がん薬は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えるため副作用が起こります。副作用には、だるさ、吐き気、食欲不振、口内炎、髪や爪が伸びなくなるなどの自分で気付く症状と、白血球の減少、血小板の減少、貧血などの検査で分かる副作用があります。また、白血球が減少することによって感染しやすくなります。
副作用の程度は人により異なりますが、副作用を予防する薬も開発されており、特に吐き気や嘔吐、便秘や下痢は、以前と比べて症状を和らげることができるようになってきました。
なお、免疫チェックポイント阻害薬は、特殊な副作用が起こりやすいといわれています。自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対応したらよいか、特に気をつけるべき症状は何かなど、治療が始まる前に担当医に確認しておきましょう。
4.化学放射線療法
化学放射線療法は、一般的には、化学療法と放射線照射が同時に行われます。また、放射線治療単独で行うよりも、化学療法と同時に行う化学放射線療法のほうがより効果的で、内視鏡的切除が難しい0期~ⅣA期のがんに対し、根治を目指して行われることがあります。ⅣB期でも症状緩和の目的で行われることがあります。
5.免疫療法
免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。2023年3現在、免疫療法の中で、食道がんの治療に効果があると証明されている方法は、免疫チェックポイント阻害薬を使用する薬物療法のみです。そのほかの免疫療法で、食道がんに対して効果が証明されたものはありません。免疫チェックポイント阻害薬を使う治療法は、薬物療法の1つでもあります。
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