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#心のケア#治療の歩み
公開日2024.10.10

この記事は、がん情報サービスの記事です。

がん情報サービス ganjoho.jp 国立がん研究センター

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1.がんと言われたときの心の変化とは

がんという言葉は、がん患者さんの心に大きなストレスをもたらします。そして、病名を耳にした後の数日間は、「まさか自分ががんのはずがない」「何かの間違いに決まっている」などと、認めたくない気持ちが強くなる人がほとんどです。これは、大きな衝撃から心を守ろうとするごく自然な反応です。

「なぜ、自分だけがこんな目に遭わなければならないのか」「私が何か悪いことをしたのか」などと、怒りを感じることもあるでしょう。「食生活が悪かったのではないか」「仕事のストレスのせいだ」などと、自分を責める人もいます。

しばらくの間は、不安や落ち込みの強い状態が続くことがあるかもしれません。眠れなかったり、食欲がなかったり、集中力が低下する人も少なくありません。中には、今まで経験したことのないような、つらい状態におちいってしまう人もいます。

がんと言われた患者さんが不安で落ち込むのは、むしろ自然なことです。治療が始まる前、治療中、治療が終わった後など、時期を問わず不安を感じたり、気持ちが不安定になったり、落ち込んだりします。不安や落ち込みは、ある程度は通常の反応です。そうなったからといって、すぐに問題になるというわけではありません。

2.がん患者さんが経験する心の状態−不安と落ち込み−

がん患者さんが経験する心の状態の代表的なものが、「不安」と「落ち込み」です。これらはある程度は通常の反応です。それがあったからといって、直ちに治療が必要というわけではありません。しかし、日常生活に支障が出るほど強ければ、何か対策を考えることが必要となります。次の図1、2で示した症状にいくつ心当たりがあるかが目安になります。当てはまる項目が多く、またそれが数週間にわたって続くようであればストレスが高い状態です。

図1 不安の症状
図1 不安の症状の図
図2 落ち込みの症状
図2 落ち込みの症状の図

3.がんによるストレス

がんを体験すると、さまざまな種類のストレスを経験することがあります。これらのストレスに対する一般的な心の反応の過程として、ショック・混乱、次いで不安・落ち込み、そして新たな生活への出発という3つの時期に分けられることが知られています。

まず、当然のことですが、誰でもがんといわれると強い衝撃を受けます。「頭が真っ白になった」、「病院でがんと告げられた後に、どうやって帰ったのか覚えていない」という方もいます。また「がんであるのは何かの間違いだ」という否定の気持ちや、「何をやっても無駄だ」という絶望が強まることもあります。これが最初のショック・混乱の時期です。

その後、今後についての漠然とした不安や、気持ちの落ち込み、夜ぐっすり眠れないなどの症状があらわれ、一時的に日常生活に支障が生じることもあります。また、「どうして自分だけががんなのか」と感じ、怒りがわいてくることもあります。さらに、周囲の人と壁ができてしまったような「疎外感」や、自分だけが違うのかといった「孤立感」を感じます。これが2番目の時期です。不安や落ち込みなどの心の苦痛と、それに基づく睡眠障害などの症状があらわれやすくなります。

やがて、人間が本来持っている、困難を乗り越え適応しようとする力が働き出します。つらい状況にありながらも、次第に現実的な適応が可能になり、落ち着いて物事に目を向けることができるようになります。本やインターネットなどを使ってがんについて調べたり、がんの治療に取り組むようになります。同時に仕事を整理したり、家庭での役割を変更したりといった現実的な処理を始めます。通常は2週間程度で、このような再適応の時期を迎えることができるようになるといわれています。

4.適応していく心の動きをとらえる

時間がたつにつれて、「つらいけれども何とか治療を受けていこう」「がんになったのは仕方ない、これからするべきことを考えてみよう」など、見通しを立てて前向きな気持ちになっていきます。

しかし、ひどく落ち込んで何も手に付かないような状態が長引いたり、日常生活に支障が続くようであれば、適応障害や気分障害(うつ状態)かもしれません。こうした状態は、強いストレスを受けるなど、人生において大きな出来事があった場合には、誰でもなる可能性のある心の状態であり、専門的な治療が手助けになります(図3)。

図3 ストレスへの心の反応
図3 ストレスへの心の反応の図

1)適応障害

がんである現実を前に動揺が長引き、精神的苦痛が非常に強いために、日常生活に支障を来している状態です。不安で眠れなかったり、仕事が手に付かなかったり、人と会うのが苦痛で自宅に引きこもったりしてしまう人もいます。

2)気分障害(うつ状態)

適応障害よりもさらに精神的な苦痛がひどく、身の置きどころがない、何も手に付かないような落ち込みが2週間以上続き、日常生活を送るのが難しい状態です。脳の中で感情をつかさどる機能が過熱、摩耗し、いわゆる“うつ状態”で過労を引き起こしている状態です。不眠、食欲不振、性欲減退といった症状が強い人も少なくありません。「消えていなくなってしまいたい」などと、否定的な感情を持つ人もいます。

3)せん妄

がん患者さんがよく経験し、専門家が対応すべきもう1つの精神状態に、「せん妄」があります。心理的ストレスに関連した精神状態と間違われることがありますが、せん妄は、身体的な異常や薬剤によって引き起こされる急性の脳機能不全であり、周囲の状況が理解できない、実際にはないものが見えたり聞こえたりする(幻覚)、物忘れがひどい、興奮する、眠れない、などの多彩な症状を呈します。そのため、「ぼけたのではないか?」などと家族が心配されることがあります。せん妄は、大きな手術の後や、新しい薬を使った後、全身状態が変化したときなどに多くみられます。原因にもよりますが、多くは一時的な症状です。症状を軽減するために、一部の精神安定剤が役に立ちます。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がんと心」外部サイトへのリンクを開く
更新日2023.04.05
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