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体験談
大腸がん

ストーマ生活で気をつけていること 〜テーピングのコツや服選び、お風呂の工夫〜【ストーマに慣れるまでの失敗と工夫・日常生活編】

#日常生活#ストーマ
公開日2026.05.15
お名前
S. N.さん
性別
男性
罹患時の年齢
40代
がん種
大腸がん

プロフィール

妻と息子2人(小学6年生と4年生)の4人暮らし。出版社に勤務。
20歳代から潰瘍性(かいようせい)大腸炎を患っていたが、2019年の年末(当時41歳)、通勤中に貧血で倒れて検査を受けたところ大腸がんが発覚。治療方針を決定する際にストーマ造設の告知を受ける。腹腔鏡手術を受けて退院するも3日後に腸閉塞を起こして再入院。つらい絶食治療を経験する。体力の回復をみて6カ月間の抗がん剤治療をスタート。2020年12月に治療が終了し、現在(2023年取材時点)は3カ月に1回のペースで検査を受けながら経過観察中。


ストーマ(人工肛門)の造設後、慣れない生活に戸惑ったり驚いたりすることもありつつ、次第に慣れていき、自分なりの生活を送れるように。今回は、洋服選びやお風呂など、ストーマ生活を送るなかで気をつけていること、工夫していることについて語ってもらいました。


ストーマ用品の購入は、いつものお店に相談しながら

―― 使っているストーマ装具は、ストーマをつくってから同じものを継続していますか?

はい。ただ、造設手術後は小腸(ストーマ)が少し腫れたのもあって、面板の穴の部分を4cmにしていたのですが、しばらくしたらギューッと縮まってきて3cmのものに変えました。

ストーマってポコッと小腸が出ているもの*1なのですが、手術後はすごく膨らんで腫れていて。それが退院からしばらくしてどんどん縮まってきたんです。でも医療品ですし、勝手に3cmに変えていいのかな、とは考えましたね。

先生にも伝えたかもしれないですけど、ストーマ装具*2を販売してくれる業者さんに相談して変えてもらいました。穴の大きさは自分で切って変えることもできるんですが、大きさのバリエーションがあって選べるので、そうしました。3日に1回のペースで交換していると、自分で切って貼るのはわりと時間がかかってしまうので、すでにあるものを注文していますね。

装具は、私はいつも電話で注文しています。いろいろな装具のメーカーのものを扱っている店があって、入院中に紹介されました。

装具以外にも、はがすときに使う液体(リムーバー)やはがした後に使うベビーパウダーのような粉など、全部そこで購入していますね。ほかにも、私が使っているストーマ袋は外から便が見えるタイプなので、見えないようにするカバーについて相談したことがあります。支払いのことや給付金のことについても、向こうはすごく慣れているので助かりますね。

正確な値段は定かではないのですが、私が使っているストーマ袋は5枚入りで3,000〜4,000円くらいするので、給付金がないとやっていけません。詳しくはわからないのですが上限額もあるようなので、そのお店にお任せしています。

電話での注文時に、今の給付額で注文できるマックスまで計算してくれるんです。例えば「5枚入りを5つに、リムーバーを2つつければちょうどいいですよ」と言ってくれて。すごく助かっています。

*1 S. N.さんの場合は小腸でストーマをつくっているため

*2 ストーマからの排せつ物をためるための専用の装具のこと。パーツが分かれているタイプの場合、袋の方は「ストーマ袋」と呼びます。

漏れ防止のために、テーピングが欠かせない

―― 装具をつけるときに気をつけていることはありますか?

面板の粘着力だけだと不安なので、まわりにテーピングをしてはがれないようにしています。これは看護師さんにやり方を教えてもらいました。

また、装具をつけて3日目くらいになると、どんどん重力で引っ張られて下がってしまうんですよ。袋がぐしゃぐしゃになってなんか汚いなってなるので(笑)、上からもさらに2カ所、テーピングしています。

普通の白いテープだと粘着力が強いせいで、安心といえば安心なんですけど、皮膚から粘着物が取れなくなって、肌が荒れてかゆくなっちゃうんですよね。だから風通しがよく伸縮性のあるタイプのテープを使っています。

私の場合は小腸(ストーマ)から便が出てきて、本来ドロドロした状態なのですが、水っぽい便で隙間にちょっとでも入ると、にじんできちゃうんです。テーピングをすることでそれもだいぶ減ったものの、にじんできた上からテープを二重三重に貼って応急処置をすることもあります。

また、(おなかを壊して)便が水っぽくなったときのために、ストーマ袋も補強しています。全部が全部ではないのですが、たまに不良品なのかも? と思うときがあって。走ったり、子どもと遊んだりしているうちにいつの間にかすごくこすれていて、袋の四隅が弱くなっているときがあって。破れてポタポタと漏れたことがありました。今はガムテープで袋の四隅を補強するようにしています。

―― ほかに、日常生活で工夫していることはありますか?

起き上がる際は、ストーマ袋がパンパンに膨らんでいるときに思いっきり起きると破裂しそうなので、守りながら…ゆっくり起き上がるようにしています。ストーマの造設後はあおむけで寝ていて、うつ伏せで寝たことはありません。

横向きならどちら側で寝ても大丈夫ですけど、ストーマ袋にたくさん入って膨らんでいるとだらんとなるので、ちょっと気になるんですよね。また、便が水っぽくなっているときは、ちょっとした隙間があるだけで漏れちゃって、ベッドのシーツだけでなくてマットレスまでいっちゃう。マットレスまでいくと洗えなくて結構面倒なので、今はもう敷かなくなりましたけど、最初はビニール製のシートを敷いていました。

あとは、トイレで袋の中の便を捨てるときは、早く全部出したいと急いでギュッと絞ってしまうと、圧力で破れちゃったりすることもあって。それに気づかなかったりもするので、すごく膨らんでいる状態はなるべく避けるようにしています。

ズボンをはいていて袋が膨らんでくると見た目が気になってくるので、その時点が捨てるタイミングです。ただそのタイミングに時間が取れないときももちろんあって、不安になることもあります。

丈の長さや素材が服選びのポイント

―― 服を選ぶときに気をつけていることはありますか。

トップスは、(装具が)ちょっと隠れるくらいの、丈が長めのものを選んでいます。冬場はジャケットがあるのでいいのですが、夏場は隠せないので長めのTシャツを。普段はトップスをインしていません。夏場の仕事中に薄手のシャツを着ていて、気づいたらボワンと膨らんでいて「こんなにたまってたんだ!」ってびっくりしたこともあります。

仕事に熱中していると、気づかなかったりします。最近ではTシャツスタイルでも、家の近所にいるときはあまり気にならなくなりましたが…。

ズボンは、締め付けないようにベルトをしなくなりました。できる限りゴム入りのズボンを選んでいます。また、ちょっと硬めの、わりとしっかりとした生地のものをはくようにしています。膨らみが目立たないようにというか、どうしてもポコッと膨らんできて変に見えちゃうので。

ジャージはすごく(膨らみが)目立つのではきません。子どもと遊ぶときもジャージではなくてちゃんとしたズボン、サッカーをするときもちゃんとしたズボンです。

―― スキンケアは意識していますか?

クリームなどでのケアはとくにしていません。ただ、私の装具は裏の部分が不織布のような素材になっているのですが、そのせいなのか、夕方になるとかゆくなってきちゃうんです。早くお風呂に入って洗いたくなります。

みんなそうかもしれないですけど、まわりがかゆくなってきて、でもかけない、という感じで、夏場はとくにひどいです。1日でも放っておくとかゆくなっちゃうので、お風呂には必ず毎日入っています。

このかゆみの問題は解決できなくて、いつの間にかその不便さに慣れちゃったのかもしれないです。耐えるしかないと思っていて、かゆいなぁ、いやぁちょっと眠れないな…と思いながら過ごしています。

装具の交換は、家族には見せられない

―― お風呂では実際にどのようなケアをしているのでしょう?

しっかり水を当てて丁寧に洗うことと、毛を丁寧にそっておくことが大事で、それがかゆみに関係してきます。毛はどうしてもどんどん伸びてきて、チクチクするんですよね。場所によるかもしれませんが、毛深い人はそういうことがあるかと思います。

装具の交換は、いつもお風呂場でやっています。お風呂場で換えるのが一番やりやすいですよと病院で教わったので。でも、その様子は家族に見せられないっていうのはありますね、汚いから(笑)。

装具をはがして何もつけていないときに、便が出てきたりするんですよ。今は慣れちゃったんですけど、最初はお風呂場で流すのに抵抗がありました。ちょっと悪いな〜って思って、自分で積極的にお風呂掃除をするようになりましたね。

湯船にはほとんど入りません。冬場は入ることもありますが、やっぱり漏れるのが怖いという気持ちがあるのと、空気が少しでも残っているとストーマ袋が浮いてくるので落ち着かないというのもあります。また、結構泳ぐほうだったのですが、ストーマになってからはプールにも行かなくなりましたね。ラッシュガードをつけていても、袋が浮いて気になるし、水の中で漏れたらプールの水を全部換えるのかっていう恐怖感もあるので。

そこまでのこだわりはなかったので私はたいしてストレスではないのですが、お風呂に入れない、プールにも行けないということがつらい人、ストレスになっている人はいるかもしれないですよね。漏れないようにしっかりガードしてくれるアイテムが出てきたら、これはいいってなるかも。ひょっとしたら常々不便だと思っていることが、解決できるかもしれないですよね。

外出時はストーマ装具が入ったポーチを常備

―― 体力が回復していくなかで山登りなどもされているとのことですが、出かける際に特別な装備はしていますか?

装備とは少し違いますが、トイレの場所をしっかり押さえておくようにしています。トイレを見つけたらそこで便を捨てておくように、下りはすごくストーマ袋が揺れるのではがれないように、気をつけています。

交換してから3、4日経つと粘着力が弱くなってきて、便がたまりすぎると重たくなって、重力ではがれそうになります。地方出張に行くときも、この先トイレがないかもしれないので、トイレを見つけたらとりあえず行って、便を捨てておくようにしています。

また、なるべく接触しないようにも気をつけています。小腸がポコッと出ているのですが、混んでいる電車に乗っているときなどにこすられると怖いというか。小腸って触っても何も感じなくて、痛みも全然ないのですが、よく見たらちょっと血が出ていたりして。表面から血が出ていても痛くないんですよ。

痛いときのほとんどは便が詰まっているときで、内側がズキズキする感じなんです。なるべく守りながら、あまり人混みの中には行かないようにしています。子供と遊んでいるときもぶつからないように気をつけています。

仕事がらみや旅行などで生活圏を離れる際は、装具やスキンケア用品を入れているポーチを持ってないと不安になります。家の近所で買い物するときは、もう持ち歩くことはなくなりましたが。

実際はあまり使ったことはなくて、少し漏れてテープで補強をするとか、その程度ではあるのですが、何かあったときのために常に持っていたいなと。大袈裟かもしれないですが、災害など何が起きるかわからないですし、電車が急に止まって何時間も閉じ込められるなんてことも、ないこともないなって。そういう意味でも持っておきたいっていうのはありますね。


ストーマをつくるときや装具選びのときの病院でのやりとりや、はじめの頃の装具交換の話は【手術前後編】へ。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
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1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

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