プロフィール
夫・息子(17歳)・娘(14歳)と4人暮らし。がん発覚時は専業主婦、現在(2024年取材時点)は百貨店にあるレストランの厨房で平日4〜5日・1日あたり5時間程度のパート勤務。
2021年3月に受けたCT検査がきっかけでステージ1の肺がんと診断され、同年5月に入院し、胸腔鏡下手術で左肺の一部を切除した。手術後は肺炎や体重減少を経験し、現在は半年に一度のCT検査を受けながら経過観察を続けている。喫煙歴なし。
CT検査をきっかけにステージ1の肺がんが見つかったというY. K.さん。胸腔鏡(きょうくうきょう)による手術で左側の肺の一部を切除しました。今回はがんの告知を受けたときの気持ちや、手術後に経験した体調の変化などについて、詳しく語ってもらいました。
毎年受けていたCT検査で肺がんが発覚
―― 肺がんが見つかったときのことを教えてください。
結婚してから毎年、夫の会社で受けられる“主婦健診”を受けていたのですが、2016年にレントゲン検査で影があると指摘されたんです。総合病院で2次検査をして「影はあるけれどもまだそこまでがん化している様子はないから、毎年CT検査をして経過をみましょう」となりました。
それから毎年CT検査を受けて、変わりなかったのですが、2021年3月に受けた検査で引っかかりまして…。1カ月以内に2回精密検査をして、そのあと1泊2日の入院検査を受けました。
その結果「やっぱりこれはがんだと思われるので、このあとどうするか決めましょう」となり、どんどん治療の話に進んでいきました。ステージ1の肺がんで、当時は“限りなく0に近い1”ということでした。
医師とのやりとりに戸惑いも
―― 治療はどのように決めましたか?
告知を受けたときから、抗がん剤による治療や放射線治療などではなく、手術による切除と決まっていました。「ほかの選択肢はないですか?」と主治医の先生に尋ねましたが「手術が一番いい」という回答でした。
幸いなことに、どこにも転移がなかったんです。「転移があれば抗がん剤や放射線を考えるが、がんが肺にしかないので、それを取ってしまえばほかの臓器に移るリスクが少ない。転移する可能性が低いうちに取ってしまいましょう」というのが先生の意見でした。私も転移がないと言われて安心しましたし「取って治るのであればやろうかな」というふうに考えました。
胸腔鏡による手術(3〜4つの小さな穴を開けて内視鏡や手術器具を挿入し、テレビモニターで胸の中を見ながら進める手術)で左の肺を切除することになったのですが、傷が少なくて回復も早いという説明でした。看護師をしているいとこに手術をするべきかどうかを相談しましたが、医師に言われた言葉を伝えると「それは手術をしたほうがいい」と言われましたね。
ただ、最初の精密検査から入院検査、そして手術と、スケジュールがどんどん決まっていって、自分で考える時間があまり取れませんでした。先生の主導で先々が決められていってしまって…。
言葉を挟むことができないくらいの勢いで、先生はやる気満々で「ここなら手術の日が空いていますのでやりましょう」と話が進んでいきました。「ちょっと先にしてください」とかそういうことが言いづらくて、私としてはもう少し自分の話を聞いてほしい気持ちがありましたね。
息子と娘には、深刻にならないように伝えた
―― 家族には、がんのことをどのように伝えましたか?
夫には比較的早く「今日検査でこう言われたよ」という感じで伝えました。心配はしていたのかもしれないですけど「手術しろって言うんだから、するしかないんじゃない!?」「軽いうちだから大丈夫だよ」と、反応は薄かったですね。こっちのほうが拍子抜けしてしまったというか、「もうちょっと心配して!」と思うくらいでした(笑)。
子どもたちには、入院と手術についてどのように話すべきかとても悩みましたね。病状はそんなに重くないので、あまり深刻にならないように、そこまで心配しなくていいということを伝えようと思いました。
息子と娘には別々に伝えました。息子には「お母さんね、がんが見つかってね。肺がんなんだけど。ちょっと1週間ぐらい入院して手術するよ」というふうに言いました。娘は当時まだ小学生だったので「お母さん、がんだからちょっと家を空けるからね。お父さんとお兄ちゃんと3人で1週間くらいがんばってね。でもそんなに心配することないからね」という感じで伝えたと思います。
娘は案外「お母さん大丈夫そう」となったのですが、息子はかなり心配していたようです。私や夫には一切言わなかったのですが、友達に「うちのお母さん、肺がんなんだ。今度手術するんだけど…」といった話をしていたらしいです。あとから友達のお母さんに聞いて知りました。
窮屈な入院生活。退院後は肺炎を起こした
―― 手術を受けたときのことや手術後の様子について教えてください。
2021年の5月に入院して手術をしたのですが、ちょうどコロナ禍で制約が厳しい時期だったのでとても窮屈な感じでした。“傷がふさがったらすぐに退院を”とのことで、手術から6日後には退院しました。でもすごく痛くて、動けなくて…。先生は「退院したら何をしてもいいよ、車の運転もしていいよ」と言っていたんですけど、それは無理でしたね。
退院してからは動くことができず自宅で寝たきりだったのですが、なぜか肺炎になってしまいました。手術で肺の神経が傷ついていて、退院して3日ほどして咳(せき)が出てきました*1。咳が出ると傷に響くし、家ではとても起きていられない状態でしたね。ベッドにクッションをたくさん置いて寄りかかるようにしていました。夕方になると高熱が出て、朝になると下がる、という症状も繰り返し起こりました。
咳もどんどんひどくなり、これはおかしいなと思って発熱外来に行ってCT検査をしたら、肺炎だとわかりました。普通なら入院するところなのですが、コロナ禍のためできなくて…。肺炎の治療は内服薬くらいとのことで、2週間分の薬を処方されて、家で安静にすることになりました。
なかなか治らなくてもう一度病院に行って薬を追加でもらい、最終的に治るまで1カ月ほどかかりましたね。咳をゲホゲホしているだけで動かなかったので、1カ月で10kgほど痩せてしまいました*2。
*1 咳が出た原因には、気管支や肺切除後の炎症による刺激も考えられます。
*2 がん罹患前は更年期症状や家庭内ストレスなどで食生活での不摂生があり、体重が大幅に増加していた時期だったとのことです。体重減少の原因には、不摂生がなくなったことや食事を取る量が減ったことも考えられます。
―― 手術後の生活について事前に聞くなど、対策はしていたのでしょうか。
肺活量を鍛えるためのプラスチックの器具があるのですが、それを使ってトレーニングをしたほうがいいと主治医の先生に言われて、院内の売店で買って、手術前からやっていました。退院してからもつらいときは、少しでも良くなればという気持ちでやりましたね。
ほかには主治医の先生からはとくにマイナスな説明はなくて、手術をしたらすぐ動ける・退院したら普通に生活できると言われていました。でも、実際はまったく違いました。歩くこともかなり大変で「これは聞いてないぞ」と(笑)。(開胸ではなく)胸腔鏡による手術だったのに、こんなに大変なのかと驚きましたね。
手術後の生活編:「肺がん手術後の生活の変化と家族の支え 〜楽しく一生懸命生きているところを家族に見せたい〜」を読む


