企画協力:グンゼ株式会社
オストメイト(ストーマ保有者)になったら、どのような服装で過ごせばよいのでしょうか。ここでは、毎日を快適に過ごすための服装のポイントについて見ていきます。
Q.退院後はこれまでの服装を見直す必要がありますか?
A.オストメイトになったからといって、それまで着ていた衣服が着られなくなることはあまりありません。おなかまわりに手が入るゆとりがあり、ストーマや装具を過度に圧迫しないものであれば、ジーパンやガードル、着物なども着ることができます。気負いすぎず、これまで通りの服装を基本に、不都合があれば調整するくらいの心持ちでいましょう。
ストーマ袋が膨らんで目立ったり、体型がだぶついて見えてしまうのでは? と不安に思うことがあるようです。ただ、ストーマ装具はできるだけ目立たないようにコンパクトに設計されていますし、装着感なども配慮されているものもあるので、気にしすぎる必要はありません。
Q.毎日を快適に過ごすための服装のポイントを教えてください
A.退院して最初の2週間ほどは、ウエストがゆったり目の服装でこまめにストーマや装具の調子を確認するようにしましょう。排せつ物がストーマ袋の中にスムーズに入っていくことが確認できれば、だんだんとちょうど良いウエストのサイズ感がわかってきます。焦らずに自分のスタイルを見つけていくことが大切です。
また、オストメイトの悩みのひとつに「肌着」の問題があります。開腹手術(ストーマ造設を含む)を受けたことのある患者さんを対象としたアンケートによると、回答したすべての方が手術後の肌着選びに関して、何らかの悩みを持っている(または持っていた)と回答しています。
【参考:ストーマを保有する人の肌着選びのポイント】
また同アンケート(下の表参照)では「開腹手術後に下着を使用した際に感じたこと」という質問に対して、すれや不快感、痛みなどの肌トラブルにまつわるものに加えて「体型がくずれて見える」をはじめ「(サイズが)大きすぎる、または小さすぎる」といった回答も少なからずありました。
出典:グンゼ株式会社「腹部手術後の下着に関する調査」(2023年実施) 回答数:146人(複数回答可)
こうした悩みや不安への対処としては、オストメイト専用に開発された肌着を選択するといいでしょう。専用の肌着には、ストーマ袋の位置を安定させたり、袋と肌が直接触れ合わないようにすることで、肌トラブルを未然に防ぐ機能があります。
「腹帯タイプ」や「ショーツタイプ」などさまざまな形状の肌着が市販されており、自分のストーマの位置に合わせてハサミで穴を開けてカスタマイズすることが可能な商品もあります。
腹帯タイプの肌着のカスタマイズ
肌着だけでなく、ストーマ袋カバー(パウチカバー)やオストメイト用の水着、ナイトウェア、ハイウエストタイツなども市販されているので、ご自身の目的に合わせて試してみてはいかがでしょうか。
Q.おしゃれを諦めたくありません。みなさんどのような工夫をしていますか?
A.もちろんオストメイトもファッションを楽しむことができます。ファッション性と快適さを両立させるための服装の工夫について、次のことを参考にしてみてください。
ストーマ装具を外見に響きにくくする工夫
- 身体にフィットする服装をする場合は、専用の腹巻などを使用する
- 外見に響きにくい厚手の素材を選ぶ など
パンツスタイルの場合
- ストーマ部分に当たらなければ、ぴったりとフィットする洋服やデニム・ガードルを着用してもOK
- スーツなどベルトが必要な場合は、サスペンダーでズボンを固定しベルトは緩めに
- テーパードパンツなら比較的ウエストに余裕ができやすい
- 女性の場合は、ウエストを締め付けないマタニティ用のパンツ(ズボン)を利用するのもおすすめ。最近では、デザイン性の高いマタニティウェアも種類が豊富にある
- トップスの裾をアウトにしたり、ふんわりしたチュニックやオーバーサイズのものを選べば、ウエストに余裕を持たせつつ、バランスのよいスタイルを作ることができる など
スカートスタイルの場合
- パンツスタイル同様、ストーマ部分が圧迫されたりすれたりすることがなければ、どんなデザインのものを選んでもOK
- ふわっと広がるギャザースカートなら、ストーマ袋の締め付けが少ない
- ウエスト部分がストーマの位置よりも上にくる(ハイウエスト)デザインを選び、ストーマ袋がスカートの中に収まるように調整する など