プロフィール
夫婦と息子(3人兄弟の末っ子)との3人で暮らす。群馬県在住。
主婦業のかたわら、20年近く自治体のボランティア活動にも参加し、今は体の不自由な夫のケアもしている。
2015年(当時52歳。今は独立している長男・次男も一緒に5人で暮らしていた)に市のがん検診でステージ3の胃がんが見つかり、胃の4分の3を切除。その影響で15kgの体重減少を経験。その後は抗がん剤治療を経て経過観察となり、現在は血液検査、胃カメラ、CT検査を1年に1回ずつ受けている。
治療を開始した患者さんのなかには、手術後の体の変化や日々の体調によって、“食事”が思うようにできない方がいるといいます。とくに退院後、自宅に戻ってからの食事は、本人に委ねられているため「どんなものを食べるといいか」「どう対処するといいか」悩む方も少なくないようです。
M. H.さんは現在、経過観察7年目。10年前に経験した胃を切除する手術を境に、食事との関わり方にどんな変化があったのでしょうか。「気になった症状」「そのときの気持ち・知りたかったこと」「食事への対処・工夫」「日常の出来事やイベント」といった4つの項目ごとに、時系列で振り返ってもらいました。
(編集部注:ご本人の感じ方や表現を大切にするため、アンケートの回答はできるだけ原文のまま掲載しています)
手術前
気になった症状
- 自覚症状はなかったものの、かなりひどい貧血と診断された
そのときの気持ち・知りたかったこと
- 自分自身では何も感じてないのに不思議。「体重もそれなりでふだんどおりに食べていたのになぁ~」
食事への対処・工夫
- 医師からの提案で、体質改善(輸血)のために手術の1週間前くらいから入院となったが、結局、輸血はせずにそのまま手術に臨んだ
日常の出来事やイベント
とくになし
手術後(入院中)
気になった症状
- 手術直後は食べたい気持ちにならず点滴で過ごした。10日目くらいからなんとなく食べたい気持ちになって、先生に相談して食べはじめた。
※ 現在は、術後翌日におもゆからスタートすることが主流です。
そのときの気持ち・知りたかったこと
- 点滴だけで口に物を入れてなかったけど、「人はやっぱり口から食べ物をいれないとだめだなー」と思った。
- 初めておもゆ等の病院食を口にした時は、傷のことや食べたことによってどうなるか不安な気持ちもあった。
食事への対処・工夫
- ゆっくり時間をかけて食べた
日常の出来事やイベント
とくになし
退院~1カ月
気になった症状
- 不安があって量を食べられなかった
そのときの気持ち・知りたかったこと
- 手術をしたことがなかったので、「食べたら傷が広がっちゃうのかな?」とかいろんな気持ちがあった
食事への対処・工夫
- ゆっくり、よくかみくだいて、少量ずつ
- どれくらい入るか(食べられるか)が自分でわからないから、意識的におなかいっぱいは食べない
- そば、もち、きのこなどは食べない(病院で渡された冊子に消化の悪いものとして書かれていたので、胃に負担をかけないようにと思ってしばらく避けていた)
- 3食の間、果物やクッキーなどを食べた
日常の出来事やイベント
- 退院したのが冬だったので、寒いし、免疫が落ちているかもしれないし、風邪を引いたら怖いし、で家の中で過ごした
1カ月〜半年後
気になった症状
- 食事の量の変化に、目(食べたい気持ち)と体(食べられる量)がついていかず、食べ過ぎて、吐き気・下痢
そのときの気持ち・知りたかったこと
- 食べ方の工夫を知りたい
食事への対処・工夫
- 大皿から取って食べるのをやめた(量が把握できないため)
- ワンプレートにあらかじめ3才児くらいの食事を取り分けて、目で見て「これだけの量を食べた」というのを理解して食べるようにした
<外食のとき>
- ひとりではなく、誰かと行くようにした
- 自分の分を頼んでも半分以上残してしまうため、友達から少しずつ分けてもらった
- 料理を残すとお店の人に悪いし、注文しないのも気が引けたので、回転ずしや半チャーハンなど少量のメニューがあるお店を利用した
- 旅行の時はホテルにお願いしてご飯はおかゆにしてもらった
日常の出来事やイベント
- ボランティア再開(1.5カ月後)
- ボランティア仲間と温泉旅行(3カ月後。退院後、初めての外食)
- ママ友と旅行(4カ月後)
- ママ友とひもかわ(M. H.さんが住む群馬県の名物)を食べに行った(10カ月後)

1年後
気になった症状
- 注意しているつもりでも、食べ過ぎて、ときどき吐き気・下痢
- 胸やけ
- 油の料理を多量に取ると下痢になりやすい
- 食後2時間経ったくらいに気持ちがそわそわ・ふわふわして、思考能力がなくなるような感覚になることがある(これがダンピング症状ではないかと認識している)
そのときの気持ち・知りたかったこと
- 食べることに慣れてきた
食事への対処・工夫
- もったいないとか、最後のひと口という気持ちで食べない
- ダンピング症状があったら飴をなめた(先生からは黒砂糖を食べるよう言われて用意しているがまだ食べたことはない)
- 辛い物など刺激物を取らない(とくに症状があったわけではないが、食べないほうが胃に優しいかな?と思って控えている。先生に止められているわけではない)
日常の出来事やイベント
- 友達と外食。近所の海鮮丼のお店でのテイクアウトを時々する。なぜかそのお店のごはんはおいしく食べられる(食べるものの制限はしていないが、あまり外食はしていない)
2年目〜現在(10年後)
気になった症状
- 食べ過ぎると気持ちが悪くなり吐き気・下痢(だんだん回数は減っている)
そのときの気持ち・知りたかったこと
- 「あ~またやっちゃった」って後悔する
食事への対処・工夫
- 少し時間が過ぎればよくなるので、「がまん、がまん」で乗り越える
- 炭酸系の飲み物は気持ちが悪くなるので少なめ(200cc位)
- 油ものが嫌だなとかんじるようになった(お肉はあまりたくさん食べれない。頑張ってコンビニのフライドチキン1つくらい)
- 食べ過ぎるとおう吐や下痢を起こすので、ワンプレートにして食べ過ぎを予防

日常の出来事やイベント
- 友人と旅行
- 友人と外食でのランチ(ご飯は普通盛りだと食べきれないので「少なく」でお願いするが、お店の好意で多く盛ってくれて、結局残す量の方が多い)
- 夫と温泉旅行 など

胃を4分の3切除する手術を経て一時は15kgもの体重減少を経験したM. H.さん。手術から10年あまりが経った今では体重も増え、自分に合った食生活を楽しんでいるといいます。


