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体験談
大腸がん

糖尿病の治療中に直腸がんと診断 【治療から経過観察に至るまで・前編】

#医師との会話#内視鏡治療
公開日2026.06.04
お名前
S. Y.さん
性別
男性
罹患時の年齢
50代
がん種
大腸がん

プロフィール

妻と3人の子どもの5人家族(診断当時、子どもは30歳・28歳・20歳)。大阪府在住。
約20年前から糖尿病を患っており、約6年前からは障害年金を受給し、仕事(運送業)も辞め、糖尿病の治療に専念していた。その頃から血便が続くようになる。昨年(2023年)、糖尿病の診察の際に検便をすすめられ、その結果は陽性。その後の精密検査で直腸がん(ステージは主治医から聞かされておらず不明)と複数のポリープが見つかる。すぐに治療を開始し、がんとポリープを切除するために内視鏡治療を複数回受け、現在(2024年取材時)は糖尿病とその合併症の治療を受けながら経過観察中。


糖尿病の治療のため、定期的に病院に通っていたS. Y.さん。2023年1月に直腸がんと診断されました。それ以前から糖尿病による合併症も見られ、さまざまな症状が出ているなか、直腸がん発見のきっかけとなったのは貧血と血便でした。

糖尿病の治療を行うなかで直腸がんが見つかった経緯、またがんと診断されてから治療に至るまでの流れについて話してもらいました。


糖尿病の治療中に直腸がんが見つかる

―― がんになる前から糖尿病の治療を行っていたとのことですが、糖尿病の治療を行うなかでがんが見つかったときの経緯を教えてください。

2003年に糖尿病の診断を受けているのですが、その時点で足のしびれや神経障害も出ていたりと、かなり進行した状態でした。当時は普通の生活を送りながら投薬治療を受けていたのですが、それから仕事も忙しくなって、病院に通わない時期も数年間ありました。でも6年くらい前(2018年頃)からは合併症も起きてしまい、治療に専念するために仕事も辞めて定期的に病院に通っていました。

その糖尿病の診察を受けていたあるとき、主治医の先生から「貧血の数値が少し心配だから、一度検便(便潜血検査)をしてみてください」と言われたんです。検便の結果、陽性(便の中に血液が混じっていた)で、さらに(大腸の)内視鏡検査も受けたほうがいいということになり、そこでがんが発見されました。これが2023年1月のことです。

―― 貧血や血便など、初期症状からがんを発見できたんですね。

そうなりますかね。

ただ実は、排便のときに血が出てしまうことは、糖尿病の治療を本格的に開始した6年くらい前からありました。当時はインスリン治療をしていたこともあり、便秘になることが多くて。便が硬く出にくくなってしまうので、便の量が多いときには肛門まわりが切れて出血してしまうことがよくあったんです。

なので、最初自分では「そのせいかな」くらいに思っていました。まさか大腸に何か問題があるなんて、当時の自分は考えることはなかったですね。

でも、あとから振り返ってみると「あのときのあれは、がんのせいだったんだ」と思うこともあります。がんが見つかる1年くらい前からは、自分でもびっくりするくらい排便時の出血量が多くなっていたんです。便に血が混じることは月に何回かありましたね。

診断とともに、考える間もなく治療法を決断

―― がんと診断されたとき、先生からはどのような説明を受けましたか?

内視鏡検査を受けたすぐあとに糖尿病の診察があったのですが、そこで先生から「いくつかポリープが見つかって切除したけど、そのなかでひとつ怪しいものがある」と伝えられました。そして、その日のうちに急遽、消化器内科の先生を紹介していただいてすぐ受診しました。

そのときは(内視鏡検査のときに切除したポリープに対する)病理検査の結果はまだ出ていなかったのですが、消化器内科の先生も、内視鏡検査の画像を見て「このひとつは、ほぼ間違いなくがんだろう」と。そのちょうど1週間後に病理検査の結果が出て、直腸に2カ所がんがあると診断を受けました。

診断を受けたときに治療法についての話もあって、そこで手術での切除を提案されました。

2カ所あるうちの小さいほうのがんは、ほぼ間違いなく内視鏡治療*1で取れるだろうとのことでした。それは肛門に近いところにあったのですが、100%の確率ではないけれども、もし外科手術になっても人工肛門(ストーマ)をつくらなくて済む可能性が高いと説明を受けました。

ただ、もう1カ所のがんは大きくて、内視鏡治療で取れるかどうかギリギリのところだったそうです。なので、内視鏡治療をしてみて、がんを取りきれなかった場合は外科的な手術をするという方法もあるが、二度手間になるので最初から外科手術を行ってもいいのではないか、という提案を先生から受けました。大きいほうのがんは肛門から遠いところにあったので、外科手術をしたとしても、こちらも人工肛門はつくらず進められるだろうということでした。

*1 肛門から内視鏡を挿入し、先端の器具でがんを切除する治療法です。外科手術とは異なります。

―― 先生からの提案を聞いて、どのように治療法を決断したのでしょうか?

先生からは「今決めてください。どうしますか?」という感じだったので、「できれば内視鏡(治療)でしたい気持ちが強いです」と伝えました。もう、悩んでる間もなかったですね。

今思うと、もう少し考える時間をくれてもいいのに…と。でも二択だったので、もう自分の心構え次第なところもあったのかなと思います。

やはり、負担が大きくなるのは気持ちの面でもしんどかったので、それならばまずは内視鏡で1回お願いしたいということで決断しました。

―― 先ほど人工肛門についての話題が出てきましたが、人工肛門に関する詳しい説明も先生から受けたのでしょうか?

僕は内視鏡治療を選んだこともあり、万が一、人工肛門をつくることになるとしてもそれまでには少し時間があったので、自分でいろいろ調べました。

起きてしまったことはもう仕方がないので「人工肛門になってしまったらどうしよう」という感じではなく「もしそうなったら、どのように対応していくことになるのだろう」という考えで、主に人工肛門を設置した場合の日常生活について調べていましたね。

内視鏡治療で無事がんを切除

―― 治療や入院中のことについて印象的だったことを教えてください。また糖尿病の治療への影響などはありましたか?

2023年2月に内視鏡治療を受けて、がんを取ることができました。ただ、ポリープの数が多く、まだほかにも複数のポリープが残っているということで、それはまた日を改めて取ることになりました。

内視鏡治療自体は無事終わったのですが、治療のために入れた尿道バルーン*2が痛くて…。入院中、退院の前日まで4日間バルーンを入れたまま過ごしたのですが、もう痛くて動きたくないという感じで。それがしんどい部分でした。

*2 尿を体外に排出するため、尿道から膀胱へ挿入した細い管のことです。尿道カテーテルともいいます。

―― 糖尿病の治療への影響などはありましたか?

転移などを調べる検査のために、糖尿病の治療薬を1週間ほど止めないといけないタイミングもあったのですが、退院後は以前ととくに変わらない生活に戻ることができました。転移の傾向もみられずに済み、今は糖尿病の治療を続けながら経過観察中です。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
監修者の写真

1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

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