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体験談
大腸がん

横行結腸がんの発覚と手術。定期検査から遠ざかっている現在の思い

#精密検査#手術#日常生活
公開日2026.04.07
お名前
Y. S.さん
性別
男性
罹患時の年齢
50代
がん種
大腸がん

プロフィール

妻、娘(18歳)と3人暮らし。娘さんの大学進学を機に、温めていた転職計画を実行したばかりで、現在求職中(がんの診断を受けたときは会社員で自動車部品の営業職)。
2021年9月に受けた健康診断がきっかけでステージ1の横行結腸がんが発覚。2022年3月に入院し、腹腔鏡手術で大腸を3分の1ほど切除。現在(2024年取材時)は経過観察中。


2021年に大腸がん(横行結腸がん)が見つかり、2022年に腹腔鏡(ふくくうきょう)手術で切除をしたY. S.さん。がんがわかったとき、手術から退院後のこと、そして現在の状況について話を聞きました。


きっかけは健康診断。約3カ月かけて精密検査を終え、手術へ

―― がんが見つかったきっかけを教えてください。

2021年9月に会社の健康診断を受けたことがきっかけです。10月末に届いた結果で、便潜血が陽性とあったんです。そういう結果が出ても、それまで精密検査を受けることはなかったのですが、なんとなく、地元の病院で精密検査(大腸内視鏡検査)を受けました。12月中旬のことです。

空気でおなかを膨らませながらカメラを入れるので、おなかがパンパンに張って苦しかったことを覚えています。そのため検査中にモニター(に映る腸内の映像)を見る余裕がありませんでした。検査が終わり、先生のところに話を聞きに行ったら「大変なものが見つかった」「これはがんで、進行性のものだから切るしかない」といったことを言われました。

県立病院に紹介状を書いてもらい、そこで詳しい検査と治療をすることになりました。ただ、仕事が年末の休暇に入ってからすぐに行こうとしたのですが、病院も休みになってしまって…。翌年、休み明けの1月4日に(受診が)ずれてしまいました。

そこから2月にかけては検査の繰り返しで大変でしたね。大腸内視鏡検査をもう一度やりましたし、腹部エコー検査やPET-CT検査、ピロリ菌の検査などもやりました。

毎週のように検査をし、1週間に2回検査することもありました。大腸内視鏡検査は地元の病院でやったときよりも全然苦しくなかったです。今度は検査中にモニターを見ることができて、自分でも“きのこ”のような形をしたがんを確認できました。

また、ピロリ菌検査ではピロリ菌がいる可能性があることがわかり、内科の先生の指示で1〜2週間、抗生物質を飲んで数値を下げました。

―― がんと診断されてから治療まではどのように進みましたか?

紹介状を書いてもらった県立病院にそのまま行くことにして、ほかの病院を自分で探すことはしませんでした。わざわざ遠くの病院にまで行きたいと思わなかったですし、仕事が繁忙期だったこともあり、自分で探すのが面倒でしたしね。

対応が遅いとがんが転移してしまう、などと考えるとのんびりしていられないという気持ちがある一方で、健康診断から精密検査までの3カ月はそこまでがんの状態が変わらなかったので、2〜3週間だったら遅れても影響はないだろうなという気持ちもありました。

私のがんは横行結腸がんで、治療は腹腔鏡手術という、おなか4カ所とおへそに穴を開けて(カメラや器具を入れて)がんを切除し、腸をつなぐという手術を先生にすすめられました。

地元の病院で「切るしかない」という説明を受けて、そう思っていたので、先生に「あれ、おなかを切らなくていいんですか?」と尋ねたら、切る(開腹手術)ほうが手術としては難易度が低いようで「切ってほしいならいくらでも切りますが、腹腔鏡手術のほうが回復が早いのでいいと思いますよ(笑)」と言われました。

2月中旬にすべての検査が終わり、主治医の先生からは2月末に手術できるか聞かれたのですが、手術から入院期間までが2カ月にまたがると(高額療養費制度を利用した場合は月単位で自己負担額が計算されるため)お金が余計にかかる場合があるので、3月初旬に変更してもらいました。

最初に精密検査を受けてから3カ月ほどでトントンと手術まで進んだので、食べるものなど、生活は大きく変わりませんでした。ただ、お酒は手術の2〜3週間前から控えたと思います。

がんのことを家族には、医師に言われたとおりのことを伝えました。

自分の持ち物の整理などは、結局何もしませんでした(笑)。いらないものは処分したりお金になるものは売ったり、お金や保険、自分名義のクレジットカードなど、自分が所有しているものは家族が後々困らないようにしておかないと、と思ったものの、やろうと思ったら何からどのようにしたらいいのかがわからなかったです。

手術後3カ月つづいた痛み

―― 入院から手術、手術後の様子について教えてください。

2022年3月1日に入院して翌日手術し、10日ほどで退院しました。手術時間は5時間くらいだったと思います。麻酔がかかっていたので、起こされたときには終わっていた、という感じです。内視鏡検査のときにモニターで見たがんとその前後も含めて、長さにしたら3分の1くらいの大腸を切除したと思います。おなかに小さい穴を開けるだけでよく手術できるなと思いましたね。

手術が終わったあとは集中治療室にいて、翌日の午前中から一般病棟の個室に移りました。すぐに食事できないのに、何かを飲まされたあとに看護師さんから「おならは出ましたか」と聞かれました。おならが出ていないと腸が動いていない証拠だと言われて。その翌日には出たのですが、最初は(おならが出なくて)少し心配になりました。あれほどおならが恋しかったことはないです(笑)。

また噂通り、運動したほうが早く治ると言われて、点滴をぶらさげたスタンドをガラガラと引っ張りながら病院の中をずっと歩いていました。点滴が外れてからは階段の上り下りもしましたね。

傷はチクチクするような痛みがありました。うつ伏せになるとおなかが圧迫されて不快なので、あおむけで寝ていました。どんなふうに大腸がくっついているかはわからないんですけれども、負担をかけたくないという気持ちがあったので、極力うつ伏せの体勢はとらないようにしていましたね。

―― 退院後の生活で大変だったことはありますか?

退院してから2〜3週間は思い切り走ることはできませんでした。傷のチクチクした痛みは3カ月ほど続いたと思います。

また、退院して2カ月後くらいにバイクで遠くまで出かけたときにも、バイクの振動を受けて違和感がありました。

腸閉塞の不安があるもののふだん通りの生活に

―― 日常生活に戻るにあたり、病院から伝えられたことはありますか?

先生からは「大腸がんの手術をした人は腸閉塞(ちょうへいそく)の心配が一生あります」といったことを言われました。腸閉塞が起こってしまったら開腹手術をするしかないとのことで、繊維質が多いものの摂りすぎに気をつけたほうがいいみたいです。

退院時に栄養士さんから食事の説明を受けるはずだったのですが、栄養士さんが忙しくて聞くことができませんでした。代わりにプリントをもらったので確認したところ、普通の人が健康に気を遣う程度の内容でした。いまだにどれくらいの量がよいのかわからないのですが、とくに自分で追加の情報を調べることはしていません。

腸閉塞になると、手でおなかを触ったら大腸内で滞っている便が動いている様子がわかるようです。もし腸閉塞になってしまったら、手術をした県立病院に行く予定です。せっかく腹腔鏡手術をしたのに、今度は開腹手術となってしまうのは恐ろしいですね。

先生からは、それ以外はふだん通りの生活で大丈夫と言われました。私はラーメンが好きで、がんが見つかるまでは1年間に300杯以上食べていたんです。まわりからは「ラーメンばかり食べているからがんになったんだ」と言われるくらいだったんですが、先生に聞いたらそんなことは関係ないとのことだったので、今もラーメンは食べています。

ただ、今は下痢になることが多いです。大腸の役割は水分を吸収することだから、どうしても大腸が短いと下痢っぽくなってしまうようです。今もその体調は続いていますが、「便秘になったり硬い便になったりするよりかは、はるかにいいです」と言われてからは、あまり気にしていませんね。

定期検査の意義はわかる。けれど、転院を促されて以降行かなくなった

―― 現在は経過観察中と思いますが、定期的に検査は受けていますか?

今、手術をした2022年から2年が経ったところですが、検査は5年も続けてられないなと思って、去年からもう行ってないんです…。検査のたびにお金がかかるので。

最初のうちは行っていたのですが、あるとき手術を受けた県立病院から別の病院に行ってほしいと言われてしまいました。

そのときに「私のカルテ」という、今後検査のたびに結果を記録していくノートを渡され、言われた病院を登録したんです。本当はもっと家の近くの病院に通いたかったのですが「私のカルテ」が使い物にならなくなるから登録した病院に行ってほしいということでした。

そんなことがあってからは、検査には行っていません。問診だけであれば大した金額ではないのですが、CT検査や血液検査、エコー検査などもやると万単位でお金がかかってしまいます。結果を聞くためにもう一度受診しないといけないですし…。

安心のためにも、余裕があれば行ったほうがいいとは思うのですが、今はいいかなという気持ちです*。年に1回(勤め先で受ける)健康診断は引き続き受けているので、そこで引っかかったら行くしかないと思っているのと、5年後のときは検査を受けてみようと思っています。

* 標準治療では、大腸がんの手術後の経過観察期間は5年で、一定期間ごとに受診や検査のスケジュールが決められています。詳しくはこちらの記事(大腸がん治療後の経過観察について)をご覧ください。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
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1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

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