プロフィール
妻、子ども(5歳)の3人暮らし。メーカーで工場勤務をする会社員(現在は休職中)。愛知県在住。
2022年6月、ステージ1の直腸がんが発覚。同年7月に手術を行い、ストーマを造設する。経過観察中の2023年9月、肺への転移が見つかり、肺の約1/10を切除。同年11月から抗がん剤治療を開始し、副作用による脱毛や皮膚障害を経験。現在も抗がん剤治療を継続している。
抗がん剤治療の副作用のひとつに「脱毛」があります。T. H.さんも治療を続けるなかで、抜け毛が増え、髪のボリュームが減ったと感じるようになったそうです。見た目の大きな変化はなかったものの、日々の生活のなかで工夫したこともあったといいます。今回は、T. H.さんが経験した副作用のなかから「脱毛」をおもに取り上げ、感じたことや、その対策について聞きました。
肺への転移が見つかり、抗がん剤治療を開始
―― がんが見つかったときのことについて教えてください。
2022年の6月に直腸がんが見つかり、7月に手術をしました。その後1年間はとくに再発もなかったのですが、2023年9月に肺に転移が見つかりました。肺を1/10ほど切除する手術をして、残った病変は抗がん剤で治療することになりました。点滴による治療で、2023年11月から開始しました。
最初に直腸がんと診断されたときから抗がん剤治療はつらいと聞いていたので、転移が見つかり、主治医の先生から抗がん剤治療の説明や副作用についての話を聞いたときは、「やっぱり始まっちゃうのか…」という思いでしたね。
―― がんの治療について、誰かに相談はしましたか?
がんとわかった当初から、がん相談支援センターや患者会などのサポートを活用しています。これからどのような治療の流れになるのか、どのような法的支援が得られるのか、仕事との両立についてや、治療をやめるタイミングなどについても相談しました。また、当時は不妊治療をしていたため、男性の妊孕性(にんようせい)についても話を聞きました。
ツルツルになるのではなく、髪のボリュームが減った
―― 抗がん剤の副作用で起こったという脱毛は、どのようなものでしたか?
2023年11月に抗がん剤治療を始めたときから、翌年の2月頃にかけて脱毛がありました。脱毛といっても、頭がツルツルになるようなものではなく、髪の伸びが悪くなったというか、全体的にボリュームが減った感じです。ただ、お風呂に入ると、湯船に髪の毛がめちゃくちゃ浮いているんです。排水溝がすぐに詰まったりして、大変でした。
―― 抗がん剤治療を始める前、副作用についてどのような説明を受けていましたか?
主治医の先生からは抗がん剤治療を始めるときに、体調が悪くなる、手足のしびれが起こるなどの副作用について説明がありました。脱毛については、「あるにはあるけど、すごく心配するほどではないと思う」と言われました。「自分ではすごく抜けたって思うだろうけど、まわりからするとそれほどでもないくらい」と説明されましたね。
―― 脱毛について、周囲の反応やご自身の気持ちはどうでしたか?
実際、私自身は「最近めちゃくちゃ抜けるな」と思ったのですが、妻からは「そんなに変わってないよ」と言われました。全体的にボリュームが減ったなとは感じましたが、周囲からの印象は変わらなかったようです。それもあり、当時は治療を続けながら会社に行っていましたが、脱毛はあまり気になりませんでした。
むしろ、(別の薬の副作用で起こった)皮膚障害のほうが気になっていましたね。顔にブツブツができたり、肌が赤黒くなったりして、妻からも「人相が変わった」と言われました。皮膚障害については、抗がん剤治療を受けている病院の皮膚科で塗り薬や保湿剤を処方してもらい、対策しています。
100円ショップで買ったグッズでお風呂の抜け毛対策
―― 脱毛に対して、ご自身で行った対策はありますか?
脱毛が起こり始めてからは、お風呂が髪の毛で汚れないように、頭にキャップをかぶって湯船に入ったり、上がったら網で髪の毛をすくって捨てたりしました。キャップや網はそれ専用のものではなく、100円ショップで購入したものです。
脱毛が起こったら…と事前に買おうと思っていたわけではなく、妻に「髪の毛がすごく浮いていてお風呂に入った気がしない」と言われて、バタバタと対処した感じです。
ウィッグや帽子、バンダナは使いませんでしたし、坊主にするほどでもありませんでした。ただ、もし今後、一部だけ髪の毛が抜けてしまったら、坊主にすることも考えるかもしれません。坊主は学生時代にしたことはあるけれど、社会人になった今となっては、ちょっと抵抗があるかもしれませんね。
―― 脱毛について事前に情報を集めたり、誰かに相談したりしましたか?
脱毛については、特にがん相談支援センターや患者会などでの情報収集や相談はしませんでした。脱毛よりも、吐き気や手足がしびれるといった副作用のほうが気になっていたので…。冷たいものを触ったときに手がしびれないように、手袋を買ったりはしましたが、脱毛への対策はしなかったというのが正直なところです。
今後の治療に合わせて、事前に対策を知っておきたい
―― 現在の治療の状況と、今後の副作用対策について考えていることを教えてください。
抗がん剤治療は現在も続いていて、今年いっぱいは継続する予定です。仕事は育休を使ってお休みしています。
今、脱毛は落ち着いています。ただ、その理由ははっきりとはわからないんです。抗がん剤の種類をひとつ減らした影響かもしれませんが、減らした薬の副作用に「脱毛」は含まれてないんですよね。だから、抗がん剤治療を続けているうちは、もしかしたら、また脱毛が始まるかもしれないですね。
今の薬を続けているうちはそんなに抜けることはないと思っているのですが、また再発して薬が変わって…となったら、脱毛が起こる薬に変更することがあるかもしれません。そのときは、同じ薬を使っている人はどういうふうに脱毛対策をしているか、事前に知っておきたいなと思っています。


