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体験談
胃がん

身構えすぎなくても大丈夫 ~想像していたものとは違った私の脱毛症状~

#アピアランス#脱毛#薬物療法
公開日2026.01.20
お名前
M. H.さん
性別
女性
罹患時の年齢
50代
がん種
胃がん

プロフィール

夫婦と息子(3人兄弟の末っ子)との3人で暮らす。群馬県在住。主婦業のかたわら、20年近く自治体のボランティア活動にも参加し、今は体の不自由な夫のケアもしている。

2015年(当時52歳。今は独立している長男・次男も一緒に5人で暮らしていた)に市のがん検診でステージ3の胃がんが見つかり、胃の4分の3を切除。その影響で15kgの体重減少を経験。その後は抗がん剤治療を経て、経過観察中となり、現在は血液検査、胃カメラ、CT検査を1年に1回ずつ受けている。


抗がん剤による副作用の程度に個人差があるように、脱毛症状における対策の仕方や向き合い方も人それぞれ異なります。今回は、52歳のときに胃がんが見つかり、抗がん剤治療を行うなかで脱毛を経験したM. H.さんに、その症状などの体験を語ってもらいました。


症状が出る前と後で感じたギャップ

―― 治療による脱毛について、どのタイミングから意識し始めましたか?事前に主治医から説明などはあったのでしょうか?

自分の知識の中で「抗がん剤=髪が抜ける」というイメージがあったので、抗がん剤治療を行うと聞いたときには、つらさなど体調面のことと併せて、脱毛のことも考えました。

先生からは「今の抗がん剤は、そこまで副作用は出ないよ」という話をしてもらった程度で、私からもあえて細かく聞くということはしていません。

最初は、テレビドラマでよく見るような感じで「髪を触ると何百本もゴソッと抜けてしまうのではないか」というイメージを持っていたのですが、実際私の場合はそこまでではありませんでした。

―― どのような症状だったのか、具体的に教えていただけますか?

私の場合は、抗がん剤治療中は髪を触ったときに1~2本抜ける、くしでとかしたときに数本抜け落ちる、という程度でした。それでも、一番目につく前髪なんかは「あー、薄くなったな」と感じる程度には抜けてしまいました。

長男が美容師なので、治療中も髪をカットしてもらっていたのですが「毛根は死んでいないからまた髪は生えてくるよ」と慰めてもらったり、実際にまた短い髪の毛がチョンチョン出てきたりしていたので、そこまで深刻になることはなかったです。外出する頻度も、以前とそこまで変わることもなかったですね。ただ、髪が長いと抜けて落ちたときに目立つので、少し短めにはしていました。

あと髪の毛だけでなく、まゆ毛なども薄くはなりましたが、まったくなくなってしまうというほどではなかったので、脱毛について大きな悩みというのはあまり感じなかったかもしれません。

ただ、友人のなかにはいわゆるスキンヘッドにした人もいたので、個人差はあると思います。

美容師の息子と一緒にウィッグの展示販売へ

―― 脱毛対策について、調べたり取り入れたりしたことはありますか?

抗がん剤を飲み始めたくらいのころ、偶然にも新聞のチラシの中にウィッグに関するものを見つけたんです。よくテレビCMなどで目にしたことがあるメーカーさんの広告で、ウィッグの展示販売をするという案内でした。ちょうど脱毛について少し気になっていたタイミングだったこともあり、ウィッグを見に行くことにしました。

そこでは、イベント価格で通常よりも若干安く購入することもできたのですが、結局購入はしませんでした。

―― なぜウィッグを購入しなかったのでしょうか?

長男が美容師なので一緒に見に行ってもらったのですが、ウィッグに使われている髪の材質などを見たときに「やっぱりカツラってわかるね」と言っていて。私のように必要かもしれないと思った人が見る視点と、美容師として見る視点は違うんですよね。でも、見る人が見たらやはり違和感が出てしまうものなんだなと感じたことが大きいです。

私はその頃、そこまで脱毛の症状がひどいというわけでもなく、このままウィッグを買わずにすむならそれに越したこともないなという考えもあって、購入はしませんでした。もし、外に出るのもおっくうになるくらいもっと脱毛に悩まされていたら、また見る視点やウィッグに対する考え方なども違っていたかもしれません。

―― ウィッグ以外の対策は何か検討しましたか?

帽子で隠すということも考えましたが、冬はいいとしても夏場だと帽子は不自然になってしまう場面もありますよね。

あと、ファッション的な帽子は素材や作りが頭皮にとってあまり優しくないものが多いと聞きました。肌あたりがよくなるように作られているものはあまりないから、手作りするか、タオルなどで頭皮をカバーしながらおしゃれな帽子をかぶるかという状況で…。なので、私は帽子もあまり使用していませんでした。

自分の症状に合わせた選択肢を

―― 冒頭で「抗がん剤治療=髪が抜ける」というイメージを持っていたとお伺いしましたが、実際に経験したことでそのイメージに変化はありましたか?

「副作用って何が起こるかわからない」ということを感じました。

抗がん剤治療を始めた頃は、朝起きて枕に髪の毛が1、2本落ちていたのを見て「このままどんどん抜けていって髪の毛がなくなるのかも」と思いながら拾ったこともありました。でも結局、そこまでのことにはならずにすみましたし。

抗がん剤もいろいろあるので、症状も考え方も人それぞれだと思います。

―― これから抗がん剤治療を始める方に向けて、脱毛との向き合い方や心構えなどアドバイスはありますか?

「副作用で髪が抜けるよ」「副作用でこうなるよ」と事前にいろいろ聞きすぎてしまうと、身構えてしまうと思うんです。私の場合は、薬の説明に「こういうことが起きる場合もあります」程度のことが書いてあったのですが、今思えばそれくらいの情報で十分だったかもしれません。

事前に構えすぎるよりも、実際に脱毛が起こってから、自分に合った選択肢を先生などと相談しながら探していくくらいでいいのかなと思います。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
監修者の写真

1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

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