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体験談
大腸がん

抗がん剤治療の選択と味覚障害・食欲不振の経験 〜後悔はしたくないという思いで決意〜

#薬物療法#副作用#治療中の生活#情報収集
公開日2025.11.18
お名前
K. K.さん
性別
男性
罹患時の年齢
50代
がん種
大腸がん

プロフィール

妻と2人暮らし。自営業(会社経営)。岐阜県在住。

2017年、55歳の時に市が実施するがん検診を受け、便潜血検査で“要精密検査”の結果を受ける。総合病院で大腸内視鏡による検査を行い、ステージ3aの“盲腸がん”が発覚。告知を受けて1カ月後に腹腔鏡手術でがんを切除、その後抗がん剤治療を6カ月間行う。抗がん剤治療では味覚障害・食欲不振の副作用を経験。2022年10月、5年間の経過観察期間が終了。


市が実施するがん検診がきっかけで“盲腸がん”という珍しいがんが見つかったK. K.さん。手術と抗がん剤治療を行い、経過観察期間も終了しました。今回は、抗がん剤治療で経験した副作用や治療を選択したときの思いについて、詳しく語ってもらいました。


外食をしていて「味が薄い」と気づいた

―― 抗がん剤の副作用で味覚障害と食欲不振を経験したとのことですが、具体的な症状はどのようなものだったのでしょう。

味覚障害を自覚したのは、抗がん剤治療を始めて1カ月ほど経ってからだったと思います。自分では全く意識していなかったのですが、ある日、みそ煮込みを食べに行ったときに「味が薄いな」と感じたんです。これはちょっとクレームものだと思ったのですが、まわりを見たら普通に食べていて…。ひょっとしたら自分がおかしいのかも? と、はたと気づきました。

その後いろいろなものを食べてみてもやっぱり味は薄くて、とくに塩味を感じられなくなっていました。それからはほぼ一定に味覚障害がありましたね。

また同時期になかなか食べることができなくなりました。しゃぶしゃぶなら食べられるんじゃないかと思ってやってみて、でもやっぱり食べきれない、という感じです。体重も落ちて、体力の低下を感じましたね。

―― 副作用に悩まされていたとき、生活のなかで何か工夫はしていましたか?

自分で料理をして、いろいろ作って食べていました。YouTubeなどに料理動画がよく上がっていますよね。そういうのを見て「パスタって結構簡単に作れるんだな、自分で作ってみようかな」と思って実践してみたり。ちょっと濃いめの味つけにしてみていましたね。それまで料理なんてしたことがなかったのですが、逆にこのときから料理をする楽しみを知ることができました。

―― 6カ月の抗がん剤治療を経て、どのように改善されたのでしょうか。

味覚がもとに戻るまでの期間は結構速かったと思います。抗がん剤治療が終わってから1週間後くらいから徐々に戻ってきた感じです。その頃には薄味にはある程度慣れてきていたのですが、徐々に味が濃く感じられてきて「あ!普通になってきたな」と。

「一生このままだったらどうしよう」という恐怖もあったので、本当にやれやれという感じでしたね。

―― このような副作用があることは、治療を始める前から聞いていたのでしょうか?

いえ、抗がん剤の副作用については主治医の先生から説明を受けていましたが、味覚障害は聞いていなかったので驚きました。おかしいなと思って報告したら「可能性としてはありますよ」というふうに言われました。

副作用も人によって多岐にわたるので、すべてを伝え切るのは難しいんだなと思いましたね。

抗がん剤治療をする・しないの選択に一番悩んだ

私の場合は飲み薬でしたが抗がん剤にはいろいろな種類がありますし、そもそも抗がん剤治療をやる・やらないという選択肢も当然あります。私ががん治療で一番悩んだことは、その選択かもしれません。

―― 抗がん剤治療を行うことを決意するまで、どのような葛藤があったのでしょうか。

主治医の先生から手術後どうするかについて説明を受けたときは「抗がん剤治療で生存率が10%は違ってくるよ」という話でした。この10%をどう捉えるかにとても悩みましたね。

インターネットなどで調べると、“抗がん剤治療をした場合の生存率は80%・しない場合は70%”という数字が出てくるのですが、「70%・80%って、パッと見るとそんなに変わらないんじゃないか」という気もして。

だから逆に“抗がん剤治療をしなくてもいい”という判断もひとつの考え方としてあるわけです。10%を大きいと捉えるか、小さいと捉えるか、10%のために何をどれだけ犠牲にするのか…。それらを考えて、かつ家族に相談した結果、私は抗がん剤治療をやろうとなりました。

―― 選択するにあたり、具体的にはどのような点に悩んだのでしょうか。

ひとつは副作用についてです。毛が抜けてしまうかもしれないし、毎日ゲーゲー吐いてつらい、ってことになるかもしれない。副作用はどの程度表れるかやってみないとわからない*わけで、そうなったら嫌だなという思いがありました。

もうひとつは治療費についてです。やはり抗がん剤治療は当然安いものではないので、保険があるといってもある程度の金額を負担しなくてはならなくなります。

その2点を10%のために犠牲にしてもいいものか、と結構悩みましたね。

* 使用する薬の種類によって、起こりやすい副作用はある程度予測できます。

家族と相談し、可能性があるならやってみようと決意

最終的には、5%でも10%でも生存率が上がる可能性や再発が起こらない可能性があるのであれば抗がん剤治療をやるべき、という結論を出しました。やらずに再発したらやっぱり後悔しかない。やって再発したらそれはしょうがない。でも後悔をするよりはやってみようと思いました。

実際に治療をしてみて、結果的に副作用はそこまできつくなかったので、今はやってよかったという気持ちです。また治療後5年経っても再発はありませんでしたし、ある程度は抗がん剤のおかげもあるのかなと思いますね。

インターネット上の情報に悲しさを覚えた

―― 家族との相談以外に参考にしたものはありますか?

抗がん剤治療をやるかやらないかの決断をしたときに、困ったというか嫌だったのは、抗がん剤に対してインターネットで調べると、偽の情報というか、そういうものが多くあるということでした。「こんなものはやるべきではない」「こんなものは毒に近いものだ」「製薬会社がもうかる仕組みになっている」という意見がいろいろと出てくるんです。

がん治療に対して、自然治癒力に頼るものを実践したり推奨したりする人たちが発信しているのだと思います。でもなかには聞きかじりの情報に自分で解釈を付け加えて拡散している人たちもいて、そういうのを見ると何か悲しくなりますね。そういう人たちに問いたいのは「あなたの家族が本当にがんになって、抗がん剤治療じゃないと駄目だと医師に言われたときでも拒否できますか?」ということ。

私は知り合いに医師がいて情報収集がうまくできたかもしれませんが、情報を鵜呑みにしてしまう人もなかにはいて、そういう人が本当に手遅れになっちゃうケースもあるかもしれない。そういうのは非常に危険だなと思っています。

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#薬物療法#副作用#治療中の生活#情報収集

この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
監修者の写真

1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

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