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運動の大切さを知ってもらいたい ――がん専門運動指導士とは?

#ルネサンス#体を動かす
公開日2024.10.29

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がん患者さんは治療前や治療後、体力の低下などを防ぐために適度な運動をすることが大切といわれています。そのときに患者さんのサポートをしてくれるのが“がん専門運動指導士”です。大阪国際がんセンター認定 がん専門運動指導士の養成・認定事業の立ち上げに携わり、自ら指導士として啓発活動に尽力されている株式会社ルネサンスの石野田 神さんに、運動の大切さ、今後の運動支援のあり方について話を聞きました。


プロフィール

石野田 神(いしのだ じん)
大阪国際がんセンター認定 がん専門運動指導士、株式会社ルネサンス がんリハビリ事業研究チーム 課長、ルネサンス運動支援センター 施設長
自身のスポーツ傷害経験をベースに、コンディショニングやプリハブ、フィットネスリハビリテーション領域を中心に活動し、2019年より「がんリハビリテーションプロジェクト」に参画。また、さまざまなフィットネスプログラムの開発やそれに伴う指導人材の教育業務で20年以上の経験を持つ。

運動がQOL向上の手助けに

―― がん専門運動指導士とは、どのような役割を担っているのでしょうか?

がん医療は病気を治すことだけでなく、その後の生活の質(QOL:クオリティ オブ ライフ)を高めるためのサポートも大切です。がんやその治療によって体力を落とされ、なかなか元の生活に戻れない人が多くいらっしゃいます。

そのためには運動がとても大切なのですが、入院中は医師や理学療法士がサポートすることができても、退院後は関わることが難しいのが現状で…。また医療の進歩もあって入院期間が短くなり、通院しながら治療をする患者さんも多く、その人たちへのサポートも必要なんです。

そんな課題を背景に生まれたのが、“がん専門運動指導士”という認定資格です。がん患者さん・経験者に向けて専門的な知識と技術、ホスピタリティを提供する、まさにがん専門の運動のスペシャリスト。患者さんの課題・ニーズに合わせて適切な運動支援を行っています。

ルネサンスは2019年6月に大阪国際がんセンター内に“運動支援センター”を開設し、運動を通じてがん患者さんの不調や痛みの改善、体力回復、機能回復などの支援をしてきました。そのなかで、患者さんの苦痛を和らげ、悩みを解決に導くための“知識”が必要であると強く感じ、この資格認定制度を立ち上げるに至りました。養成講座を行い、基準に達した受講者を“大阪国際がんセンター認定 がん専門運動指導士”として認定しています。

―― がん専門運動指導士はどのような方がいるのでしょうか?

2024年3月時点で、約190名が資格を取得しています。取得者の職域はさまざまで、フィットネストレーナー、ヨガインストラクターのほか、医師、理学療法士、作業療法士、柔道整復師、鍼灸師、看護師、介護領域の人などです。

実際にご自身や周囲の人ががんを経験し、運動の重要性を感じられたという人や、「その時に悔しい思いをした」「自分ができることはないか」という気持ちで、養成講座に参加したという人も多くいます。

“寄り添い、ともに歩む”。フィジカル・メンタル両面でサポート

―― がん専門運動指導士として活動してから、大変だったことはありますか?

私はもともとルネサンスというスポーツクラブで会員への指導、人材育成、フィットネスプログラムの開発などに携わっており、基本的には健康な人が対象でした。そのため、まずはがんという病気、治療について知ることから始めたのですが、すべてが発見でしたね。

がんを取り巻く社会環境や、患者さん自身が直面する生活での困りごと、お金や仕事のこと、人生に対する不安、命に対する不安…。がんを経験すると、生活や仕事、またご家族や職場の人など、さまざまなことに影響が及びます。運動というアプローチはスポーツクラブと同じではあるものの、まったく違うことに気づかされました。

―― 患者さんたちと向き合うなかで気づかれたことはありますか?

がんの治療をして半年〜1年で自ら筋トレができるようになる人もいる一方で、治療によって体力が落ち、階段を少し上るだけで息切れする、病院に通うにも歩行時間が3倍くらいかかってしまうという人もいます。

また、退院して自宅に戻って1〜2年経ってもメンタルの落ち込みが強くあり、外出ができなくなった、自宅に引きこもるようになってしまったという人も多くいらっしゃいます。そのような「自分は運動できない」と思っている人たちに運動を始めてもらうのは、心理的な面においてもハードルが非常に高いです。

でも、まずはきちんと患者さんの話を聞いて“受け止めて、寄り添う”こと。そして“ともに歩む”ことが大切だと考えて、日々実践しています。

まずは低強度・簡単・ライトなストレッチから

―― 運動というとどうしてもハードなイメージがあります。どのような運動がおすすめなのでしょうか?

たしかに、がん患者さんやがんを経験された人のなかには「私は運動してもいいのかな?」「私にできるのかな?」と不安に思われている人も多いと思います。一般的なフィットネストレーニングやスポーツをイメージして、最初から運動という選択肢を除外してしまう人も多いかもしれませんね。ですが、がんの人でも安全にできる運動があるということを知っていただきたいと思います。

運動の中でも強度が低い、誰でも簡単にできるものがあります。スタートするのにおすすめなのがストレッチですね。ストレッチには筋肉を伸ばす効果や、関節をほぐす効果があり、難易度が低いものもたくさんあります。

例えば、手首を回す、肩をねじる、体幹をひねるといったゆるい動きから始めてみるのはいかがでしょうか。それを10分続けるだけでも自然と体が温かくなります。血液の循環がよくなると体が軽くなり、立ったり歩いたりするのが楽になりますし、椅子に座ったときに正しい姿勢がとりやすくなったりします。また、体を動かすことは自律神経にも作用するので、気持ちがほぐれたり、リラックスできて眠りやすくなったりすることが期待できますよ。

運動支援センターでのストレッチの様子

人とのつながりが体を動かすきっかけに

―― 石野田さんは、誰でも参加できる“ぼちぼち動こ会”も開催しています。どのようなイベントなのでしょうか?

やはり、運動に対してハードルが高いと感じている人は多いんですよね。そこで、運動不足を感じている人はもちろん、“運動をできると思っていない人”に来てほしいと思って立ち上げたのが“ぼちぼち動こ会”です。がん専門運動指導士のサポートを受けながら、ヨガ、ウォーキング、ストレッチなど、低強度の運動を一緒に楽しむことができるというイベントで定期的に開催しています。

どのような人でも取り組める運動を毎回企画していますので、これをきっかけに、身体を動かしたり、体力づくりを始めたりしていただきたいと考えています。

“ぼちぼち動こ会”の様子

―― 実際にイベントに参加した方からは、どのような反応がありましたか?

手術・治療後に退院して2年くらい経過したものの、自宅から出られなくなった方がいらっしゃいました。体力が落ちてすごく疲れやすくなり、身体的にも精神的にも落ち込み、コンビニやスーパーへの買い物以外は自宅から外へ出ることができなくなってしまったそうです。でも「何かしたい」という気持ちは持っていたそうで、“ぼちぼち動こ会”のイベントを見つけ、勇気を出して申し込んでくださいました。

当日は電車に乗るのが怖くてタクシーで会場に来たものの、1時間くらい一緒に運動をしたら、帰りは歩いて帰りたいという気持ちになって2駅分ほど徒歩で帰ったそうなんです。次のイベントにもご参加くださり、そのことを涙ながらにお話ししてくださったときは、本当にうれしかったですね。

また、がんの治療を機に、足のしびれを悩みに持つ方がいらっしゃいました。朝や寝ているときなど、波はあるものの症状を感じていて、それによって車の運転が怖くなってしまったそうです。生活への不安が大きくなり活動量が減ってしまっていました。

しかし私たちの運動支援を受けて一緒にウォーキングをしたところ、その時間はすごく楽しくてあっという間に過ぎてしまったとのこと。そしてウォーキング後は、悩みだったしびれが気にならなくなったようです。「やっぱり運動をしなくてはダメですね」と驚かれたようにおっしゃっていたことを覚えています。

小さな目標を立てて、できたことをシェアしていく

―― ほか、患者さんに運動のモチベーションを高めてもらうために工夫していることはありますか?

体力や筋力を高めたいという人は、例えばイベントの1時間でその成果を感じることは難しいものです。おぼろげでも半年後・1年後のゴールをイメージしてもらい、そこから一緒に中間目標を決めて取り組んでいます。

どんなことでもそうなのですが、具体的に目標設定をして、中長期で取り組んでいくことが大切なんですよね。例えば1年後にはゴルフに復帰したいという目標を掲げてもらったら、まずは近所の公園を1周できるようになることを目標にスタートする。短いサイクルの中でできたことを褒めて、喜びをシェアすることを大事にしています。

運動できる場がないという方には、オンラインという選択肢もあります。ルネサンスではがんサバイバー向けの運動プログラムを提供していて、オンラインでがん患者さんが参加できるヨガ、乳がんの人向けのエクササイズ、低強度の筋トレなどを公開しています。

運動について相談できる窓口を全国各地に作りたい

―― 今後どのような活動に取り組まれていく予定でしょうか? 将来的に目指していることを教えてください。

今は1年に約100万人ががんに罹患する時代です。そして、がん患者さんがゼロの都道府県はありません。がんサバイバーの方たちは常に不安を抱えながら生活しているので、病院を離れた後も体力づくりや体調のことを気軽に相談できる窓口が必要なんです。そんな場所を全国各地に作り、運営していくことが最終的なゴールです。

がん専門運動指導士の仲間を増やしながら、運動することのメリットと、安全にできる運動があることを知ってもらうべく、これからも活動を続けていきたいですね。

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