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胃がん

胃の切除後の体重減少(やせ)について

#食事#手術#後遺症
公開日2026.08.25

胃を切除する手術を行ったあと、体重が減少したり痩(や)せたりする方も少なくないでしょう。そこで今回は、胃の切除後の体重減少について、要因や対処法についてお話しします。

Q.胃の切除後は、どれくらい体重が減るものでしょうか?

A.胃を切除する手術を行うと、食べる量が減ったり、また食べた物を消化吸収して栄養を取り込むはたらきが弱くなったりすることで、体重が減少することが少なくありません。

一般的に手術前の体重よりも10%程度減少する場合が多いとされていますが、どれくらい体重が減少するかは残る胃の大きさや状態などによっても異なり、個人差があります。また、手術後に栄養価の高い食事を摂取することで体重減少を抑えられる場合もあります。

Q.胃の切除後の体重減少において、注意しなければいけないことはありますか?

A.体重が減っても、痩せすぎず、体重が安定していて日常生活に支障がなければ、あまり気にすることはありませんが、“痩せ”が深刻になると体力が落ちて小さなバッグが持てなくなる、起きているのがつらいなど、日常生活に支障をきたす場合もあります。

また、それ以上に痩せが深刻な状態に陥ると、脂肪だけでなく筋肉が萎縮して骨も弱まっていき、腰痛や骨粗しょう症、貧血などが起こりやすくなってきます。

1カ月に2〜3kg以上など急激に体重が減少した場合は早めに主治医や看護師に相談するようにしましょう。

Q.胃の切除によって減った体重はもとに戻りますか?

A.胃を切除した場合は、手術後1〜3カ月くらいに体重が減少する傾向があります。そのあとだんだんと胃や腸が順応してくるため、手術後6〜12カ月ほど経つと徐々に体重も増えていきますが、5年以上経っても、もとの体重までは戻らないことも多くあります。

食事の取り方に注意しながら徐々に食べる量を増やしていき、長い目で考えるようにしましょう。 

Q.胃の切除後の体重減少を防ぐ対策はありますか?

A.胃を切除したあとは胃の機能が弱まるため、個人差はありますが、食事などに気をつけていても手術前の体重よりも減少してしまう方が多い傾向にあります。

体重を維持するためには、栄養バランスのよい食事を規則正しく取ることが大切です。しかし、体重を増やそうと食事量を一気に増やしてしまうと腸への負担が増えて、体調を崩す原因となることもあります。

無理に体重を増やそうとせず、今以上に体重が減らないようにすることを意識しながら、栄養価が高く、消化にいいものを少しずつ食べるようにしましょう。

Q.食欲がわかず、あまり食べられません。効果的な食事法はありますか?

A.胃の手術後、時間が経てば徐々に体も慣れていくので、焦らずに自分のペースで食事をすることが大切です。

また、胃を切除すると食べたものが直接腸に流れ込むようになるために、動悸(どうき)、発汗、めまいなどのダンピング症候群の症状が起こることがあります。一度にたくさん食べようとせず、少なめの食事量から慣れていきましょう。

胃の切除後における食事の取り方のポイント

1回の食事量を減らして回数を多くする
  • 間食も含めて、1日5〜6回に分けて食べるようにする。個人差もありますが、手術後3カ月を過ぎると少しずつ食べられる量も増えていく傾向にあるので、徐々に1日3食に戻していくといい
消化にいいものをよくかんで食べる
  • しっかりかんで、腸に少しずつ食べ物を送るようにする。またよくかむことで、唾液が消化を助ける
規則正しい生活リズムを心がける
  • 消化を助けるために、できるだけ毎日、規則正しい時間に食べるようにする
  • 適度な運動や、規則正しい睡眠時間をとることも大切
食事を楽しむ工夫をする
  • 食欲がわかないときは、無理に食べようと意識しすぎないことも必要
  • 食べる場所を変えてみたり、家族や友人と一緒に食事を取ってみたりなど、自分が食事を楽しめる環境をつくることもいい

Q.食事は取っているのですが体重が戻りません。体重や体力回復に効果的な対処法はありますか?

A.切除をした胃はもとの大きさに戻ることはなく、手術前の体重まで回復する方は多くはありません。

食欲はあるけれどなかなか体重が増えない場合は、摂取エネルギーが消費エネルギーより多くなるように、いつもの食事に高タンパク・高カロリーの食品を追加したり、間食でカロリーを補ったりするなど意識してみましょう。

また、必要な栄養をバランスよく摂取できる栄養補助食品を利用するのもいいでしょう。

摂取エネルギーを多くするポイント

栄養バランスを意識する
  • 主食(米・麺・パンなど)、主菜(魚・肉・卵・豆類など)、副菜(野菜・海藻・きのこ類など)をバランスよく食べる
  • サラダにささみ肉を追加する、みそ汁やスープの具材を多めにするなど、できるだけ多くの食品を取り入れるようにする
高タンパクを意識する
  • 筋肉を減少させないために、肉や魚、卵料理や大豆製品(豆腐や納豆)を含む主菜をしっかり食べる
  • 牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品を食事に追加する
カロリー摂取を意識する
  • 少量でもカロリーの高い食べ物を追加する
    (揚げ物など油の多いものの摂取には注意しましょう)
  • 食事や間食の際の飲み物として、フルーツジュースや野菜ジュースなどを追加する
間食で補う
  • アイスクリームなどの冷たいものや、プリンやゼリーなどのやわらかいものは食べやすいのでおすすめ
  • 菓子パンや、あんこを使ったお菓子など、糖質を多く含むものを常備しておき、食べたいときにいつでも食べられるようにしておく
    (食べ過ぎには注意しましょう)

食べることや栄養の摂取に気を取られがちですが、栄養素をしっかり吸収することも同じくらい大切です。筋肉と骨の量を増やすための適度な運動と、栄養素を失ったり吸収を妨げたりする下痢を防ぐことも意識しましょう。

栄養素をしっかり吸収させるポイント

運動をする
  • 吸収した栄養素を体中に行き渡らせるためにも、ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を継続的に行い、筋肉や骨に刺激を与えることを意識する
下痢に気をつける
  • 脂身や乳製品などの脂質を摂りすぎると下痢の原因になることがあるため、摂り過ぎには注意する
  • 食事中の水分摂取は控えめにしておく

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この記事の監修者

田墨 惠子(たずみ けいこ) 看護師
大阪大学医学部附属病院 がん看護専門看護師
監修者の写真

神戸大学医療技術短期大学卒業後、1986年大阪大学医学部附属病院入職。2002年兵庫県立大学大学院修士課程修了後、2003年がん看護専門看護師認定を受ける。2004年〜2025年3月まで大阪大学医学部附属病院で放射線治療部、頭頸部外科病棟、オンコロジーセンターで看護師長を務め、現在も同病院で放射線治療や薬物療法を受ける方のケアを行っている。

参考資料

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「胃がん 療養」
  • 国立がん研究センターがん情報サービス「がんと食事」
  • 国立がん研究センター東病院「胃がんの手術について 代表的な胃切除後の後遺症」
  • がん研有明病院「がん治療と食事 Chapter 1: 消化管術後の食事について 胃術後の食事について」
  • 静岡県立静岡がんセンター「がん体験者の悩みQ&A 食事を思うように摂れず、体重が減ったまま戻らないことに悩んでいる。」
  • 静岡県立静岡がんセンター「がん体験者の悩みQ&A 食欲はあり、食事をしているが体重が増えないので、もう少し体重を元に戻し体力もつけたい。」
  • 静岡県立静岡がんセンター「がん体験者の悩みQ&A これ以上の体重減少が止まってほしい。食事のとり方や生活の仕方を誰かに指導してほしい。」
  • 京都市立病院「がん患者さんと家族のための食事のヒント」


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