がんの治療中は、副作用によって口の中にトラブルが起こることが少なくありません。トラブルを減らすためにも、治療前に口腔(こうくう)ケアをしておくことが大切です。
Q. なぜ、がんの治療前に口腔ケアをしておく必要があるのでしょうか?
A:抗がん剤治療などの薬物療法や放射線治療によって、口内炎や口の中の乾燥(口腔乾燥、ドライマウス)などの副作用が起こることがあります。症状がひどくなると食事や会話の妨げになったり、さらには痛みや感染症などを引き起こし、がんの治療にも影響を及ぼすことがあります。
現状ではこの副作用を完全に防ぐことは難しいですが、事前にケアをしたり、早めに対処したりすることで、口腔内のトラブルを最小限に抑えることができます。
Q. 具体的にはどのようなことをしておくべきでしょうか?
A:治療を始める前に、まずは歯科検診を受けて口の中の状態を診てもらいましょう。
抗がん剤治療などの薬物療法を行うと免疫力が低下し、虫歯が悪化しやすくなったり、健康なときには腫れたことがなかった歯ぐきや歯を支える骨に炎症が起こったりすることがあります。
また放射線治療で口やその周辺に放射線を当てる場合、正常な細胞もダメージを受けてしまい、口腔粘膜の炎症や唾液腺障害が起こることがあります。その際、虫歯や歯周病、義歯があると、炎症や口腔内感染のリスクが高まることがあります。
銀や金、合金など、歯の被せ物が放射線を反射し、口腔内トラブルのリスクが増えることもあるため、マウスピース型の装置を付ける、被せ物を取り外すなどの処置が必要になる場合もあります。
歯科医師にがんの治療前であることを説明して、歯周病のチェックや歯垢(しこう)・歯石の除去、虫歯の処置などを受けておきましょう。
また、放射線治療のあとに抜歯をすると、傷口から感染を起こしてしまう可能性があります。そのため、もし抜歯が必要となる場合は、放射線治療を始める2〜3週間前までに済ませておくことが理想です。できるだけ早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
Q. 歯科検診のほかに、自宅でできるセルフケアはありますか?
A:口の中を常に清潔に保ち、変化やトラブルがあった際に早めに対処できるように日頃から意識しておくことが大切です。
口の中を清潔に保つ
がんの治療中は、口の中を清潔に保つことが重要になります。歯科を受診した際に、歯みがきの正しいやり方などセルフケアの方法を歯科衛生士に指導してもらい、がんの治療前からこまめな口腔ケアを習慣づけるようにしておきましょう。
口の中を観察しておく
口腔内のトラブルは症状がひどくなってからでは対処が難しい場合もあり、ひどくなるとがんの治療に影響が出てしまうこともあります。
治療前から口の中を観察し、口内炎などの炎症が起きていないか、舌の表面の汚れに変化がないか、口臭や味覚に変化がないかなど、日頃から自分で口の中をチェックしておきましょう。


