がんを経験すると、見た目や身につけるものが変わり、気持ちまで沈むこともあるでしょう。
しかし、がん患者だからといって、おしゃれを楽しむ気持ちまで手放す必要はありません。
がんを経験した当事者の実感から生まれたがんケア用品のブランド『KISS MY LIFE(キスマイライフ)』と、おしゃれする気持ちやときめきを大切にしたいという想いから生まれた医療用ケア帽子についてご紹介していきます。
鏡に映ったのは「病人らしい」姿の自分
“〜人生のどんな時も、私らしく〜 一度きりの人生、患者さんになっても、年を重ねても、イロドリ豊かな毎日を送れるように。そんなメッセージが込められているがんケアブランド『KISS MY LIFE』”
このブランドを立ち上げたのは、自身もがんを患い、落ち込むばかりの闘病生活を送ってきたという塩崎良子さんです。

塩崎さんは25歳でアパレル会社を起業し、仕事や恋愛に忙しい日々を送っていましたが、2014年1月、若年性乳がんを発症。闘病に専念するため、会社を閉じる決断をします。
つらい治療が続く中、ケア用品を身につけてふと鏡を見たとき、そこに映っていたのはいかにも病人らしい姿の自分だったと言います。
仕事を失い、周囲に迷惑をかけているような惨めな気持ちもあり、「ごめんね」と謝ってばかりの日々。
「こんな姿の私を誰にも見せたくない」
「みんなを悲しませたくないな」
そして、心の奥に浮かんだのは、
「もっと素敵なケア用品があったらいいのに……」という切実な願いでした。
きっかけは院内ファッションショーでの「ありがとう」
落ち込む日々を過ごしていた塩崎さんに、主治医が声をかけました。
「良子ちゃん、せっかくアパレル会社をやってきたのだから、がん患者さんのためのファッションショーをやってみない?」
その一言が、大きな転機となります。
塩崎さんは、自身のショップで扱っていたヴェルサーチェやグッチなどのドレスを提供し、スタイリングも担当。メディアも招き、病院のホールで院内ファッションショーを開催しました。
ランウェイを歩いたのは、入院中の患者さんとその主治医たち。病院着を脱ぎ、ドレスを身にまとった患者さんたちは、ファッションを通して少しずつ自分らしさを取り戻し、胸を張って歩いていました。
会場には多くの笑顔があふれ、院内ファッションショーは大成功。そこで、患者さんやその家族の方から寄せられた、たくさんの「ありがとう」の言葉。その言葉に触れたとき、塩崎さんは、誰かに喜んでもらえることの喜びや素晴らしさをあらためて実感したといいます。そしてその瞬間は、がん患者であることを忘れ、自身も「私らしさ」を取り戻すことができたそうです。
「これまで自分ががんばってきたアパレルでの経験や、つらい治療を乗り越えた経験が、だれかの役に立つかもしれない」
そんな想いから、だれもが自分らしく過ごせるようなケア用品のブランドを立ち上げることを決意しました。
そして、一から学び直すためにビジネススクールにも通い、2017年7月、「ケア用品を医療品からファッションへ変革する。エイジレスでアイデンティティーを失わない女性のためのケア用品ブランド」というコンセプトのもと、KISS MY LIFEをスタートさせました。
素材や形にこだわったトキメクような医療用帽子
現在KISS MY LIFEでは、前開きパジャマや折り畳みステッキなど、お客様の「こういうものがあったらいいのに」という声をもとに、機能性とデザイン性を兼ね備えたさまざまなケア用品を展開しています。
そのはじまりとなったのが、スカーフ型デザインハットでした。
がんが発覚した当初、塩崎さんの髪は腰まであるロングヘアーでした。しかし、抗がん剤が始まって2週間ほどすると、少しずつ髪が抜け始めました。「落ち武者のようになっていく姿を鏡で見るたび、がんである現実を突きつけられるようで、大きなショックを受けました」といいます。
やがて1カ月ほどで髪はほとんど抜け落ち、頭はつるつるに。病院の売店やインターネットでケア用品や医療用帽子を探し、いくつも試してみたものの、生地が薄すぎて水泳帽のように頭の形が強く出てしまうものや、いかにも”患者用”という印象のものが多く、しっくりくるものには出会えませんでした。
「治療中でも、ファッションとして身につけられる帽子がほしい」
その想いから、帽子のデザインに取り組みます。
イメージしたのは、大好きなオードリー・ヘップバーンが映画で身につけていたような、上品で華やかなスカーフスタイル。
被った瞬間に心がときめき、元気をもらえる帽子という意味で「Magique Hat(マジークハット)」~魔法の帽子~と名付けました。
現在も商品づくりでは、実際にさまざまな状況の方に試してもらい、使い心地や素材感、色の印象まで幅広く意見を取り入れることを大切にしています。機能だけでなく、身につけたときの気持ちにも寄り添うこと。それが、KISS MY LIFEのものづくりの原点です。

選ばれる理由は細部にある。医療用帽子づくりで大切にしていること
スカーフ型のケア帽子をはじめ、ふだん使いしやすいシンプルなものから洗練されたデザイン性の高いものまで、KISS MY LIFEでは幅広い種類の医療用帽子を展開しています。
KISS MY LIFEが、医療帽子づくりにおいて大切にしていることとはなんでしょうか?
① デザインの豊富さ
デザイナーであり、がんサバイバーでもある塩崎さん自身が、治療中に「こんなのが欲しかった」と感じた要素がデザインに込められています。
テキスタイル(柄)はすべてオリジナル。春夏の暑さや秋冬の寒さに配慮した素材選びのほか、お出かけ用や就寝用など、日常のさまざまな場面に合わせたデザインがそろっています。治療中も、自分らしくいられる医療用帽子がきっと見つかるでしょう。
② 肌にやさしい安心素材を使用
治療中の肌は、肌が敏感になったり、急に汗が出たりと、縫い目や生地の重みを負担に感じることもあります。
そんな状況を考えて、KISS MY LIFEの医療用帽子は、大手繊維商社と共同で開発し、厳しい試験をクリアした生地のみを使用しています。
抗がん剤治療中の敏感な肌やホットフラッシュにも配慮し、 肌に触れる部分には吸水速乾性に優れた綿100%素材を採用。縫い目が直接肌に当たらない仕様にするなど、細部まで工夫されています。自宅で水洗いでき、しわになりにくい点も日常使いしやすいポイントです。
③ 頭の形を綺麗に見せるシルエット
脱毛によって頭の輪郭がはっきりすると、帽子選びに悩む方も少なくありません。従来の医療用帽子の中には、頭にぴったりとしすぎてしまうものもありますが、 KISS MY LIFEの帽子は、ほどよくボリュームを持たせた設計。ふんわりとしたシルエットで、自然な印象に見せてくれます。小顔効果も抜群です。

おしゃれを味方に、自分らしくがんと向き合う
身につけるものが少し変わるだけで、鏡に映る自分も気持ちも変わることがあります。
KISS MY LIFEは、帽子だけのブランドではありません。
「今日の私、かわいいかも」
「外に出かけるのがちょっと楽しみ」
そんな気持ちを後押しするアイテムを展開しています。機能性とおしゃれさを兼ね備えた医療用ウィッグや、デザイン性も高い術後用ブラ、日常づかいもできる院内シューズなど、種類もさまざま。
乳がんブラ・パッドはすべての術式に対応できる設計で、術後の体にやさしく寄り添う下着やパッドも人気です。

KISS MY LIFEでは、治療中の「困った」を解決するだけでなく、「これなら毎日使いたい」と思えるアイテムをそろえているのが特徴です。
商品の詳しい情報や着用イメージは、ぜひ公式サイトでご覧ください。
「KISS MY LIFE」の詳細はこちら https://www.kissmylife.jp/c/kml
装いが変わると、気持ちも変わる
思いがけずがんと告げられ、気持ちが追い付かないまま治療が始まる。そんな不安や戸惑いの中で、ほんの少しでも心が軽くなるような瞬間を届けたい。KISS MY LIFEの商品にはそんな願いが込められています。
がんになっても、何歳になっても、自分らしく人生を歩んでいくために。
装いが変わると、気持ちが少し前を向くことがあります。毎日身につけるものを意識してみることも、自分を大切にするひとつの方法かもしれません。


