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子宮頸がん・子宮体がんの手術後に起こるもの〈むくみ〉

#手術#日常生活
公開日2025.10.01

子宮頸がんや子宮体がんの手術を受けたあと、下半身に「むくみやすくなった」「動かしにくい」「重だるさが続く」といった症状が表れることがあります。こうした変化の背景にある原因のひとつとして、「リンパ浮腫(ふしゅ)」が考えられます。

リンパ浮腫とは、リンパ液の流れが滞ることで起こる「むくみ」のことです。子宮頸がんや子宮体がんの手術にともなって起こることがあり、放っておくと日常生活に支障をきたすこともあるため、早めの対処やケアが大切です。

ここでは、子宮頸がんや子宮体がんの手術後に起こりやすいリンパ浮腫について、その原因や症状、起こったときの対処のヒントなどを紹介します。手術後の体と向き合ううえで、知っておきたい大切なポイントを一緒に確認していきましょう。

手術後になぜ「むくみ(リンパ浮腫)」が起こるのか?

子宮頸がん・子宮体がんの手術後に現れる「むくみ(リンパ浮腫)」の背景には、体内を流れる「リンパ液」の流れが深く関わっています。リンパ液は、体の中にたまった老廃物や余分な水分を回収したり、免疫機能によって感染などから体を守ったりする重要なはたらきを持つ体液です。リンパ液はリンパ管という管を通って全身を巡っています。このリンパ液が多く集まる部分をリンパ節といい、体のいろいろなところに存在しています。

子宮頸がん・子宮体がんの手術では、がんの広がりを調べたり再発を防いだりするために、鼠径部(そけいぶ)や骨盤内などにあるリンパ節を取り除く処置:リンパ節郭清(りんぱせつかくせい)が行われることがあります。リンパ節を取り除くと、リンパ液の流れが一部で滞り、行き場をなくしたリンパ液が周囲の組織にしみ出してしまい、その結果「むくみ」として現れることがあります。

このようなむくみを「リンパ浮腫(ふしゅ)」と呼びます。リンパ浮腫は手術後7〜10日ほどで症状が見られ、自然に落ち着く方もいれば、手術後数カ月〜数年ほど経ってから症状が出る方もいます。

「リンパ浮腫(ふしゅ)」は、リンパ節郭清だけでなく、リンパ節に対する放射線治療もそのリスクを高めることがわかっています。ただし、むくみが出たからといって、必ずしもリンパ浮腫とは限りません。必要以上に心配する必要はありませんが、リンパ浮腫であった場合には早めの対応がとても大切です。むくみを「一時的なこと」と軽く考えず、体からのサインとして注意深く向き合うようにしましょう。

むくみ(リンパ浮腫)が起こりやすい場所

むくみは両脚に出ることもあれば、片脚だけに現れることもあります。現れる場所は、治療で取り除いたリンパ節の部位によって異なります。

たとえば、骨盤内のリンパ節を切除した場合には、両脚や下腹部、陰部にむくみが出やすくなります。一方、鼠径部(脚のつけ根)のリンパ節を取り除いた場合は、手術を行った側の脚や下腹部にむくみが現れやすい傾向があります。

自分でできる日常の工夫

リンパ浮腫は、完全に防ぐことが難しいとされていますが、日常生活の工夫で症状が悪化しないようにすることは可能です。とくに初期のリンパ浮腫は症状が目立ちにくく、「脚が動かしにくい」「重だるい」「少し腫れている気がする」といった、ささいな変化として表れることがあります。

こうした「むくみのサイン」に早く気づき、適切なケアを続けることが、症状の軽減や悪化の予防につながります。体の変化を見逃さず、日々のセルフケアを大切にしていきましょう。

日常生活でできるセルフケア

むくみの悪化を避けるために、毎日の生活のなかで自分でできることをいくつか紹介します。無理をせず、体調や症状と向き合いながら取り入れるとよいでしょう。

軽いウォーキングや脚の曲げ伸ばしといったやさしい運動は、リンパの流れを助ける効果があります。

また、医療従事者の指導のもとで行う「セルフリンパドレナージ」と呼ばれるマッサージも、リンパ液の流れを促す方法のひとつです。ただし、自己流で行うと症状を悪化させてしまうこともあるため、必ず専門家に相談してから行うようにしましょう。

弾性ストッキング(適度な圧がかけられる医療用の靴下)の着用も有効です。血液やリンパ液の流れを良くすることができ、むくみを軽くし、症状の進行を防ぐことができます。

また、体重管理も大切なポイントです。肥満はリンパ浮腫のリスクを高めるとされているため、適正な体重を保つことが予防につながります。

そのほかにも、脚を高くして休む、締めつけの強い衣服を避ける、皮膚を清潔に保ち乾燥を防ぐなど、日常のちょっとした工夫がむくみの軽減に役立ちます。

リンパ浮腫外来などの活用

気になる症状がある場合は、できるだけ早く主治医に相談し、リンパ浮腫のケアを専門とする「リンパ浮腫外来」などを受診しましょう。

リンパ浮腫外来では、主に以下のような治療を組み合わせて行います。

  • 用手的リンパドレナージ(医療従事者が手で行う医療的なマッサージ)
  • 圧迫療法[専用の包帯や衣類(スリーブ、グローブ、ストッキングなど)による圧迫]
  • 運動療法(圧迫療法をした状態で行う運動)

これらの治療は、保険診療の対象となっており、リンパ液をうまくリンパ管へ戻すことを目的に行われます。圧迫に使う弾性着衣は、医師の指示のもとで、症状に合った最適なサイズ・圧力・形状のものを選びましょう。

こんなときは直ちに医師に相談を

次のような症状があるときは、「そのうち治るだろう」と自己判断せず、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

  • むくみの部分が広範囲で赤みがある、熱を持っている
  • 押して痛いところ(圧痛)がある
  • 赤い斑点や紫色の斑点がある

リンパ浮腫は、放っておくと炎症や感染を起こしやすく、重症化するおそれもあります。脚の赤みや熱っぽさ、痛み、発熱などの症状がある場合には、蜂窩織炎(ほうかしきえん)*1や静脈血栓症(じょうみゃくけっせんしょう)*2などリンパ浮腫以外の病気が関係していることも考えられ、確実な診断と適切な治療が必要になります。

*1 皮膚の下に細菌が入り込んで、皮膚やその下の組織に炎症が起こる病気

*2 下肢(脚のつけ根からつま先まで)の静脈などに血のかたまり(血栓)ができる病気


リンパ浮腫は、もし症状が出たとしても早めに気づいて適切なケアを行うことで症状の悪化を防ぎ、日常生活の快適さを保つことができます。手術後の生活や毎日のケア方法について、不安な点やわからないことがあれば、積極的に主治医や看護師に相談してみましょう。

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この記事の監修者

上田 豊(うえだ ゆたか) 先生
和歌山県立医科大学 先進予防・健康医学講座 教授/産婦人科医
監修者の写真

1996年大阪大学医学部を卒業後、産婦人科を専門として同大学医学部附属病院および関連病院での研修、アメリカ国立衛生研究所への留学を経て、大阪大学大学院産科学婦人科学の講師を務める。2025年から現職。婦人科がんに関する臨床研究や疫学研究、子宮頸がんの予防のための活動にも力を入れており、診療においては、患者さんの納得を得ることを心がけている。

参考資料

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「リンパ浮腫」
  • 国立がん研究センター中央病院「リンパ浮腫についての基礎知識」
  • 厚生労働省「動静脈・リンパ節各部位」
  • 静岡県立静岡がんセンター「学びの広場シリーズ からだ編11 リンパ浮腫の概要 下肢(あし)編」
  • 最先端治療 子宮がん・卵巣がん, p74-77「リンパ節切除の影響による下肢リンパ節への対応」

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