肺がんの治療が終わった後も、一定期間は定期的に病院に行き、検査を受ける必要があります。これを「経過観察」と呼びます。ここでは、経過観察の目的や期間、病院に行く頻度や検査内容について見ていきます。
再発や進行を早期に見つけるための定期的な検診
経過観察とは、手術や放射線、薬による治療がひと通り終わった後も定期的に受診し、肺がんの再発や進行がないかを検査によりチェックすることです。このとき、新しいがんの発生がないか、手術を行った場合は回復状態の確認や合併症が起こっていないか、放射線治療や薬物療法を行った場合は遅れて表れる副作用がないかなども同時に確認していきます。
定期的に検診を行うことで、これらを早期発見・早期対処することができます。
根治的治療後の経過観察期間は5年が目安
病気を完全に治すことを目的に治療が実施された場合、経過観察期間は5年間が目安とされています。
経過観察期間中の受診の頻度は、肺がんのタイプや行った治療、病状、医療施設の方針などによって異なりますが、はじめは1〜3カ月ごと、病状が安定してくれば6カ月〜1年ごとのように、だんだんと通院の間隔を延ばしていくケースが多いです。
また、手術を行った場合は、はじめは術後2週間目、その後は2週間おきに1〜2回の通院となるケースもあります。
経過観察中の検査内容
経過観察における診察では、体調についての質問(問診)や、血液検査(腫瘍マーカーなど)、胸部X線、CTなどの検査が行われます。さらに、必要と判断された場合にはMRI検査、PET-CT検査、骨シンチグラフィなどの画像検査が実施されることもあります。
再発や転移を早く見つけるために
経過観察は、肺がんの再発や進行、転移を可能な限り早い段階で見つけ、早期治療につなげる重要な役割を担っています。さらには、長く続く副作用で暮らしがおびやかされていないか、治療が心身への負担になりすぎていないかを確認する機会でもあります。
次の定期検査の日程は決まっていることが多いですが、もし体調の変化や異なる症状に気づいたのなら、検査日を待たずに主治医に相談するようにしましょう。不安はひとりで抱え込まないことが大切です。