初めてのストーマ装具は、医療者によって適切なものが選ばれることがほとんどです。しかし、日常に戻りストーマ(人工肛門)の扱いに慣れてきた頃には、ライフスタイルにあったものをご自身で選択することもできます。ここでは、初めてのストーマ装具がどのような観点で選ばれているのか、そして自分で装具を選ぶときのポイントについてお話しします。
Q.ストーマの装具は自分で選ぶのですか?
A.大腸がんの手術の計画時から、ストーマ装具の検討は始まります。医師や看護師に提案してもらいながら、一緒に選んでいきます。
入院中は、退院後のストーマ生活に備えて、ケア方法や装具の交換手順についても併せて教えてくれるので、徐々に慣れていくようにしましょう。気分が落ち込んだり、不安を感じたりしたときには、ひとりで抱え込まず、近くの看護師に気持ちを伝えることも大切です。
また、ある程度ストーマの扱いに慣れてきたら、市販されているたくさんの種類の装具の中から、自分の希望に合ったものを選ぶことが可能です。どのような装具がご自身にフィットするのか、看護師などの医療者と相談をしつつ、実際に試しながら選んでいくことをおすすめします。
Q.手術直後はどんなタイプの装具が選ばれるのですか?
A.医療機関によって多少の違いはありますが、ストーマ造設手術後の初めての装具は次のような基準で選ばれています。
ストーマ袋が透明なもの
手術直後や入院中は、ストーマのむくみや色調不良、出血などが起こることがあるため、装具がついたままでもストーマの状態や排せつ物を観察しやすい透明なストーマ袋が選ばれる傾向があります。
皮膚保護性能が高いもの・はがす際の刺激が小さいもの
ストーマの周囲は、腸管とおなかの皮膚という異なる体の組織同士が縫い合わされた状態になっています。傷口はふさがるのに時間がかかり、ふさがった後も刺激によって開いてしまうことがあります。また、手術直後のストーマは非常に傷つきやすい状態にあります。
そのため、まわりの皮膚を保護する性能が高い装具、はがす際の刺激が少ない装具が選ばれる傾向があります。
容量が大きく下部が開放されているもの
ストーマから離れた場所で排せつ物を取り出しやすいよう、ストーマ袋の容量が大きなタイプが選ばれる傾向にあります。また、新しい装具に交換する際に排出口から手を入れてやさしく装具を付けやすいよう、袋の下部が開け閉めできるタイプ(開放型)が選ばれる傾向にもあります。
Q.日常生活への復帰に向けてどんなタイプの装具を選ぶといいか教えてください
A.ストーマ装具は、ワンピースタイプとツーピースタイプに大きく分かれます。さらに袋の素材やサイズ、面板と袋の接着方法、皮膚保護剤の有無、交換頻度、コストなども製品によって違いがあります。
装具を選ぶ際は、前提として排せつ物がもれない、ストーマ周辺の皮膚トラブルが起こりにくいものを選ぶことが大切です。その上で、以下のポイントを参考にご自身のライフスタイルや好み、経済状況に適したものを選びましょう。
選択する際のポイント
- 動いても安定した装着感があるか
- 取り扱いやすく、日常生活が制限されないか
- 夏場など薄着のときは、外からわからないか
- 交換用の装具やケア用品の費用が高すぎないか
Q.一度選んだ装具は変えられないのですか?
A.入院中には、それぞれの医療機関で取り扱いのある装具から選ぶことがほとんどのため、患者さんは入院中に使用したものしか選択肢がないと思い込みがちです。しかし、装具は国内のメーカーから提供されているものだけでも多様な種類が存在し、途中で装具を変更することももちろん可能です。
もし、装具を使用していて気になる点や要望があるときは、病院にストーマ外来が併設されていれば、そこの看護師に相談するのがよいでしょう。最適な選択肢を見つける手助けをしてくれるはずです。