首や胸、食道への放射線治療中は、のどや食道の粘膜が炎症を起こし、いつもの食事が取れなくなることがあります。ここでは、のどの痛みはどれくらい続くのか、そして炎症や痛みがあるときの食事のポイントについてお話しします。
Q.水を飲むのもつらいほどののどの痛みが続いています。どのくらいでよくなりますか?
A.放射線治療によるのどの痛みは、治療の回数が増えるとともに生じやすくなりますが、治療が終わってから通常は2〜4週間ほどでだんだんと治まってきます。
とはいえ、患者さんによってはのどの痛みから、十分な食事や水分が摂れずに体重が減少したり、体力が低下してしまうことも。症状を感じたら我慢することなく早めに主治医や看護師に相談するようにしてください。
放射線治療でのどに表れやすい症状
- 乾燥感
- のどの赤みや痛み
- 飲み込みにくさ
- 味覚の変化
- ただれや出血
のどの痛みの治療では、粘膜を保護する薬(粘膜保護薬)や痛みをやわらげる薬(鎮痛薬)などが処方される場合があります。痛みが強いときには、鎮痛剤を使って飲み込むときの痛みを軽減します。また、栄養状態を維持するために、状況に応じて栄養補助食品の利用や点滴などを行うこともあります。
Q.痛みが強いときはどうやって食事をすればよいのでしょう?
A.痛みがあるときは食事への意欲が湧かないかもしれません。しかし、放射線治療を乗り切るためにも食事は欠かすことができません。
1日3食にこだわらなくても、少量ずつでも大丈夫です。なるべく消化がよく栄養価が高いものを選んで工夫して食べるように心がけてみましょう。
痛みがあるときの食事のポイントを4つお伝えします。
柔らかく飲み込みやすいものを選ぶ
痛みがあるときは、よくかまずに飲み込んでしまいがちになるので、なるべく硬い食べ物は避け、柔らかいものを摂るようにしましょう。
シチューや柔らかい煮物、茶碗蒸し、お粥、豆腐、バナナ、スープなどはのどへの刺激が少なくおすすめです。食後のデザートにヨーグルト、アイスクリーム、プリンなど、かまなくても簡単に飲み込める栄養価の高いものを加えるのもアイデアのひとつです。
小さく刻む、ミキサーにかける、とろみをつける
肉や豆類、野菜などの硬い食材を食べるときは、細かく刻む、ミキサーにかける、よく煮込むなどして、あらかじめ柔らかく飲み込みやすくしてから食べましょう。
水分のある料理は、片栗粉でとろみをつけると飲み込みやすくなります。
液体やゼリー状の総合栄養食品などを活用する
痛みが強いときには、市販の液体・ゼリー状の総合栄養食品や栄養補助食品の活用も検討し、エネルギーや栄養が不足しないよう心がけましょう。
辛い・酸っぱい・しょっぱいなど刺激の強い食品は避ける
香辛料や酸味、塩分の強いものは刺激が強いため、のどの痛みを助長することがあり避けた方がよいでしょう。全体的に薄味を意識することがポイントです。