放射線治療中は、服装について悩む人も少なくありません。そこで今回は、放射線治療中の服装で気をつけるべきことについてお話しします。
Q.放射線治療で行うマーキングとは何ですか?服装で気をつけることはありますか?
A.放射線治療では、正しい位置に正しい線量が照射されることが重要となるため、照射部位の皮膚に油性マーカーや転写シールなどで印を付けます。これを「マーキング」と言います。
マーキングは治療を正しく行うための目印なので、汗などで薄くなる程度は問題ありませんが、こすって消してしまわないように治療期間中は注意する必要があります。
もしマーキングが消えてしまった場合は絶対に自身で線を書かないようにし、治療前に放射線技師に伝えるようにしましょう。
またマーキングの印は色うつりすることもあるので、治療中は汚したくない下着や衣類は避け、汚れても問題ないものを選ぶのがおすすめです。白などの薄い色のものよりも、黒っぽいものを着用したほうが色うつりは目立ちません。
Q.放射線を照射した肌が炎症を起こしています。服を選ぶとき注意した方がいいことはありますか?
A.放射線の治療中は、放射線を照射した部位の皮膚に炎症が起こり、日焼けしたときのように赤くなったりかゆくなったり、ひどくなると皮膚がただれたようになるなどの副作用が現れることがあります。
これらの副作用は個人差もあるのですが、悪化しないように服装にも気を配ることが大切です。特に、放射線を照射している部位に圧迫やこするなどの刺激が加わると皮膚炎の症状が悪化しやすくなるので、服や下着は綿やシルクなど肌触りのよい素材で、ゆったりしたものを選ぶといいでしょう。
また、日傘や帽子なども活用し、直接日光が当たらないようにするなど紫外線対策にも心がけてください。
Q.照射する部位によって、気をつけることはありますか?
A.どの部位でも、圧迫やこする行為は刺激になってしまうため、体に密着するような服装は避けたほうがよいでしょう。以下に、部位ごとに気をつけるポイントをご紹介します。
首周辺
首の周囲に放射線を照射している場合、治療中はエリのある服は控えておくのが安心です。もしワイシャツを着用しなければならないときには、のりのついたシャツを避け、可能であればネクタイは締めず、第1ボタンを開けて首にエリが当たらないようにするなど、できる範囲で意識してみましょう。
胸部
特に女性の場合、胸部に放射線を照射する場合はワイヤーなしのブラジャーやカップ付きのインナーなどを使用するようにし、胸を締め付け過ぎないように気をつけましょう。
陰部・肛門
陰部や肛門に放射線を照射する場合には、締め付けが少ない大きめの下着や、肌にやさしい綿素材の下着を選ぶといいでしょう。またジーンズのような硬い素材のズボンはできるだけ避けた方が安心です。
頭部
放射線を照射した部分の毛が抜けてしまうことがあるので、ウィッグや帽子を着用する方も少なくありません。どちらも長時間着用していると頭皮がムレてしまう可能性があるので、できるだけ着ける時間は短くなるように意識することが大切です。
またウィッグを選ぶ場合、ムレを避けるのであればファッション用のウィッグよりも医療用ウィッグがおすすめです。医療用ウィッグは、がん治療による副作用や脱毛症の方に向けて作られているため、通気性の良い肌にやさしい素材が使われているものなどが多くそろっています。
放射線治療中は、ほとんどの場合、平日毎日通院することになるので、体力的にも大変に感じる方も多いでしょう。少しでも体への負担を減らせるように、できる限り肌に刺激のない服を選ぶようにしましょう。