抗がん剤治療(などの薬物療法)や放射線治療を始めると、患者さんによっては副作用で髪が抜けることがあります。ここでは髪が抜け始めるタイミングや脱毛の期間、髪が抜ける前に準備しておくとよいこと、ウィッグの選び方などをお伝えします。
Q.抗がん剤治療の開始からどのくらいで髪が抜け始めるのでしょう?
A.抗がん剤治療(などの薬物療法)によって髪が抜けるかどうか、また抜け始める時期には個人差があり、一般的には、初回の抗がん剤治療(などの薬物療法)から1〜3週間が経過した辺りから徐々に抜け始めるケースが多く見られます。
また、抜け方や抜ける量についても患者さんによって大きな差があります。なお、放射線治療の場合も、照射した部位に限って脱毛が起こることがあります。
抗がん剤治療(などの薬物療法)による脱毛は一時的なもので、多くの場合は脱毛の原因となる薬の治療が終わり3カ月程度経過すれば数ミリほどの長さになり、そのまま伸ばしていくことができます。
Q.髪が抜ける前に準備しておくといいことはありますか?
A.髪の抜け始めの時期は抜け毛が床や寝具に散らばることがあるので、あらかじめバンダナやヘアキャップを準備しておくと便利です。
また、脱毛期間中にウィッグの使用を希望される方は、髪が抜ける前に自身の髪型を写真に残しておくことをおすすめします。そうすることで、ウィッグを購入する際に、もとの髪型に近いものを選ぶことができますし、購入先での相談の際にも役立ちます。
着用するウィッグが決まったら、ウィッグのヘアスタイルに合わせてあらかじめ髪を整えておけば、ウィッグをより自然に使い始めることができます。
Q.ウィッグをどうやって選んだらいいかわかりません
A.ウィッグには数千円から数十万円するものまで幅広い価格帯がありますが、値段が高いから良いというわけではありません。
試着が可能であれば、ぜひ試着をしてフィット感や重さなどを確認しながら、自分に合っているものを見つけてみましょう。これまでと同じ髪型でなくても構いません。ウィッグ選びで最も重要なのは「似合うな」「自分らしいな」と感じられるものを選ぶことです。
がん患者さんへのウィッグの購入費助成を行っている自治体もあるので、気になる方はお住まいの市区町村に問い合わせてみてください。
もちろんウィッグを使わないという選択肢もあります。帽子で過ごしたり、スキンヘッドにしたり、その選択は人それぞれです。自分にとってのベストな選択肢を見つけるために、まずは慌てて購入せずに、主治医や看護師などまわりの人に相談してみましょう。
Q.脱毛中はどのようにケアすればいいでしょう?
A.脱毛中の頭皮は敏感な状態ですので、ケアの際は次の点に注意しましょう。
頭を洗う際は、こすらずにたっぷりの泡でなでるように優しく洗うことを意識してください。髪の毛が抜けてからは、シャンプーだけでなく洗顔料やボディソープを使用しても大丈夫です。
ドライヤーは刺激が強いのでできるだけ控えましょう。どうしても使用したいときは、冷風や弱風に設定し、頭皮への負担を軽減します。
また、ヘアカラーやパーマ、育毛剤の使用は脱毛中の頭皮に刺激を与える可能性があるので、避けることをおすすめします。これらは、治療が終了し頭皮の回復が進んでから、主治医に相談した上で開始するようにしましょう。
一時的なものとはいえ、脱毛による見た目の変化は大きな心の負担になることもあります。がんの治療中だからこそ、日常を快適に過ごすための環境づくりは大切にしたいもの。
「些細なことだ」「みんな我慢しているし…」とひとりで不安や悩みを抱え込まずに何ごとも主治医や看護師などに積極的に相談し、気持ちを共有していきましょう。