大腸がんを治すことを目標に進めてきた初期治療が一段落し、病状が安定してきたら、定期的に検査を受けながら通院する経過観察に入ります。医療機関への受診や検査頻度は、がんの進行度や治療の内容、回復状況、後遺症の有無などによって異なります。大腸がん治療後の経過観察について見ていきましょう。
内視鏡治療後の経過観察
大腸がんの内視鏡治療のあとは、主に大腸内視鏡を用いた検査を受けます。
検査では、再発やほかの臓器に転移がないかを網羅的に確認しますが、粘膜内にとどまるがん(ステージ0)であった場合は、切除した切り口やそのまわり、つなぎ目の再発のみを対象とした検査となります。
手術後の経過観察
大腸がんの再発の約85%は手術後3年以内に、約95%は5年以内に見つかっているため、少なくとも手術後5年間は定期的な通院で検査をする必要があります。通院時には、遠隔転移*1や局所再発*2、大腸がんとは別にできるがん*3を早期に発見するために、腫瘍マーカー、CT検査、大腸内視鏡検査などが行われます。
結腸がんと直腸がんでは、術後の受診頻度や診察・検査内容などが異なります。次の表は、ステージ1〜3の結腸がんと直腸がんを治療した後の一般的な検査スケジュールをそれぞれ表したものです。参考にしてみてください。
*1 遠隔転移:がんが最初にできた原発巣(大腸)から離れた場所に同じがんが現れること。がん細胞が血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官に移動し、そこで増えることで再発する
*2 局所再発:手術で残った大腸の組織に同じがんが現れること
*3 大腸がんとは別にできるがん:原発巣(大腸)のがんを由来としない新たながん
【結腸がん(ステージ1〜3)治療後の検査スケジュール】
【直腸がん(ステージ1〜3)治療後の検査スケジュール】
〇:ステージ1~3の大腸がんの場合に実施。
※:ステージ3の大腸がんの場合に実施。なお、ステージ1~2の大腸がんでは省略可とされる。
補足:直腸S状部は直腸に分類されますが、直腸S状部がんは結腸がんとして扱われ、治療や治療後の検査が行われる場合があります。
定期的に検査を受けていれば、もし大腸がんの再発が判明したとしても、早期発見、早期治療が可能です。今回示したのは、あくまでも一例で、実際の通院間隔や検査内容は患者さんによって異なりますので、事前に医師に確認しておくことをおすすめします。