胃がんを治すことを目標に進めてきた初期治療が一段落し病状が安定してきたら、定期的に検査を受けながら通院する経過観察に入ります。医療機関への受診や検査頻度は、がんの進行度や治療の内容、回復状況、後遺症の有無などによって異なります。胃がん治療後の経過観察について見ていきましょう。
内視鏡治療後の経過観察
胃がんの内視鏡治療のあとの経過観察の内容は、病理診断*1の結果によって異なります。一般的に年に1〜2回の内視鏡検査が実施されますが、代わりにCT検査などの別の画像検査が用いられることもあります。
*1 病理診断:患者から採取された細胞や組織を顕微鏡で観察して病変を診断すること
手術後の経過観察
胃がんの再発は、治療後3~5年以内にみられることが多いとされています。そのため、頻度は状況により異なりますが、少なくとも手術後5年間は通院する必要があります。通院時には、遠隔転移*2や局所再発*3、胃がんとは別にできるがん*4を早期に発見するために、腫瘍マーカー、CT検査、内視鏡検査などが行われます。
早期胃がんと進行胃がんでは、術後の受診頻度や診察・検査内容などが異なります。次の表は、胃がん患者さんの一般的な経過観察のスケジュールをステージ別に表したものです。参考にしてみてください。
*2 遠隔転移:がんが最初にできた原発巣(胃)から離れた場所に同じがんが現れること。がん細胞が血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官に移動し、そこで増えることで再発する
*3 局所再発:手術で残った胃の組織に同じがんが現れること
*4 胃がんとは別にできるがん:原発巣(胃)のがんを由来としない新たながん
【ステージ1の経過観察スケジュール】
※手術でがんを完全に取り除いた場合
【ステージ2〜3の経過観察スケジュール】
※手術でがんを完全に取り除いた場合
もしも胃がんが再発していたとしても、定期的な検査を受けていれば、早期に発見でき、適切な治療を受けることができます。今回示したのはあくまでも一例で、実際の通院間隔や検査内容は患者さんによって異なりますので、事前に医師に確認しておくことをおすすめします。