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大腸がんの治療がスタートするまでの流れ

#ステージ#治療#検査
公開日2023.05.24

がんの告知や治療により、この先どのように事が進んでいくのか、不安な気持ちになったりいろいろと考えてしまうこともあるかもしれません。これからどんなことが起きるのか正しく知ることは気持ちの安定にも繋がります。そこでここでは、がんの診断から治療法の決定、実際に治療を開始するまでの流れやその時々の注意点を確認していきましょう。 


いくつかの検査をして最適な治療法を探す 


人間ドックやがん検診、または何らかの症状により大腸がんが疑われた場合、それが本当に大腸がんなのかを確認するためや、大腸がんの広がりを調べるためにいくつかの検査を受けることになります。 


大腸内視鏡検査で、大腸がんかどうかを判定


大腸がんかどうかを確認する代表的な検査の1つが大腸内視鏡検査です。この検査では、肛門から内視鏡カメラを挿入し、がんと疑われる細胞の一部を採取(生検)し、この細胞を顕微鏡で見て、がん細胞かどうかを判定します(病理検査)。


CT検査、PET検査で、がんの転移を確認 


病理検査後にがんと確定した場合は、どの程度がんが広がっているか(進行度)を次のような検査で確認します。


大腸がんが大腸の壁の表面からどの程度の深さまで達しているかを、超音波(エコー)検査で調べます。また、周辺の臓器やリンパ節にがんが転移しているかどうかを、CT(コンピューター断層撮影法)で調べます。CT検査で見つけにくい極めて小さながんには、がん細胞に集まりやすい放射性物質を注射後に、体を撮影する、PET(ポジトロン断層撮影法)という検査を行います。 


ステージ(病期)の決定とガイドラインに基づく治療方針の提示 


このような検査の結果を総合して、最終的なステージが診断されます。このステージに応じて、その後の治療方針が決定します。 がんかどうかを確認する検査を受けてから、治療方針の決定までには一般的に1カ月ほどかかります。


がんをはじめとするさまざまな病気では、専門の医学系学会で、これまで集積した科学的に信頼度の高い研究結果に基づき、現時点で推奨される治療法である「標準治療」を体系的にまとめた、診療(治療)ガイドラインが策定されています。 


大腸がんの場合も、大腸癌研究会が策定した『大腸癌治療ガイドライン』があり、その中に記載されたステージごとの治療選択にのっとり、治療が進められます。つまり、主治医の一存で選択が決まるものではなく、基本的にはこのガイドラインに沿った治療法であるということです。 


医師と二人三脚で治療選択を行うシェアード・ディシジョン・メイキング 


近年、がんの治療法を選択する際には、「シェアード・ディシジョン・メイキング(共有意思決定、SDM)」という意思決定法を用いるのがよいと考えられています。SDMでは、医師から提示された治療法を選択する際、自身が置かれている生活環境や生活習慣、自身が持つ価値観などを率直に主治医に伝え、一緒に治療法を選択します。 


がんの診断でショックを受けている中、複数の治療法から自身の治療法を選択するのは難しいことです。そのようなときは、それぞれの治療法のメリットとデメリットを医師に確認し、可能ならばその内容のメモを取りましょう。そのうえで、SDMの考えに基づいて、自身が何を大事にして治療法を決めたいのかを考え、最良と思える治療法を、医師とともに選択しましょう。 


納得して選択できるよう、セカンドオピニオンの活用も 


もし主治医の説明に不安を感じたら、主治医とは別の病院の医師に意見を求める「セカンドオピニオン」を受けるのもよいでしょう。「主治医の機嫌を損ねるのでは」と心配になる方もいるかと思いますが、セカンドオピニオンを選択することは患者さんの権利です。 


まずは、自身が納得して治療法を選択することを優先しましょう。セカンドオピニオンを受ける場合は、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターに問い合わせることで、地域内のセカンドオピニオン外来の情報を得やすいでしょう。 


治療開始までにできること 


治療法が確定すると、その方法に応じて、入院や通院での具体的な治療スケジュールの調整に入ります。手術の場合、術式や担当医の勤務状況などに応じて、1カ月からそれ以上待つこともあります。 


患者さんの不利益とならないかどうかを判断したうえでスケジュールは提示されますが、不安に思う気持ちがある場合は、主治医やがん相談支援センターに伝えてみましょう。 


食事や生活習慣の見直しは基本的に不要 


手術など、治療を開始する前に、生活習慣を大きく変える必要はありません。ただし、睡眠時間や食生活の乱れは体力の低下につながる可能性があります。 


がんの治療前は、健康的な生活を心がけ、体力を保ちながら治療開始を待ちましょう。また、体を動かす余裕のある方は、主治医と相談したうえで筋力トレーニングや有酸素運動を行い、基礎体力の向上に努めるのがよいでしょう。 


家庭や職場で対応の相談も 


入院治療を行う場合、家庭・職場ともに、自身が担っていた役割の一部を誰かにお願いすることになるでしょう。その際には、具体的な対応を話し合うだけでなく、自身の状況を、誰に、どの程度伝えてよいのか、家族・同僚などに意思表示するのがよいでしょう。 


自身の気持ちを大切に、一つひとつ確実に対応を 


がんの疑いから診断、そして治療の開始までには、さまざまな検査や準備が必要になります。あれやこれやと対応に追われているうちに、あっという間に過ぎていると感じる方もいるのではないでしょうか。 


大切なのは、自身の気持ちを大切にしつつ、一つひとつ確実に対応を進めることです。もし、不安がある場合は、がん相談支援センターや患者会に相談するのもよいでしょう。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
監修者の写真

1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

参考資料

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)検査」
  • 大阪急性期総合医療センター「術前から術後の流れ」
  • 国立国際研究センター「PET-CTとは」
  • 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン」
  • 大腸癌研究会「大腸癌研究会について」

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