大腸がんは、男女ともにかかる人の多いがんのひとつです。もともと欧米人に多いがん種ですが、近年、日本においても増加傾向にあります。その理由のひとつとして挙げられるのが、食生活をはじめとするライフスタイルの欧米化であり、大腸がんは生活習慣の影響が大きいがんと言えます。ここでは、大腸がんの生存率について見ていきます。
生存率とは?
がんの診断から、一定期間が経過した後に生存している割合を「生存率」といいます。
生存率は、「治療によってどのくらい生命を救えるか」を客観的に示す重要な指標のひとつで、その値が100%に近いほど、適切な治療を行うことで命を救える可能性が高いことを意味しています。
中でも、診断から5年後の数値である「5年生存率」は医療現場においてよく使われます。なお、生存率は、死因ががんであるかどうかに関係なくすべての死亡を含めた「実測生存率」と、がんによる死亡のみを抽出した「相対生存率」に分けられます。
大腸がんのステージ別生存率
がんには「ステージ」という進行の程度を知るための目安があり、大腸がんでは日本大腸癌研究会の分類に従ってステージ0〜ステージ4の5段階に分けられます(がんのステージについて詳しく知りたい方はこちら)。
下のグラフは、ステージ別に見た大腸がんの5年生存率(相対生存率)です。
国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」より作成
※ステージ0は5年生存率97.6%
大腸がんの5年生存率は以下のとおりです。
【大腸がん 5年生存率】
・ステージ0 97.6%
・ステージ1 94.5%
・ステージ2 88.4%
・ステージ3 77.3%
・ステージ4 18.7%
大腸がんのステージ1での5年生存率は、94.5%に上ります。ステージが進むとともに生存率が低下していくため、早期発見・早期治療が重要となるのです。
治療で長く生きることがのぞめるがん
大腸がんは、手術などでがん(病巣)を取り除くことで長く生きることものぞめる病気です。また、検診の際に発見された場合、進行がんでも病巣を切除することで長期生存の可能性が高まるとされています。がんの場所や進行具合によりがんを全て切除することが難しい場合でも、抗がん剤治療などの薬物療法を先に行うことで、切除できるようになるケースもあります。