大腸がんは、男女ともにかかる人が多いがん種ですが、発生部位や症状、種類、治療の選択肢もさまざまです。大腸がんとはどんな病気なのか、見ていきましょう。
大腸がんとは
「大腸がん」とは、大腸(結腸・直腸)の表面粘膜に発生するがん*1の総称です。発生する部位により「結腸がん」と「直腸がん」に分けられます。大腸のどの部位にも発生しますが、日本人は「S状結腸」と「直腸(直腸S状部〜肛門管)」にできやすく、その両方で大腸がん全体の半数以上を占めています。
大腸がんのタイプ
大腸がんは、大腸の壁の内側にある粘膜から発生し、次第に壁の中へ深く進んでいきます。
がんの発生パターンには大きく2つあり、粘膜の一部がイボのように隆起する腺腫(せんしゅ)と呼ばれる良性腫瘍(ポリープ)が「がん」へと変化する場合と、正常な粘膜から直接発生する場合です。
また、がんが大腸の壁のどれくらいの深さまで入り込んでいるのかを示す言葉を「深達度(しんたつど)」といい、がんの進行度合いを判断する要素のひとつとなります。
がんが粘膜下層までにとどまっているものを「早期がん」、粘膜下層より深く進んでいるものは「進行がん」と分類されます。
がんの進行度合いは「ステージ(病期)」で分類され、大腸がんでは進行度が低いものから、0期(ステージ0)~Ⅳ期(ステージ4)の5つに分けられます。
ステージは、がんの深さ(深達度)のほか、リンパ節転移の有無、大腸以外の臓器や腹膜への転移(遠隔転移)の有無から決まります。
大腸がんの発生に関係するものとは?
食生活や飲酒、喫煙、運動不足などの生活習慣により発生リスクが高まるともいわれますが、大腸がんは誰にでも起こり得ることです。
また、大腸がん患者さんの約5%は、遺伝的要因が影響しているといわれており、これらは「遺伝性腫瘍」と呼ばれています。
自覚症状はどんなものがある?
早期大腸がんでは、痛みや違和感といった自覚症状はほとんどありません。しかし、がんが進行し大きくなってくると、以下のような症状が出てきます。
【排便の変化】
・血便(便に血が混じっている)
・下血(おしりから血が出る)
・便秘と下痢を繰り返す
・便が細くなる
・残便感がある
【腹部の変化】
・お腹が張る
・お腹にしこりがある
・腹痛がある
【それ以外の変化】
・貧血
・嘔吐
これらのうち、どの症状が現れるかは、がんの発生部位によって異なります。
盲腸や上行結腸、横行結腸といった大腸の(自分から見て)右側部分では、まだ便が固まりきっていません。そのため、それらの部位にがんが発生しても、血便などの症状が出にくいのが特徴で、貧血や腹部のしこりによって発見されることも多くあります。
左側部分である下行結腸やS状結腸、直腸では、便が固形となり腸管の中も狭くなります。そのため、便の通りが悪くなり、痛みや嘔吐が起こりやすく、血便や便通異常なども起こります。また、腸閉塞を引き起こしやすいのも特徴です。