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胃がん手術の目的と種類を知る

#ステージ#手術#がんの種類
公開日2023.05.24

胃がんの治療法の一つである手術はどのような目的のために行われ、その手術方法には、どのようなものなのでしょうか。ここでは、胃がんの手術の目的と種類、術後に注意したいポイントについて見ていきましょう。


胃がん手術の目的


内視鏡治療によって切除しきれないがんの大きさや深さなどの場合は、手術が行われます。内視鏡治療ではがんの切除後も胃が残りますが、手術では胃(の一部もしくはすべて)を切除します。


がんを取り除き、食べ物の通り道をつくり直す


胃がんの手術には、がんを取り除き(切除し)、がんがそれ以上進行するのを抑えるという目的があります。がんを含む胃の一部またはすべてと、胃の周囲のリンパ節も取り除きます。


胃をどのくらい切除する必要があるかは、がんのある部位と進行度(ステージ)によって変わります。特に早期胃がんの場合は、治癒(完全に治しきること)を目指し、胃の機能を温存する方法が取られます。


胃の周囲にある「リンパ節(の一部、もしくはすべて)」を合わせて取りくことを「リンパ節郭清(かくせい)」といい、がん細胞の取り残しや、転移のリスクを最小限にするために行われます。これは、がん細胞がリンパ節を通って全身に広がっていくという性質によるものです。


また胃を切除した後は、新たに食べ物が通る道をつくり直すために、食道や残った胃、小腸をつなぎ合わせます。これを再建(消化管再建)といい、胃の切除手術と同時に実施されます。


がんの広がりや症状を抑える


がんが一定の場所にとどまっているケースでは、手術は最も有効な治療方法です。しかし、がんが一定の範囲を超えて広がってしまうと、手術ですべてを取り除くことはできません。その場合、多くは薬物療法と手術を組み合わせた治療が行われます。


また、すべてのがんを取り除くことが困難なケースにおいても、がん(腫瘍)からの出血や食べ物が通りづらいなどの症状の緩和を目的とした手術が行われることがあります(緩和手術)。


切除する胃の範囲



胃のどこを切除するかは、がんができた位置や大きさ、進行度(ステージ)によって決まります。代表的な手術方法には次のようなものがあります。


【胃全摘術】


胃の入り口(噴門)・出口(幽門)を含めた胃のすべてを切除します。がんの範囲が広い場合や、胃の上部に進行がんがある場合に行われます。


【幽門側胃切除術】


幽門を含めた胃の下部を約2/3切除し、噴門は温存します。胃の下部から中央部分にかけてがんが存在する場合に行われます。


【幽門保存胃切除術】


胃の中央部分を約1/2切除し、残った上部と下部の胃を吻合します。胃の出口(幽門)から4cm以上離れている早期がんに対して行われます。幽門を残すことで、食べた物がすぐに腸に流れ込まないようにする機能が温存できます。


【噴門側胃切除術】


噴門を含めた胃の上部を約1/3~1/2切除します。胃の上部にある早期がんの症例で行われます。


手術方法


手術には、「開腹手術」と「腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術」の大きく2つの方法があります。切除する胃の範囲や、全身麻酔をする点はどちらの方法でも同じで、どちらが推奨されるかは、がんの進行度や医療機関によって異なります。


では、それぞれの方法による違いはどんな点にあるのでしょう。



1. 開腹手術


開腹手術では、おなかを縦に20cmほど切開し、胃や周辺組織を直接切除します。医師が臓器を直接目で見て行えるため、腹腔鏡下手術に比べて簡単で、時間がかからないという特徴があります。


一方で、傷口が大きいため、患者さんの体への負担が大きくなり、術後の回復に時間がかかるというデメリットがあります。


2. 腹腔鏡下手術

 

「腹腔鏡下手術」は、おなかに数カ所小さな穴を開け、そこから専用の器具を挿入して胃や周辺組織の切除を行います。おなか(腹腔内)の様子を高性能カメラ(腹腔鏡)でモニター画面に拡大して映し、開腹手術では見えづらい血管や神経まで見ながら行うのが特徴です。


患者さんにとっては、開腹手術に比べ傷が小さいため、術後の痛みが少ない、回復が早く入院日数が短縮できるなどのメリットがありますが、手術時間が長くなりやすい、手術が難しくなるなどの課題もあります。


これまで、主に早期がんで選択されることが多かった方法ですが、最近では進行がんの一部にも適用が拡大されつつあります。ただし、十分な知識と経験を持つ医師が行うなどの条件もあるため、実施できるケースは限られています。


また、腹腔鏡下手術のひとつとして、近年では、医師が医療ロボットを遠隔操作して行う「ロボット支援下手術」も、実施できる医療機関が増えてきています。


手術で起こりやすい合併症


胃がんの手術が原因となって起こりやすい主な合併症には、次のようなものがあります。


【縫合不全(ほうごうふぜん)】


手術時に縫い合わせた消化管同士がうまくつながらず、つなぎ目から食べ物や消化液が漏れ出すことがあり、縫合不全といいます。通常、術後3〜5日ほどで判明します。


症状としては、炎症や痛み、発熱などがあり、基本的には点滴や経腸栄養*1、食事を止めるなどして様子をみます。腹膜炎が起こると再手術が必要になる場合もあります。


*1 胃や小腸にチューブを挿入し栄養や水分を取り込む方法のこと。経口摂取ができない患者さんの栄養管理などに用いられる。


【膵炎(すいえん)・膵液漏(すいえきろう)】


膵臓(すいぞう)のまわりのリンパ節郭清を行った影響で、膵臓に炎症が起こること(膵炎)や、膵液がおなかの中に漏れ出すことがあります(膵液漏)。


膵炎の場合は薬で治療します。また、膵液は、たんぱく質や脂肪を分解する酵素が含まれている、とても強い消化液であるため、周囲の臓器や血管が溶けたり、感染により膿(うみ)がたまったり、まれに出血が起こることがあります。これらの場合には、細い管(ドレーン)を挿入して膵液や膿を体外に排出するドレナージを行い、経過をみます。


【腹腔内膿瘍(のうよう)】


縫合不全や膵液漏がきっかけで感染が起こると、おなかの中に膿のかたまりができることがあります。これを腹腔内膿瘍といいます。

多くの場合、膿瘍ができると腹痛や発熱があります。治療としては、抗生物質の投与や細い管を体内に挿入して膿を排出させるドレナージが実施されます。


手術後の後遺症について


胃の幽門(胃の出口)を切除した場合、手術後は食後に動悸、発汗、めまいなどが起こるダンピング症候群が現れやすくなるため、食事内容や食事の取り方を工夫する必要があります。また、噴門(胃の入り口)を切除した場合は、胃液や内容物の逆流が起こりやすく、胸焼けなどの症状が出ることがあります。


その他にも、胃を切除した影響で、鉄分やビタミンB12の吸収が悪くなるために、貧血が起こりやすくなったり、カルシウムの吸収が悪くなるために骨粗しょう症になりやすいことが知られています。生活習慣の見直しや適切な治療の継続で、後遺症とうまく付き合っていくことが大切です。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
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1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

参考資料

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「内視鏡治療 2.消化管にできたがんの内視鏡治療」
  • 国立がん研究センターがん情報サービス「胃がん 治療」
  • 国立がん研究センターがん情報サービス「手術(外科治療) もっと詳しく 6.手術のリスクや合併症」
  • 国立がん研究センター東病院「胃がんの手術について」
  • 国立国際医療研究センター病院「胃がんの外科治療について」
  • がん研有明病院「早期胃がんの新しい手術治療(腹腔鏡下手術)」
  • 名古屋大学医学部附属病院消化器外科2「胃がんの治療について」
  • 胃癌治療ガイドライン 医師用(2021年7月改訂第6版),金原出版 P18

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