日本でがんと診断される人の割合が高いもののひとつが「胃がん」です。胃がんになる人はどのくらいいるのでしょうか。患者数について見ていきましょう。
胃がんと診断される人はどのくらい?
胃がんは、女性よりも男性の患者数が多いのが特徴で、男性では10人に1人、女性では21人に1人が一生のうちに胃がんと診断されています。
ちなみに、2019年の1年間で新たに胃がんと診断された人は、全国で約12万4千人でした(男性約8万5千人、女性約3万9千人)。
現在、胃がんの多くは検査によって早い段階で発見されています。「早期がん」に対しては、おなかを大きく切らない内視鏡治療など患者さんの体への負担が少ない治療が盛んに行われています。また「進行がん」に対する薬物療法の選択肢も増えてきています。
胃がんは5大がんのひとつ
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)より作成
胃がんは、男性では3番目、女性では4番目に多いがんです。
以下のグラフの通り、中高年以上に発症することが多く、特に50代以降から急増します。
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)より作成
日本における主要ながんとして厚生労働省の定める「5大がん*1」のひとつにも定められており、積極的な「がん検診」が推奨されています。
*1 胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸(けい)がんの5つ。子宮頸がんではなく肝がんを入れる場合もある。
胃がん検診の方法には以下のようなものがあります。
【胃部X線検査】
胃を膨らませるための発泡剤とバリウム(造影剤)を飲んでから、レントゲンで胃の内部を撮影し、胃の粘膜を観察する検査です。鼻や口から内視鏡を挿入する必要はありません。
【胃内視鏡検査】
鼻や口から胃の中に内視鏡(小型のカメラを装着した細い管)を挿入し、胃の内部を直接観察する検査です。疑わしい部位が見つかれば、そのまま内視鏡で組織を採取する「生検(せいけん)」を行うこともあります。
胃がん患者数の現状
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)より作成
日本において胃がんで亡くなる方は毎年5万人程度でしたが、2010年代以降は大きく減少する傾向にあります。これは、検査の精度や外科・内科治療の水準が向上したためです。
さらに、胃がんを発症しやすい年齢である中高年層の人口が増加していることを考えると、胃がん患者の死亡者数の割合は、グラフに表れる数字以上に減少していると考えられます。