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がんになって行う運動「リハビリテーション医療」とは

#生活習慣#治療
公開日2023.05.24

がん患者さんは、適度な運動を行うことによって痛みの軽減や再発率の低下につながる可能性があるため、リハビリテーション医療を受けることがあります。『リハビリ』と聞くと手術をした後に行うイメージがありますが、がんの場合には手術による合併症の発生などを予防する目的として、治療開始前に始めるものもあります。がん患者さんが取り組むリハビリテーション医療について見ていきましょう。


がんの治療前にリハビリテーション医療を行う理由


リハビリと聞くと手術をした後に身体機能の回復を目的として受けるイメージがありますが、がん治療の場合は治療前から行うことも有用だと考えられています。では、がん治療の際に行うリハビリはどのような効果が期待できるのでしょうか。


けん怠感を緩和する


乳がん、肺がん、前立腺がん、悪性リンパ腫などの患者さんが有酸素運動や呼吸運動などのリハビリテーション医療を取り入れる場合と取り入れない場合を比べると、取り入れるほうがけん怠感が軽減したという報告があります。ストレッチのみの軽度の運動だけではなく、有酸素運動や筋トレなどの激しい運動を取り入れたほうが、けん怠感の緩和に対して高い効果が期待できることがわかっています。


痛みを軽減させる


乳がん患者さんや頭頚部がん*などの患者さんがリハビリテーション医療を行うことで、定期的な手術、放射線治療、薬物治療による肩の痛みの軽減に有用だと考えられています。肩回し運動、姿勢運動、全身運動、リンパ浮腫(ふしゅ)の予防運動が活用されています。


* 口腔がん、喉頭がん、咽頭がん、鼻・副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなど


身体機能を向上させる


有酸素運動をリハビリテーション医療として取り入れた肺がん患者さんは、運動を取り入れていない場合と比べて心肺機能の向上が認められています。また、手術前の消化器系がん患者さんが1回あたり15分~3時間程度の有酸素運動などを週に2回取り入れることで、運動を取り入れていない場合と比較してウォーキングの耐久力や心肺機能が改善することが明らかになっています。


がんの治療中もしくは治療後の患者さんはどうしても今まで通りに体を動かすことが難しくなってしまうため、できるだけ早めにリハビリテーション医療を始めて身体機能を維持しましょう。


死亡率や再発率、合併症が起こる可能性が低くなる


がんの治療に加えてリハビリテーション医療を取り入れることで、運動を取り入れていない時と比較してがんの再発率の低下や手術による合併症の軽減が期待でき、さらに生存率が向上する傾向があることがわかっています。また、これらの期待できる効果は運動量が多いほど現れやすいため、可能な範囲で運動を取り入れるとよいでしょう。


心に余裕を持った状態で治療に臨める


がんの告知を受けてから治療が始まるまでの間は「治療がうまくいくか」「副作用が出てしまわないか」といった不安を抱くことがあるかもしれません。そのような時は気分転換に運動をすることで不安な気持ちをやわらげ、余裕を持った状態で治療を開始しましょう。


リハビリテーション医療はいつ行うとよいか


リハビリテーション医療は目的によって実施する時期が異なります。ここでは、『予防』『回復』『維持』『緩和』の4つの目的に分け、それぞれの目的に合ったリハビリテーション医療を行う時期をお伝えします。


障害・症状の予防を目的とする時


治療による後遺症や合併症を未然に防ぐために、リハビリテーション医療を取り入れることがあります。予防を目的としたリハビリテーション医療は治療中だけでなく治療開始前から受けることがあります。


回復を目的とする時


手術や薬物治療によって低下してしまった体力や身体機能を回復させるために、治療を始めてからリハビリテーション医療を行うことがあります。


運動能力の維持を目的とする時


がんの転移や再発が見つかった患者さんは、運動能力の維持を目的としてリハビリテーション医療を取り入れることがあります。転移や再発が見つかった場合は、運動能力の低下に伴って体を動かすことがおっくうになり、寝たきりの状態に陥ることがあります。そのため、運動機能を維持して著しい活動量の低下を防ぐという目的も含んでいるのです。


症状の緩和を目的とする時


緩和ケアを行っている患者さんは、症状の緩和を目的としたリハビリテーション医療を受けることがあります。患者さん自身の身体的・精神的な苦痛を緩和して、生活の質(QOL:Quality of Life)を向上させることを目的としています。


リハビリテーション医療はどこで受けられるの?


ここまで、リハビリテーション医療の効果や目的、実施時期について見てきました。では、リハビリテーション医療を受けたい時はどこに行けばよいのでしょうか。


がん診療連携拠点病院


がん診療連携拠点病院の多くは、リハビリテーション医療の提供に必要な設備の基準を満たし、十分な知識を持つスタッフが在籍しているため、患者さんは適切ながんのリハビリテーション医療を受けることができます。


在宅でもリハビリテーション医療を受けられる


在宅での療養を希望する方も自宅でリハビリテーション医療を受けられることがあります。自宅の環境や身体機能を医師やリハビリテーション専門のスタッフに評価してもらい、それぞれの状況に合ったリハビリテーションのプログラムを組んでもらいましょう。理学療法士や作業療法士が自宅を訪問してリハビリテーション医療を行う『訪問リハビリテーション医療』を利用もできるので、自宅でリハビリテーションを考えている場合は病院で相談してみるとよいでしょう。


自宅や家のまわりでできる運動もおすすめ


がんと上手に付き合っていくためには、運動する習慣をつけることが大切です。病院や専門施設でリハビリテーション医療を受けることは大事ですが、自宅や家のまわりでも手軽に取り組める運動もおすすめです。


ウォーキング


1日20~30分を目安にして週150分程度のウォーキングを取り入れてみましょう。「ウォーキングは苦手…」という方はサイクリングやヨガなど週150分のウォーキングと同程度の強度の運動に変更しても構いません。


また、自宅や家のまわりでは行いにくいかもしれませんが、テニス、バドミントンなどをウォーキングの代わりに行うこともよいでしょう。


筋トレ


週に2日、筋トレを行いましょう。ダンベルなどの器具を用いた本格的な筋トレや、腕立て伏せ腹筋など比較的簡単にできる筋トレのどちらでも構いません。筋肉を動かす動作を定期的に行うことが大切です。


日頃から体を動かす意識を持つ


階段の昇り降り、ガーデニング、徒歩での買い物など、日常的な動作でも意識的に取り入れることで運動量を増やすことができ、がんのリハビリテーションにつながるかもしれません。


リハビリテーション医療を受けるうえで、まわりの方に知っておいてほしいこと


適切なリハビリテーション医療を受けるためには、ご家族など生活をともにする方による理解が欠かせません。まわりの方にリハビリテーション医療を知ってもらうために、これからお伝えすることをきっかけとして話してみてはいかがでしょうか。


リハビリテーション医療は『治療前』でも効果がある


既にお伝えしているように、リハビリテーション医療は治療を開始する前から始めることで効果を得られることがあります。まわりの方が「なぜこのタイミングで?」と疑問に感じてしまう可能性もあるため、リハビリテーション医療の目的と実施時期の関係を簡単に説明しておくとよいでしょう。


リハビリテーション医療をスムーズに行うためには環境の整備が必要


本人の負担だけでなく、一緒に生活するご家族の負担も減らすために手すりやスロープを取り付けるなど自宅の環境を整えた方がよい場合もあります。また、ご家族がリハビリテーション専門のスタッフから自宅でも実践できる介護方法を教えてもらうことで、スムーズに自宅での生活を送ることにつながります。


無理のない範囲で体を動かそう


「がんになったから運動をしなければ」と思い詰めるあまり、急に体を動かし始めたり、体力の限界まで運動してしまうケースがあります。「少しでも良くするために」と始めた運動でも度を超えてしまうと負担になって体に悪影響を及ぼす可能性があります。 リハビリテーション医療は、心と体の健康を守る大切な存在です。決して義務化せず、できることを無理のない範囲で取り入れていきましょう。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
監修者の写真

1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

参考資料

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「がんとリハビリテーション医療」
  • 日本緩和医療学会「がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版) Ⅲ章各論:クリニカル・エビデンス 4.運動療法」
  • 厚生労働省「がん診療連携拠点病院等」
  • American Cancer Society「American Cancer Society Guideline for Diet and Physical Activity」

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