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胃がんの内視鏡治療の流れとその後の注意点

#日常生活#内視鏡治療#治療
公開日2023.05.24

実は、胃がんの早期段階では自覚症状はほとんどないといわれています。しかし、定期的な健康診断の受診などにより、胃がんの多くは早期に発見されています。早期の胃がんは内視鏡治療の対象となり、胃の内側から切除できるため、従来の手術のように胃を失うこともなく早めに日常生活に戻ることができます。内視鏡治療による生活への影響はどのようなものがあるか確認していきましょう。


内視鏡治療はどういうものか


内視鏡治療は主に食道がんや胃がん、十二指腸がん、大腸がんなど消化管系のがんや、膀胱がんで行われる治療法の一つです。まだがんが小さく、粘膜表面にとどまっているような早期がんに行われます。


口や肛門、尿道などから細長い管状の『内視鏡』を挿入し、胃や大腸などの臓器の内部を確認しながらがん病変を切除します。従来の手術のように体の外側からメスを入れるわけではないので、体にとって物理的(直接的)な負担が小さく、切除部分もがん病変のある粘膜部分の一部のみに限られます。そのため、痛みも小さく、処置後の体の回復にも時間がかからないなど、患者さんにとって負担が小さい治療法の一つといえます。


内視鏡治療の準備から手術当日まで


実際に、胃がんで内視鏡治療を行う場合はどのような流れになるか確認してみましょう。


入院期間は10日ほど


胃がんの内視鏡治療を行うには、基本的に入院が必要とされます。手術前日から入院し、治療後はそのまま入院にて1週間程度の経過観察を行います。病院の方針にもよりますが、合計10日程度の入院期間となることが多いです。


スケジュールは主治医と相談を


治療(入院)のスケジュールは、事前に主治医と相談できます。家庭での用事や仕事のスケジュールを確認してから主治医と相談するとよいでしょう。そのためにも、入院期間や治療内容などはある程度周囲の人にも共有するとよいかもしれません。


入院後から内視鏡治療の処置当日までの注意点


入院後、病棟内の案内に併せて翌日の治療スケジュールなども説明されますので、きちんと聞いておきましょう。その際に不明点は確認しておくとよいでしょう。また、翌日の治療に向けて胃を空っぽにする必要があり、指定の時間以降は食事を取ることはできず、さらに飲み物を飲むことも制限されます。病院によっては、治療前日のシャワー・入浴は禁止されることもあります。


治療当日は、専用の服装に着替えて点滴などの準備から始まります。内視鏡治療そのものは麻酔を使用して痛みを抑え、眠ったような状態で行われます。


治療後の合併症予防と体への配慮で日常生活へ


内視鏡治療は従来の手術に比べて体への負担が小さいとはいえゼロではないため、合併症を起こす可能性も否定はできません。胃がんの内視鏡治療後も合併症の発症には注意が必要です。


主な合併症とその予防策


胃がんの内視鏡治療後にみられる主な合併症は、せん孔(胃壁に穴があく)、出血です。がん病変の切除部分は、潰瘍(かいよう)ができた状態になっており、その潰瘍部分から出血したり、せん孔になってしまったりします。治療後に腹痛や吐血・下血、吐き気がある場合は、速やかに病院スタッフへ伝えるようにしましょう。


これらの予防に重要なのは、治療後すぐは必ず安静にしておくことです。特に治療後2時間程度の間は最も出血しやすい状態であるため、治療が終わって目が覚めても、起き上がることなくそのままベッドで安静にして過ごすようにしましょう。同じく治療後2時間程度の間は、水分摂取の刺激だけでも出血しやすい状態となっています。そのため、水分摂取も控えるようにしましょう。


治療後1週間(入院中)で徐々に体を慣らしていく


治療後は、主治医の許可が出たら活動できます。治療翌日はトイレに行くときのみ歩行が許可され、術後2日目からは病棟内を自由に動けるようになることが多いです。治療後の食事も、医師の許可が出たら重湯(おもゆ)・流動食などから再開されます。体の状態を確認しつつ、徐々に通常の食事へと変わっていきます。


術後2週間は胃や体への負担が少ない生活を


退院後はおおむねこれまで通りの日常生活を送ることができますが、治療後2週間程度までは身体に大きな負荷がかからないように注意が必要です。


例えば、食事は胃に刺激が強いものは避け、消化の良いものを選びましょう。運動は散歩程度の軽いものであれば問題ありませんが、激しく体を動かすものはおなかに力がかかって出血するリスクにつながるため、避けるほうがよいです。仕事もデスクワークなどであれば問題ありませんが、力仕事は避けましょう。


退院後は治療後の経過観察のために、定期的な診察と検査が行われます。そこで特に問題がなければ、日常生活の制限もなくなります。


胃がんの内視鏡治療の方法は2つ


そもそも胃がんは、健康診断などにより比較的早期の状態で発見されることも珍しくありません。そのため、内視鏡治療を行うことが多いのです。早期胃がんでリンパ節などへの転移もなく、内視鏡治療でがんを全て切除することで、根治的治療を目指すことも可能です。


胃がんでの内視鏡治療は、内視鏡的粘膜切除術(EMR:Endoscopic mucosal resection)と内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD:Endoscopic submucosal dissection)という2種類の方法が主流です。


内視鏡的粘膜切除術(EMR)とは


内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、がん病変の下の粘膜部分に生理食塩水やヒアルロン酸などを注入し、病変部分を浮き上がらせた状態にした上で、スネアという輪状のワイヤーを病変に引っかけて切除する方法です。


EMRは1980年代に日本で開発された治療法で、技術的に見ても比較的容易であることからこれまでよく行われてきました。しかし、スネアの大きさにも限りがあるため、1回で取り切れる病変の大きさに限度があったり、内視鏡治療後に再発したがんは切除が難しかったりと、いくつかの難点がありました。


内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)とは


そこで、新たに開発されたのが内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)です。ESDは、先に述べたEMRと同じく、がん病変の下の粘膜部分に生理食塩水やヒアルロン酸などを注入して病変部分を浮き上がらせた状態にした上で、高周波を利用した特殊な電気メスを利用して病変を切除します。


ESDのメリットとしてはEMRでは切除が困難であった病変でもきれいに切除が可能です。また、このとき切り取った病変を病理検査することで、体内に転移が見られないか、十分にがん病変を切り取ることができたか確認できます。


気になることは主治医に相談を


胃がんの内視鏡治療は、退院後2週間は先に述べたような注意が必要となりますが、経過が順調であれば何も制限はなくなるため、これまで通りの日常生活を送ることができます。内視鏡治療後の潰瘍部分は、2カ月ほどで完全に治癒するといわれています。


自身の体調変化に意識を向け、何か気になるようなことがあればすぐに主治医へ相談してください。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
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1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

参考資料

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「内視鏡治療」
  • 東北ろうさい病院「入院診療計画書(内視鏡胃粘膜剥離術[ESD]クリニカルパス)」

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