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胃がん

胃がん治療による体と日常生活への影響

#日常生活#治療
公開日2023.05.24

近年のがん治療の進歩によって、多くのがん患者さんが治療を続けながら日常生活を送るようになってきました。そこで気になるのが、治療による日常生活への影響です。体と生活がどのように変化していく可能性があるのか知ることで、事前に対処もできます。自身の生活にはどんな変化が起こりそうか、想像しながら見ていきましょう。


がんによって生活はどのように変わるか 


例えば、体調不良を感じて気軽に受けた検診で要検査の通知を受けた時や、医師からがんの診断を受けた時など、突然現れた『がん』という言葉にショックを受け、戸惑うかもしれません。働いている方なら「仕事へはどんな影響があるのだろうか」「これからの生活はどうなってしまうのだろう」と不安に感じると思います。 


しかし、今すぐに何かが変わるわけではありません。生活の変化は、これから始まる検査や治療によって定期的な通院が必要となることから始まります。通院することが日常生活に組み込まれていくイメージを持つとよいでしょう。 


がんの治療の種類によって身体に起こる変化も異なるため、生活への影響度も異なります。 


がんの三大治療 


まずは治療の種類を確認しておきましょう。 


がんの治療法には『外科的手術』『放射線治療』『薬物療法』の大きく3つがあります。これまでは手術が治療の中心でしたが、近年はがんの種類やステージ(進行度)によっては放射線治療や薬物療法だけでも手術と変わらない効果が得られるようになってきました。また、より大きな治療効果を期待して、これらの治療を組み合わせて行うこともあります。 


どの治療を行うかは、がんの状態や場所、転移などの進行度をしっかり検査した上で、主治医の判断だけでなく、自身の希望もふまえて決めていきます。どの治療を行うかによって起こりうる副作用も異なり、生活への影響度も変わってきます。 


各治療による生活への影響 


がんの薬物療法で用いられるお薬は、主に『抗がん剤』『分子標的薬』『免疫チェックポイント阻害薬』などがあります。 


薬物療法による主な副作用には、骨髄抑制、吐き気・おう吐、下痢、皮膚がボロボロになる(皮膚障害)、脱毛などがあります。これら全ての副作用が起こるわけではなく、お薬によってどの副作用が起こりやすい、起こりにくいといった特徴があります。 


一方、放射線治療はがん細胞に放射線を照射することによって、がん細胞を弱らせていく治療法です。放射線治療による主な副作用には、疲労感、皮膚の赤み・かゆみ、吐き気、下痢、口内炎、脱毛などがあります。 


また、手術は各がんによって切除部位が異なるため、起こりやすい副作用が大きく異なってきます。 


胃がん治療で特有の症状『ダンピング症候群』 


例えば胃がんの手術は、がん病変のある一部分、もしくは胃全てを切除します。 


胃切除後の症状として知っておきたいのが『ダンピング症候群』です。ダンピング症候群とは、これまで少しずつ胃から腸へと移動していた食べ物が、胃切除により直接、急に腸へ移動することによって起こるさまざまな症状を指します。具体的な症状としては、冷や汗やめまい、脱力感、発汗、動悸(どうき)などが挙げられます。 


食後30分以内に症状が現れる『早期ダンピング症候群』は、一度にたくさん食べずに少量に分けて食べる、よくかんでゆっくり時間をかけて食べることで予防もできます。 


食後90分以降に起こる『後期ダンピング症候群』は、いわゆる低血糖状態であることが原因の一つです。そのため、不快な症状が現れた場合は、あめなどの糖分を摂取することで対処できます。また、後期ダンピング症候群も一度に大量に食べないようにし、食事に時間をかけることも重要です。 


必ずしも副作用や症状が現れるわけではない 


これらの副作用や症状は治療を受けた全員に現れるわけではありません。副作用の種類や症状の程度は人によってさまざまです。近年の医療技術の発展により、副作用を予防するお薬も充実してきています。以前に比べれば防ぐことができる副作用も増え、いずれも日常生活を送りながらうまく付き合う工夫をしていくことが可能です。 


通院可能な治療の増加 


がんの治療と聞くと、『手術をする』『入院して点滴を行う』などのイメージを最初に思い浮かべるかもしれません。 


しかし、近年では必ずしも入院する必要がない治療法が増えてきました。がんの種類やお薬にもよりますが、副作用に対する有効な支持療法(副作用を予防、またはその症状を軽減させるための治療)の確立や副作用の少ないお薬の開発により、通院して治療を行う『外来化学療法』が広く普及し始めました。 


また、副作用が不安な方には、治療のために数日入院するようなスケジュールを組むことも可能です。日常生活を送りながら治療を行う選択肢が増えつつあるのです。 


気になる外見上の変化 


『治療による影響』を考えて真っ先に不安に感じるのは、もしかしたら『外見上の変化』ではないでしょうか。治療の副作用によって、体重減少やそれによる体形の変化、脱毛、皮膚障害(肌がくすむ、色素沈着が起こる、爪が変形する)などが起こる可能性は否定できません。 


これまで、外見上の変化はしかたがないものと考えられてきました。しかし、日常生活を送りながら治療を続ける方が増え、この外見上の変化が日常生活に大きく影響を及ぼすようになってきました。 


病気や死のイメージにつながり、職場や社会生活における人間関係が変化してしまうのではないかと不安に感じる方もたくさんいます。また、自身がこれまで持っていた身体イメージの喪失感から気持ちがふさぎ込んでしまったり、人の目が気になって外出がおっくうになってしまったりと、治療への意欲減少にもつながりかねません。 


外見上の変化への対応 


これまでは「命にかかわることではないのだから」とないがしろにされがちであった外見上の変化に対しても、ケアが必要であると考えられるようになってきました。外見上の変化に対するケアを『アピアランスケア』と呼び、医療従事者を中心にアピアランスケアの重要性が認識されつつあります。 


アピアランスケアは単なる美容目的に行うものではなく、『外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア』です。治療中も『自分らしくいられる』ことが大切であり、具体的にはウイッグの使用やメイク、マニキュアなどを用いたセルフケアで対処していくことができます。 


変化の可能性を想像し、新しい日常生活を 


治療が始まるとこれまで何気なく過ごしてきた日常が少しずつ変わっていくかもしれません。「これからどうなってしまうのだろう」と不安に感じてしまうのも当たり前です。 


しかし、起こりうる変化の可能性を知り、想像しておけば、その対処方法を事前に考え、対応していくこともできます。新しい日常生活を自分らしく過ごしていくことは、決して難しくはないでしょう。 


どんなささいな不安でも、一人で悩む必要はありません。がんによって変わる生活を一緒にサポートしてくれる方がいます。主治医をはじめとする医療従事者やがん相談支援センターに気軽に相談してみましょう。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
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1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

参考資料

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「放射線治療の実際」
  • 国立がん研究センターがん情報サービス「胃がん 療養」
  • 厚生労働省 健康局がん・疾病対策課「アピアランスケアによる生活の質向上に向けた取組」

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