医師に「もう少し詳しく検査しましょう」と言われたとき。多くの人は不安な気持ちになってしまうものです。
がんかどうか、そしてどのようながん、または状態なのかが確定するまでには、場合によってはいくつもの検査を受ける必要がありますが、全ての検査ががんと確定するための検査ではありません。ここでは、検査をする目的やがんの疑いを感じてからの過ごし方などを見ていきましょう。
がんの疑いがあるときに行われる検査の種類と目的
がんの疑いがあるとわかると、さまざまな検査が行われます。多くの検査を受けなければならないため、より不安に感じてしまう場合があるかもしれません。なぜ、多くの検査を受ける必要があるのでしょうか。その種類と目的を整理すると以下のようになります。
がんかどうかを調べる検査
がんが疑われる場合、それを調べるための検査が行われます。胃がんの場合は内視鏡検査やX線検査を用います。
必要に応じて、胃がんと思われる組織の一部を取って病理検査が行われることもあります。このように内視鏡検査やX線検査は、がん確定後に受けるものではなく、あくまでもがんかどうかを調べるものです。
がんの位置や大きさ、広がり方や深さを調べる検査
内視鏡検査やX線検査を行い、がんの可能性が高いと診断された場合は、次の検査が必要です。詳しい検査を経てその結果から、がんであることが確定します。
医師からは、この詳しい検査が終わった後にがんであると告げられることがあります。がんがあるとわかった場合、CT検査やMRI検査、PET検査などを行い、病気がどれくらい進行しているのか調べます。がんの進行度を調べることで、今後の治療方針を決める手がかりになるのです。
がんが疑われるときに行われる多くの検査は、「本当にがんがあるのか」「がんの場合、どのような治療により最大の効果を発揮できるのか」などを調べるものです。
検査をすることで、初めて適切な治療を受けられます。また、ある程度情報が揃わないと医師からも明確なことを伝えにくい場合も多く、検査をしている間に不安が募ることもあるかもしれません。治療が始まるまで長く感じるとは思いますが、必要不可欠な検査ですので落ち着いて対処しましょう。
不安や心配があり、気持ちが不安定なときに
「病気かもしれない」と思って過ごすことは、不安や心配な気持ちになってしまうものです。場合によっては気持ちが落ち込むことや、無気力になってしまうこともあります。そのようなときは、悩みや相談をする先を探すなどして、ひとりで抱え込まないようにしてください。
不安なことや今の気持ちを伝える
心の中にあるモヤモヤを聞いてもらうのはご家族などの身近な人のほか、医師や看護師など、ご自身が心の内を吐き出せる方に、今の気持ちを伝えてみることが大切です。
特に、がんの疑いがあると感じ始めた時は、精神的な負担が大きいものです。まずは心がつらくならないように気持ちを吐き出してみましょう。
心のケアの専門家に相談する
がんに対してあれこれと悩み続けることで、心の病気になることがあります。つらい気持ちは決して抱え込まず、少しずつ消化することを意識してください。
不安な気持ちとともに不眠や食欲不振などの症状が続いている場合は、精神科医など専門家への相談をおすすめします。ひとりで抱え込み続けることで、うつ病や適応障害になるケースもあるので気をつけていきましょう。
相談できる相手がいないときは『がん相談支援センター』の活用を
「誰かに相談したいけど相手がいない」「精神科は予約がなかなか取れない」というようなケースもあるかと思います。相談相手が見つからないときは、がん相談支援センターを活用してみましょう。
がん相談支援センターとは、全国に設置されているがんの相談窓口のことです。患者さんご自身はもちろん、ご家族や友人など誰でも利用できます。
がんの疑いがある状態でも利用できるため、これからの治療法や療養、生活などについて不安がある方は相談してみるとよいでしょう。がんを専門とする相談員がしっかり話を聞いてくれます。漠然とした不安を抱えている方は、相談してみることで、きっと心が少し軽くなるはずです。
インターネットやSNS、人から聞いた情報は見極めを
1人でいる時に、インターネットやSNSでがんに関連する情報を収集しようとすることがあると思います。不安な気持ちを伝えた家族や友人などから、アドバイスや情報が届くこともあるかもしれません。ただ、検索結果やおすすめされた情報のすべてが、有益な情報や正しい医療情報とは限らないので気をつけましょう。
不安があるのは当たり前。納得して検査に進みましょう
検査を受ける前後は不安が生じることもあるかもしれませんが、その目的や内容を知ることで気持ちが整理できることもあります。それでもモヤモヤした思いや心配、疑問などがあるときは、ためらわないで医師や専門家と話したり、気持ちを聞いてもらい、納得した上で次のステップである「検査」に進んでみましょう。