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治療にかかるお金と支援制度〈胃がん〉

#お金#医療費
公開日2023.05.24

「がんの治療費はいったいどれくらいかかるのだろう?」。突然、がんと診断された時、気になる方がいるかもしれません。一口にがんの治療といっても、手術から放射線治療、薬物療法まで、その選択肢はさまざまです。また、がんのステージ(病期)や体の状態によって、どの治療を選択するかは患者さんによって大きく異なります。がん治療にかかる費用について、胃がんを例に治療法ごとに見ていきましょう。 


医療行為ごとに値段(単価)が決まっている 


医療費には、診察費、検査費、手術費、放射線治療費、薬剤費、入院基本料といった『直接医療費』と、個室〜少人数の部屋を希望した時の差額ベッド代(差額室料)、入院時の食事費、通院のための交通費などの『直接非医療費』の二種類があります。 


日本では国民全員が加入を義務付けられている公的医療保険制度により、直接医療費の入院費に関して、より多くの方が質の高い医療を受けられるよう、『診療報酬』という制度で医療行為ごとに値段(単価)が決められています。

 

患者さんが負担する医療費は、現行で最大単価の3割です。また、年収に応じた自己負担の月額上限もあり、それを超えた自己負担額の払い戻しや支払い免除が行われる『高額療養費制度』もあります。 


内視鏡治療でかかる医療費 


がんの発見が早い段階では、がんそのものを手術で取り除く治療が一般的です。胃がんでは、がんが胃内部表面の粘膜内のみにとどまり、周辺のリンパ節や他の臓器への転移がない極めて早期の場合、手術ではなく内視鏡治療が行われます。 


がんの大きさ2cm以内の場合に選択できるのが内視鏡的粘膜切除術(EMR)、それより大きい場合は内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)という方法です(3cm以内の腫瘍も適用の場合あり)。これら治療の公定価格は2021年時点で、内視鏡的粘膜切除術(EMR)が約6万5,000円、内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)が約18万4,000円です。 


通常、これらの治療は前日から入院し、治療後に合併症がないことを確認するため、5日ほど入院することになります。入院基本料はおおむね1日1万6,000~2万円前後です。また、入院中の食事代は公的医療保険は適用されませんが、標準負担額が1食460円、1日1,380円と全国一律で定められています。これ以外に麻酔費用が約6~7万円、切除したがんの病理検査費用が5,000円ほどかかります。 


ここまでの費用をまとめると、内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)を受けるにあたって必要となる医療費はそれぞれ約24万円と約39万円になります。さらに自己負担割合が3割の場合、実際の窓口負担はそれぞれ約7.5万円、約11万円です。 


開腹手術や腹腔鏡手術でかかる医療費 


近年、胃がんの手術では、『腹腔鏡手術』という術式の割合が増えています。公定価格は胃の切除範囲で変わり、約64~83万円と幅があります。これに対して、従来型のお腹を大きく切り開く開腹手術は約55~71万円です。 


その他の入院費などは内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)と同じですが、腹腔鏡手術や開腹手術の場合は入院期間が10日前後ですので、医療費の総額は最低でも100万円前後となります。自己負担3割でしたら30万円ですが、前述の高額療養費制度の対象になる方がほとんどです。 


例えば医療費総額100万円、自己負担3割の方で70歳未満かつ年収が370~770万円の方でしたら、この制度により最終的な自己負担額は9万円弱に抑えられます。 


手術後にお薬を服用する術後補助療法を行う場合も 


胃がんでは、手術後の再発を防ぐために補助療法をする場合があります。年齢や栄養状態、自身の希望に合わせて、飲み薬やそれに加えて点滴を行うことがあります。 


種類もさまざまな薬物治療 


胃以外の臓器にがんが転移している場合、手術は行わず、お薬で治療を行います。胃がんの治療で使われるお薬は、細胞増殖の仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃する『抗がん剤』、がん細胞の増殖に必要なタンパク質の働きを抑える『分子標的薬』、がん細胞によってブレーキがかかった状態となった免疫機能を回復させ、がんの増殖を抑える『免疫チェックポイント阻害薬』などがあります。薬剤費は、体重やどのお薬を使うか、ジェネリック医薬品を使うかでも変わります。 


相談は主治医や相談支援センターへ 


こうしたお薬の投与に当たり、安全性を考慮して数日間だけ入院して経過を見る病院も少なくありません。その場合は入院費がかかります。また、入院後のリハビリテーションの医療費がかかることもあります。 


このように患者さんによって医療費は大きく異なります。不安を感じる場合は主治医や各病院のがん相談支援センターや医療相談室などに相談してみましょう。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
監修者の写真

1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

参考資料

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「医療費の負担を軽くする公的制度」
  • 国立がん研究センターがん情報サービス「胃がん 治療」
  • 国立がん研究センターがん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」
  • 国立がん研究センターがん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」
  • しろぼんねっと「令和4年 診療報酬点数表 医科 診療報酬点数表 第2章 特掲診療料 第10部 手術 第1節 手術料 第9款 腹部(胃、十二指腸)」
  • しろぼんねっと「令和4年 診療報酬点数表 医科 診療報酬点数表 第1章 基本診療料 第2部 入院料等 第1節 入院基本料 A105 専門病院入院基本料(1日につき)」
  • 国税庁「医療費を支払ったとき」
  • 日本医師会「なるほど!診療報酬」
  • 全国健康保険協会「高額療養費簡易試算(平成27年1月診療分から:70歳未満用)」
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • 国立国際医療研究センター「胃がんの化学療法について」
  • 日本胃癌学会編「胃癌治療ガイドライン 医師用 2021年7月改訂 [第6版]」

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