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胃がんの手術前後の食事で気をつけること

#手術#日常生活#食事
公開日2023.05.24

がんの手術をする際、何に気を付けるべきでしょうか。胃がんのケースでは、手術前後に食生活を見直すべきかという点です。手術前の食生活や術後の注意点、胃がんの術後に起こる『ダンピング症候群』の詳細や対処法について見ていきましょう。 


基本的に食生活の見直しは不要 


まず、胃がんを含めたがんの手術は、多くの場合、術前の食事に特別な制限はありません。大腸など消化器を対象とした一部の手術では、腸内をきれいにするために術前から食事制限を行うこともあります。 


日頃の食生活が乱れている場合、適切な栄養素を摂れていない可能性があります。炭水化物やタンパク質、ビタミン、ミネラルなど必要な栄養素が不足しないよう、主食・主菜・副菜のバランス良い食事を心がけましょう。 


体重・筋肉量の減少は術後の経過に悪影響 


がんの症状により、食欲が湧かなかったり、食事を取るのに時間がかかり食べる量が減ってしまったりしている場合、筋肉量の減少を伴う体重減少に注意しましょう。栄養状態が悪くなり筋肉量が減ると、術後の傷の修復が遅れたり、感染症などの術後合併症のリスクが高くなります。 


少量で高カロリーの食ベ物やカロリーの高い食用油や糖分を多めに使った調理をする、間食をするなどの工夫をしつつ、食べられるものや食べたいものを食べることを心がけて、体重の維持につとめましょう。 


術前・術後の食事について 


がんの手術を行う場合は、基本的に手術前日から入院します。前日の夕食は、おおむね全粥(水5:米1)または5分粥(水10:米1)を食べます。手術当日は絶食し、手術の4時間前くらいまで水分を摂取することが可能です。 


手術後はおおむね2~7日間絶食しますが、がんの部位や術後の経過によって異なります。絶食後はスープのような流動食から始まり、患者さんの状態を見ながら全粥の食事まで段階的に変化していきます。 


胃がんの術後は食事量が減少する 


胃がんの場合、がんの存在する部位によって切除範囲や術式が変わります。胃を全部切除したり、部分的に切除したりします。部分的にでも、胃の半分から3分の2程度まで切除します。 


胃の貯蔵能力の低下により食事量は減少します。また、胃酸の分泌量やタンパク質・脂質の消化・吸収が低下し、一部のビタミンやミネラルの吸収も低下します。 


退院後の食生活 


退院後は、術前より1回の食事量は減ります。そのため、無理をして1回で食べ過ぎないようにしましょう。食事の回数を1日5~6回に分け、一口ずつよく噛んで時間をかけて食べましょう。

 

よく噛むことにより、低下した胃の機能の一部を肩代わりすることができます。調理の段階から食材を細かく切る、柔らかく煮る・蒸すなどの工夫を施すのもよいでしょう。

 

食物繊維が多いもの、刺激が強い食材には注意を 


手術直後は消化吸収機能が最も低下している時期です。こんにゃく、海藻、ごぼう、キノコといった食物繊維の多い食品、揚げ物など油っこい食品、いかやたこなどの硬い食品、炭水化物でも腹持ちが良いとされる消化の悪い中華麺や餅などを食べる時は量を控えめにしましょう。 


アルコールや香辛料など刺激の多いものも控えめにするのが望ましいです。また、胃酸の減少により殺菌作用も低下するので、刺身などの生ものはなるべく新鮮なうちに食べましょう。 


ダンピング症候群に注意 


胃切除後の症状で最も注意しなければならないのが『ダンピング症候群』です。ダンピング症候群とは、それまで胃の中で一定時間貯留していた食べ物が、胃切除後、急速に小腸に流れ込むことで、さまざまな症状を引き起こします。術後に胃の容量が小さくなったうえ、胃での消化吸収の能力が低下していることが原因です。 


一般的にダンピング症候群は2種類あり、食後30分以内に起こる『早期ダンピング症候群』と食後2~3時間で起こる『後期ダンピング症候群』があります。 


食後30分以内の早期ダンピング症候群 


早期ダンピング症候群は、胃内の食物が急に小腸に流れていくことで体中の血液が腸に集中し、血液が減少したのと似たような状態になる現象です。早期ダンピング症候群では、動悸(どうき)、冷や汗、立ちくらみ、頭痛、めまいなどが起こります。 


1回の食事量を減らして回数を増やすことやゆっくり食べること、食事中の水分量を少なくすることで回避しやすくなります。また、甘いもの(糖分の多いもの)を食べた直後に起きやすいといわれているので、食べる時は少量にするのがよいでしょう。 


早期ダンピング症候群の症状が現れた場合は、頭を高めにして横になることで改善しやすいです。 


食後2~3時間で起こる後期ダンピング症候群 


後期ダンピング症候群は、低血糖症状を引き起こします。食べ物が急速に腸に流入・吸収され、血糖値が急上昇します。高血糖状態は、血糖を下げる働きを持つホルモンのインスリンが過剰に分泌されます。その結果、低血糖を引き起こし、冷や汗や立ちくらみ、めまいが起こります。 


後期ダンピング症候群の予防策は、ゆっくり時間をかけて食べることです。また、症状が現れた場合は、あめをなめたり、甘いジュースなどを飲んだりすることで改善が期待できます。 


術後は深刻に考えすぎず、徐々に体を慣らしましょう 


食事の制限が不要なことも多いがんの術前・術後ですが、胃がんは術後の食事方法に工夫が必要です。胃が小さくなっているので手術前と同じ食事量に戻すことは難しいですが、おおむね3カ月ほど経過すれば、食事量が回復していきます。ただし、その後もダンピング症候群を伴うリスクがあるので、食事に時間をかけ、一度に大量に食べないよう心がけましょう。 


手術直後は、食欲が落ちたり一度に食べられる量が減ったりして、気持ちが沈むこともあるかと思います。そんな時には、主治医やがん相談支援センターの相談員、栄養士に相談しましょう。アドバイスを受けながら、食べたいものを食べながら食事に注意して体を慣らしていきましょう。

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この記事の監修者

佐藤 太郎(さとう たろう) 先生
大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター 准教授
監修者の写真

1993年弘前大学医学部卒業。内科医、米国での研究留学を経て、近畿大学腫瘍内科へ。2011年より大阪大学大学院医学系研究科に在籍。2023年4月より現職。胃がん、大腸がんなどの消化器疾患の抗がん剤治療や緩和ケア、がんゲノム医療を中心に診療を行っている。

参考資料

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「がんと食事」
  • 兵庫県立がんセンター「がん治療について 手術」
  • 岡山医療センター「胃がん手術後の食事について」
  • 姫路赤十字病院「腹腔鏡下幽門側胃切除術を受ける方へ」
  • がん研究会有明病院「がん治療と食事」
  • 静岡県立静岡がんセンター「がん体験者の悩みQ&A 胃切後、ダンピング症候群(低血糖、脱力感、めまい、息苦しさ等)に悩まされ続けた」

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