自身や家族にがんの疑いがある、あるいはがんと診断された時に「インターネットで情報を調べたけど、今一つよくわからない」「主治医に相談したいけど、聞きづらい」などと考えたことはないでしょうか。がんに関する疑問や悩みがある時、比較的手軽に無料で相談できる窓口として『がん相談支援センター』があります。詳しく見ていきましょう。
がん診療連携拠点病院などに設置された相談窓口
2021年4月1日現在、日本国内には、国が定める治療の水準や設備、情報提供体制などの要件を満たした病院として、がん診療連携拠点病院405カ所と地域がん診療病院46カ所が指定されています。
また、比較的患者数が少ない小児・AYA*世代の患者さんも質の高いがん医療や支援を受けられるよう、全国に小児がん拠点病院15カ所、小児がん中央機関2カ所が設けられています。がん診療連携拠点病院等は、これらの全施設に設置されている相談窓口です。
(令和3年4月1日現在)
* Adolescent&Young Adult(思春期・若年成人)。15歳~39歳の患者さんがあてはまります。
なお、医療機関によって『医療相談室』や『地域医療連携室』、『医療福祉相談室』などの名称を掲げていたり、がん相談支援センターに併記しているケースもあります。
看護師、社労士などが相談員として常駐
がん相談支援センターは、がんに関する疑問や悩みに関する相談に対処する場所です。国指定の研修を修了したがん治療に詳しい看護師や、生活全般の相談に乗りながら、医療や福祉の助けが必要な方の橋渡し役となる、社会福祉士(ソーシャルワーカー)の国家資格を持つ人などが相談員として常駐しています。国指定の研修を修了した相談員は、がん相談支援センター特有のロゴをかたどった赤いバッチをつけています。
がん相談支援センターは、誰でも相談できる窓口です。患者さんやそのご家族、未診断の方、将来のがんに備えたい地域の住民の皆さんなどが相談できます。また、患者さんやご家族は、通院先とは別の医療機関に併設されたがん相談支援センターにも相談できます。ただし、がんの診断を行う場所ではないため、その場合は医療機関の受診が必要です。
どんなことでもがんに関する相談ごとを対応
がんに関する相談への対応は、さまざまな職種の方が関わっており、医療やお金、仕事など、相談者の居住先や生活状況に応じて対応します。
医療にかかわる相談は、主に看護師が対応
「医師に治療の説明を受けたがよくわからなかった」「手術を受けるよう勧められたが、どのくらいの入院期間が必要?」「主治医と会話がかみ合わなくて悩んでいる」など、直接医療にかかわる相談には、主に看護師が務める相談員の方が対処します。
お金や仕事に関する相談は、主に社会福祉士が対応
「治療費が高くないか不安」「がん保険に入っているが、どのように請求したらいいかわからない」「がんの治療と仕事をどのように両立すればいいのだろう」「自宅療養中に使える支援制度はないか」など、お金や仕事に関する相談は、主に社会福祉士が相談に対応しています。
がんの治療そのものから離れた相談ごとも可能
「患者本人にどのように接していいかわからない」「患者本人の日常生活に関して、家族はどんな点に注意したらいいだろう」「小さな子供がいるが、どう話したらいいのだろうか」など、がんの治療そのものから少し離れたことも相談できます。
匿名で電話相談も可能
がん相談支援センターは、窓口での直接面談のほかに、電話相談もできます。個人情報保護も徹底しており、匿名での相談も可能です。個人情報を知られたくない方も利用しやすい窓口となっています。
がんに関することで困ったり悩んだりした場合は、がん相談支援センターに相談しましょう。